TECHNO-FRONTIER 2020 技術シンポジウム

第28回 磁気応用技術シンポジウム

※プログラム内容(スピーカ、コーディネータ、発表テーマ、内容等)が変更になる事がありますので予めご了承ください。
 
4月8日(水) 10:00 - 12:45 A1 先進電磁界解析技術の現状と応用事例
14:15 - 17:00 A2 先端解析技術を活用したエネルギー変換機器の高性能化
4月9日(木) 10:00 - 12:45 A3 室内空間における新しい高周波ワイヤレス電力伝送
14:15 - 17:00 A4 モーションコントロールのためのセンシング技術
~ロボティクス・IoTに向けて~
4月10日(金) 10:00 - 12:45 A5 パワーエレクトロニクスシステムにおける軟磁性材料の選び方
14:15 - 17:00 A6 永久磁石材料の最新技術動向 ~資源から応用まで~
 コーディネータ  (敬称略)
4月8日(水)
10:00~12:45
A1
先進電磁界解析技術の現状と応用事例
一ノ倉 理
東北大学 未来科学技術共同研究センター 教授
1
大規模電磁界解析技術と解析例
  • 大規模解析のための基礎技術
  • 「京」コンピュータを用いたEV非接触給電システムの解析例
  • PCクラスタを用いた高速回転モータのカシメが渦電流損等に及ぼす影響の解析例
河瀬 順洋
岐阜大学 工学部 電気電子情報工学科 教授
2
鉄心と巻線の損失を考慮した高精度電磁界解析と応用事例
  • 鉄心のヒステリシス現象の考慮
  • 巻線の渦電流と循環電流の考慮
  • 永久磁石同期機及び誘導電動機への応用事例
山崎 克巳
千葉工業大学 工学部 電気電子工学科 教授
3
AIを用いた電磁機器設計技術の基礎と応用事例
  • 電磁界解析を用いた最適設計の基礎
  • 遺伝的アルゴリズムを用いたトポロジー最適化の基礎
  • 電気電子機器・デバイスへのトポロジー最適化の適用事例
  • 深層学習によるトポロジー最適化の高速化
五十嵐 一
北海道大学 大学院 情報科学研究院 教授
 電磁界解析技術は、近年飛躍的に高速・高精度化が進んでいます。そこで本セッションでは、最新の電磁界解析技術について、第一線で活躍されている先生方からわかりやすく解説していただきます。まず岐阜大学の河瀬先生から大規模電磁界解析の基礎と応用について、次に千葉工業大学の山崎先生から鉄心ヒステリシスと巻線渦電流を考慮した高精度モータ解析について、最後に北海道大学の五十嵐先生からAIを用いた電磁機器の最適設計について解説していただきます。電気自動車の普及やロボットの用途拡大にともない、モータやリアクトルのさらなる小型高効率化が求められ、電磁界解析の必要性がますます高まっています。本セッションは、電磁界解析を利用しておられる方は勿論、使ったことは無いが興味を持っておられる方にも有益な内容です。ぜひご聴講ください。
 
4月8日(水)
14:15~17:00
A2
先端解析技術を活用したエネルギー変換機器の高性能化
青山 康明
㈱日立製作所 研究開発グループ 制御イノベーションセンタ ドライブシステム制御研究部 制御D3ユニット 主任研究員
1
高精度電磁界解析を活用した電磁アクチュエータ設計技術
  • 最適化設計手法を用いた非対称モータのトルクリプル低減
  • リニア誘導モータ動推力特性の2D/3D差異原因の解明と2D解析補正手法
  • 設計への適用事例紹介
伊藤  誠
㈱日立製作所 研究開発グループ 制御イノベーションセンタ ドライブシステム制御研究部 研究員
志村  樹
㈱日立製作所 研究開発グループ 制御イノベーションセンタ ドライブシステム制御研究部 ユニット員
2
非対称磁極構造希土類ボンド磁石モータの開発
  • 磁石の種類とモータ性能の比較
  • 非対称磁極構造によるトルク向上原理
  • 希土類ボンド磁石を用いた非対称磁極構造IPMモータの試作評価結果
吉田 征弘
秋田大学 大学院 理工学研究科 数理・電気電子情報学専攻 講師
3
三次元解析技術を活用した高効率・大容量変圧器の開発事例
  • 自重応力を考慮した大形アモルファス鉄心の設計と試作
  • アモルファス-電磁鋼板の複合鉄心変圧器の設計と試作
  • 30MVA級配電用複合鉄心変圧器の開発
栗田 直幸
㈱日立製作所 研究開発グループ エネルギーイノベーションセンタ エネルギーマネジメント研究部 主任研究員
 計算機性能の向上に伴い回転機や変圧器などのエネルギー変換機器の高性能化が飛躍的に進んでいる。高性能なエネルギー変換機器は、低炭素化社会の実現に向けて重要なキーコンポーネントになってきている。本セッションでは、先端解析技術を活用することで、大規模で複雑な問題を効率よく短時間で処理を可能にし、実際のエネルギー変換機器に適用した事例を紹介する。特に、効率的な解析により得られた設計に関する技術、試作による評価などの実例を含めて講演いただきます。設計から試作評価にわたり幅広い技術に対する内容となっていますので、皆様のご参加お待ちしております。
 
