JMA MANAGEMENT ロゴ

小会のさまざまな活動を紹介しながら、これからの経営課題を予見し、課題解決のヒントを探っていきます

AI時代だからこそ、創造的思考を磨いていく

「経営革新の推進機関」として、現場の声を聴き続ける

JMAの使命を一言で表すなら、「経営革新の推進機関」だと思っています。私たちの活動としてよく知られている展示会や研修は、目的ではなく手段です。それらを通じて企業や組織の経営革新を後押しすることが、私たちの役割です。
そのために欠かせないのが、徹底してお客様に会いに行くことです。企業の課題は時代とともに変化します。だからこそ、現場の声を聴き続けなければなりません。

私自身、2001年に食品原材料を扱う商社に入社し、食品メーカーへ小麦粉や油などを卸す仕事に携わっていました。転機になったのは、お客様から「FOODEX JAPANについて調べてほしい」と頼まれたことです。調べるうちに、イベントを主催するJMAの採用情報を見つけ、食品業界に関わりながらさまざまな企業と接点をもてる仕事に面白さを感じ、応募しました。2007年にJMAへ入職し、最初に担当したのは「国際ホテル・レストラン・ショー」です。その後はJMAの主力展示会である「FOODEX JAPAN」も長く担当し、現場責任者も務めました。

「半歩先」を提案し、中立の立場で知見をつなぐ

展示会の企画で大切なのは、「半歩先」を提案することです。毎年同じことを続けても、お客様は新しい価値を感じられません。少し先の未来を見据え、「これから必要になること」を提案する。例えばJMAでは、「東京2020(オリンピック)」の開催が決まる前からインバウンド需要に注目していました。当時はインバウンドという言葉自体がまだ一般的ではありませんでしたが、ホテルや地域の方々との対話のなかで「外国人のお客様が少しずつ増えている」という声が聞こえてきたのです。これは大きな流れになると考え、訪日外国人対応をテーマにした企画ゾーンを立ち上げ、多言語対応やWi-Fi環境の整備などを提案しました。

未来の兆しを見つけるために、私は出展者だけでなく来場者にも会いに行きました。展示会の終了後にお電話をして、ご来場のお礼を伝えたうえでご意見を伺うのです。実際にお会いすると、アンケートには書かれていない話がたくさん出てきます。先様は雑談のつもりでも、そのなかに次の企画のヒントがあります。

中立的な立場を取れることもJMAの強みのひとつです。各企業の担当者から経営者まで、さらには評議員会(企業の経営層や有識者が集い、産業界の課題や将来の方向性について議論し、JMAの活動に助言を行う組織)のメンバーや外部理事まで、幅広いネットワークがあります。中立的な立場だからこそ各社の生の情報が集まり、企業と企業をつなぐこともできます。ある企業から聞いた課題を別の企業や有識者にぶつけると、新しい視点が返ってくる。そうして集まった知見を、研修や展示会という形で社会へ還元できることが、JMAの価値だと思っています。

前例のない時代にこそ、現場で考え、判断する

さまざまな課題と向き合うなかで、特に印象に残っているのはコロナ禍です。当時、私は「FOODEX JAPAN」の責任者でした。開催可否の判断も大変でしたが、中止を決めた後も出展料の返金をどうするかなど、前例のない課題が次々と発生しました。

そのなかで心に残っているのは、JMAの経営層が現場の声を重視してくれたことです。

役員からは毎日のように「現場はどうなっている」「君はどう思う」と問われました。そこで私たちは、判断の指針となる材料を、感情を一切交えずに作成しました。そのうえで自分の真摯な意見を伝えたところ、結果として「出展者への全額返金」という経営判断につながったのです。そのことを今でも感謝してくださる出展者様もいらっしゃいます。正解のない状況のなかで、現場の声を聴きながら考え、判断する。振り返ると、あの経験はJMAらしさを象徴する出来事だったと思います。