4月9日(木)
10:00~12:45
A3
室内空間における新しい高周波ワイヤレス電力伝送
水野  勉
信州大学 工学部 電子情報システム工学科 教授
1
国内におけるGHz帯空間伝送型WPTの技術開発および制度化の状況
  • 国内における空間伝送型WPTシステム開発の状況について
  • 国内における空間伝送型WPTシステムの制度化の状況について
梶原 正一
パナソニック㈱ マニュファクチュアリングイノベーション本部 主任技師
2
ワイヤレス電力伝送開発の歴史と最新の提案方式、および各種方式の比較
  • 開発の歴史と応用例
  • 走行中給電、室内空間伝送など、最新の動向
  • 各種方式の比較
洲崎 泰利
電気興業㈱ 移動通信技術開発部 無線技術課 副参事
3
マルチモード準静空洞共振器(Multimode QSCR)によるワイヤレス電力伝送
  • マルチモード準静空洞共振器(Multimode QSCR)という送電器構造を考案・実装し3m×3mの部屋全域へのワイヤレス充電ができることを実証しました。
  • 壁や床に送電機構を埋め込むことで三次元状に分布する交流磁界を生成するため、従来の手法のように部屋内に導体棒などの構造物を設置する必要がありません。
  • 広範囲に数十ワット程度の電力を送信できることから、将来的に電池が切れないIoTシステムへの応用が期待されます。
川原 圭博
東京大学 大学院 工学系研究科 教授
 室内空間における新しい高周波ワイヤレス電力伝送に関して、基礎から制度化までを学びたい方向けのセッションです。まず、パナソニックの梶原様から、ワイヤレス空間伝送型WPTシステム開発の状況と制度化の状況について紹介して頂きます。次に、電気興業の洲崎様から、走行中給電、室内空間伝送など、最新の動向について説明していただきます。最後に、マルチモード準静空洞共振器を用いたワイヤレス電力伝送に関して、東京大学の川原先生から紹介して頂きます。
 室内空間における高周波ワイヤレス電力伝送に関する最新の知識を得ることができますので、奮ってご参加下さい。
 
4月9日(木)
14:15~17:00
A4
モーションコントロールのためのセンシング技術 ~ロボティクス・IoTに向けて~
山寺 秀哉
㈱豊田中央研究所 システム・エレクトロニクス2部 エネルギーデバイス研究室 主任研究員
1
ロボット用センシング技術
  • 自動車用センサ技術について
  • これから期待されるロボット用センサ技術
  • 拡大するセンサ技術の課題と今後の展開
野々村 裕
名城大学 理工学部 メカトロニクス工学科 教授
2
IoTに向けたセンサネットワーク
  • ALPS ALPINEにおけるIoTの取り組み
  • ALPS ALPINEにおけるセンサ紹介
  • センサネットワーク事例紹介
山田 幸光
アルプスアルパイン㈱ 技術本部 M3技術部 主幹技師
3
逆磁歪効果を利用した高感度ひずみセンシング技術
  • 逆磁歪効果の原理
  • 高感度ひずみセンサの特性
  • 振動センサへの展開
石山 和志
東北大学 電気通信研究所 教授
 あらゆる産業分野では自動化と無人化が進み、ロボットとIoTはその欠かせない手段となっています。これらのモーションコントロールのためには高性能なセンサを必要としますが、非接触・高精度・高応答性・容易装着性の特徴を有する磁気利用センシング技術は、重要なアイテムとして期待されています。
 本セッションでは、最初に、ロボットの運動制御用センサとして、①ロボット用センシング技術、次に、IoTで必要なセンサとして、②IoTに向けたセンサネットワーク、最後に、将来の高感度な力学量センサとして、③逆磁歪効果を利用した高感度ひずみセンサ技術、について紹介します。
 
4月10日(金)
10:00~12:45
A5
パワーエレクトロニクスシステムにおける軟磁性材料の選び方
藤﨑 敬介
豊田工業大学 大学院 工学研究科 教授
1
高周波における磁性体の特性
  • 異方性/等方性材料の高周波透磁率
  • 高周波での損失
  • 高周波での磁性体の制約と使い方
直江 正幸
(公財)電磁材料研究所 研究開発事業部 デバイス用高機能材料開発部門 主任研究員
2
自動車モータ用電磁鋼板の最新動向
  • HEV/EV駆動モータ用電磁鋼板の開発状況
  • Si傾斜磁性材料の最新動向
  • モータコア加工、締結による鉄損増加と鉄損増加抑制手法
尾田 善彦
JFEスチール㈱ スチール研究所 電磁鋼板研究部 主任研究員(部長)
3
高周波軟磁性材料(ソフトフェライト、圧粉磁心)の特性とその応用
  • SiCやGaNといった次世代半導体デバイスの登場により、スイッチング電源の高周波駆動化が進んでいる。この高周波化により、トランスやインダクタといった受動部品を構成する軟磁性材料に対しては、高周波励磁下での損失低減が強く求められている。本講演では、100kHzを超える高周波下で使用可能な代表的軟磁性材料であるソフトフェライトと、性能向上によりインダクタ用途で採用が進んでいる圧粉磁心に関する材料特性およびその応用例について紹介する。
相牟田 京平
日立金属㈱ グローバル技術革新センターGRIT 事業革新部 主任研究員
 パワーエレクトロニクスやモータ駆動システムは、電力変換や電気自動車といった移動体の駆動装置として、現在幅広く展開されております。そこでは磁束密度を大きくするために様々な軟磁性材料が使用され、特にパワーエレクトロニクス技術の進展による高周波大電力化により、実用上の大きなボトルネック技術となっており、その選定方法が高効率小型化の重要なものとなっています。
 そこで本セッションでは、これまでパワー系では議論されていなかった高周波磁気特性の基礎について講演をいただき、ほとんどのモータで使用されている電磁鋼板の最近動向、更に高周波磁性材料の特性と応用について紹介していただきます。
 これにより、パワーエレクトロニクスシステムに必要な軟磁性材料の選定方法についての概要を身につけていただけるものといえます。
 
4月10日(金)
14:15~17:00
A6
永久磁石材料の最新技術動向 ~資源から応用まで~
桜田 新哉
㈱東芝 研究開発本部 研究開発センター 技監
1
ネオジム焼結磁石の動向
  • ネオジム磁石を取り巻く状況
  • Dyフリー化技術
  • 粒界拡散技術
大橋 徹也
信越化学工業㈱ 磁性材料研究所 主任研究員
2
ポストネオジム磁石開発の現状と展望
  • 材料物性と資源的課題を踏まえたポスネオジム磁石の成立条件などの基本的な考え方、現状の研究開発の取り組み、技術課題と今後の展開について、元素戦略磁性材料研究拠点(ESICMM)の成果を中心に、国内外の動向も含めてレビューする。
広沢  哲
物質・材料研究機構 磁性・スピントロニクス研究拠点 特別研究員 / 元素戦略磁性材料研究拠点 代表研究者
3
モータ等への応用を睨んだ磁石性能の評価
  • 磁石の磁気的性能を評価するための多くの物理量がある。物質の磁気特性を表す物理量である飽和磁気分極、結晶磁気異方性定数、キュリー温度、磁石としての特性を表す残留磁束密度、保磁力、最大エネルギー積は代表格である。モータ等への応用を睨めば、それぞれの温度係数、リコイル透磁率、減磁率なども重要である。近年の計算機解析技術の発展は、これらの物理量を入力することによりモータ等の特性を解析することを可能とする一方で、磁石特性とモータ等の特性の関係をブラックボックス化する傾向にある。しかしながら、新しい発想のモータを開発するには、前述の物理量がどのような物理現象によって決まり、モータ等への応用においては、どのように効いてくるのかを知ることが極めて重要であると考えられる。
    本講演では、上記のような観点から、磁石性能を表す磁気諸量の背景にある物理現象を解説すると共に、それらの諸量とモータ等の特性の関係について考察する。
福永 博俊
長崎大学 大学本部 理事 / 副学長
 モータ/発電機の小型化/軽量化/高効率化を支える永久磁石は、現代社会になくてはならないアイテムです。特にネオジム焼結磁石は、すでに幅広く応用が進み、現在主流の永久磁石として飛躍的に生産量を伸ばしています。また、最近、材料面では、資源に関する課題を踏まえたポストネオジム磁石の研究開発が国内外で活発化しています。さらに、応用面では、計算機解析技術の発展によって、新構造モータの提案、適用シーンを睨んだ磁石性能評価技術が進展しています。本セッションでは、永久磁石の資源、材料から応用まで、最新の動向/技術について幅広くお話しいただきます。本セッション直前に開催される東京大学副学長、岡部徹氏による特別講演会「レアアース磁石の資源の状況と問題点・ボトルネック」と合わせ、永久磁石の資源、材料から応用に関わる方々にとって、有益な情報が得られる機会になると考えます。
 


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