クラフト・サイエンス・アートで、新しい価値を生む

これからの日本に必要なのは「創造的思考」だと、私は考えています。もちろんAIは重要です。AIは過去の情報を整理し、分析することに非常に長けています。しかし、「未来に必要なもの」や「生み出すべき価値」を考えるのは、人間の役割です。そこで重視しているのが、アートシンキングです。

私たちは「クラフト」「サイエンス」「アート」の3つを大切にしようとしています。

クラフトは経験や技能、サイエンスはデータや分析です。そしてアートの役割は、「これはおかしいのではないか」「こうしたらもっと面白いのではないか」と問いを立てる力であり、創造的思考そのものです。

もちろん、経験や知識の裏付けのない思いつきや勘では意味がありません。
しかし、クラフトとサイエンスを理解したうえで「直感」や「創造力」を発揮することは、AIが発展する現代において新しい価値を生み出す原動力になります。
そして、日本人にはその力があると思っています。昔から海外の文化や技術を取り入れながら、自分たちなりの価値へと昇華してきました。

食文化もそうですし、ものづくりもそうです。AIを活用しながら、そこに人間ならではの創造力や発想力を掛け合わせることができれば、日本にはまだまだ大きな可能性があると思っています。

展示会と研修の掛け算で、未来をつくる

現在、私は産業振興事業である展示会と、人材育成事業である教育・研修を担当しています。この両方を掛け合わせることで、私たちが掲げる「経営革新の推進」を目指しています。企業が抱える課題は、展示会の出展者であっても研修の受講者であっても大きくは変わりません。人材育成、人手不足、組織変革など、多くの課題は共通しています。

だからこそ、展示会と研修を掛け合わせることで、より大きな価値を提供できると考えています。

JMAの研修では「リアル」というものにかなり重点を置いており、合宿のような形で寝食を共にすることで、社内では聞けないような本音を語り合える場を提供しています。
研修で生まれた人脈が長期的に続いているというお話もよく耳にします。

さらに、2042年の創立100周年を見据え、若手人材の育成にも力を入れています。若手人事担当者向けの「HR Camp」、若手マーケターが集う「JMAマーケターズ・パーティー」、観光産業界の若手を対象にした「ネクストリーダーズ」など、企業の枠を超えて学び合える場を積極的につくっています。若いうちに他社の仲間と出会い、悩みや挑戦を共有する経験は、その後のキャリアにとって大きな財産になります。また、同業の仲間を得ることは、離職率を抑えることにも寄与すると考えています。

難しい課題でも「面白そうだな」と一歩踏み出してみる

私は、難しい課題を与えられると「面白そうだ」と思えるタイプです。「できない」と言った瞬間に、思考が止まってしまう気がするのです。そして課題に向き合うとき、まずお客様や外部の方々の顔が浮かびます。「この方に相談してみよう」「あの方なら何かヒントをもっているかもしれない」と考えるのです。

いろいろな業界とのお付き合いがあり、そこには担当者も課長も部長も経営者もいらっしゃいます。皆様とても優しく「それなら彼に相談するのをおすすめします。事前に電話でお伝えしておくので、ぜひ一度お会いください。」と紹介までしてくださいます。そうして多くの方々に助けてもらいながら、いつの間にかチームができている。その過程に、私は面白みを感じます。

これからの日本を支えるビジネスパーソンにお伝えしたいのは、「失敗を恐れず、まずは動いてみること」です。近ごろはAIや検索エンジンに聞けば、答えらしいものがすぐに返ってきます。そのため、私たちは「すぐに答えを求める」ことが癖になっているのではないでしょうか。しかし、それでは新しい価値は生まれません。
まずは自分で仮説を立てる。そして人に会い、話を聴き、また仮説を立てる。その繰り返しです。「動く」ということは「考え続けること」でもあると、私は思っています。

そうしているうちに、ある日ふと画期的なアイデアが生まれることがあります。
行動してチャレンジすること自体がある意味成功であり、何も行動せず挑戦しないことこそ、失敗だと考えています。

AI時代だからこそ、人間にしかできない「創造力」を信じてほしい。そして、まずは最初の一歩を踏み出してほしいと思います。