TECHNO-FRONTIER 2018 技術シンポジウム 幕張メッセ・国際会議場 技術者のための専門展示会 TECHNO-FRONTIER 企画委員インタビュー

第38回 モータ技術シンポジウム
副委員長が教える今年の注目ポイント

東京都市大学 工学部 電気電子工学科 教授 百目鬼 英雄氏

電気自動車から家電製品、産業用途まで、幅広いモータの最先端技術を研究している百目鬼氏。今年のモータ技術シンポジウムの見どころをお聞きしました。

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TECHNO-FRONTIER 2018 モータ技術シンポジウム 副委員長インタビュー
──先生のこれまでの経歴を教えていただけますか?

 大学に助手として5年間在籍し、そのあとにオリエンタルモーターに就職しました。オリエンタルモーターで20年過ごし、大学に戻って14年になります。

 オリエンタルモーターでは、ドライブシステムを研究していました。インバータやモータの解析などいろんなことをしていましたね。今は、大学でリラクタンストルク応用モータの解析やリニアアクチュエータをテーマとしています。基本的には、モータとパワーエレクトロニクス関連の研究をしています。

──今後の研究対象はどのようなものを考えているのでしょうか?

 モータはいろんな形態があるので、その特質比較、得意な特性分野をやろうとしています。また、ドローンも研究対象として考えています。

──ドローンのモータで重要なこととは?

 効率ですね。ドローンですから小さいモータが必要になりますが、小さいモータは効率が悪いんですよ。例えば、パソコンで使っているファンの効率は30%ぐらいしかないんですよね。その能力を飛躍的に向上させるのは難しいと思いますが、「どのようにすれば良いか」という議論はできるでしょう。ドローンをターゲットにした高効率のモータを研究することも考えることはできます。

──先生のシンポジウムとの関わりを教えていただけますか?

 私は第3回から関わっています。

 今は、「モータシンポジウム」という名称ですが、昔は「小型モータシンポジウム」という名称だったと思います。それから、「小型」が抜けて「モータシンポジウム」になった。第3回までは開催場所も東京タワーだったんですよね。東京タワーの中にホールがあって、そこで開催した年もありました。その後、TOCに移り、そして池袋サンシャインで開催したこともありました。

──このシンポジウムのいいところはどこにあると思いますか?

 このシンポジウムのいいところは、「人脈を広げられること」です。いろんな会社の人と技術交流ができる。それが大きいですよ。このシンポジウムに参加すると、いろんな会社の人が参加しているから、多くの人と一度に話すことができる。

 質問がしやすいこともいいところです。質疑応答の方法が、記入式なので、なんでも聞ける。このテクノフロンティア技術シンポジウム自体がショー& カンファレンスとよく言われていますけれど、展示会が併設されていることもメリットでしょう。技術動向を聞き、しかも展示も見ることができる。

──今回のプログラムについて解説いただけますか?

 今年も12セッションの設定がありますが、昔と比べて、内容は変わってきています。昔は家電やオーディオビジュアルのような特化したテーマがあって、それに付随したテーマもありました。

 今は、なかなかそういったテーマが作れなくなっていて、現時点の最新技術と従来からの技術を基本にしてセッションで構成しています。

 今年のこの12セッションについても、最新動向と次世代技術に基づいて構成されています。簡単に説明すると、B4セッション「航空機の電動化とモータの技術動向」、B3「超高速モータ」、C3「パワーデバイス」は、次世代の技術ですよね。新しい形のモータは色々検討されていて、それがB2「可変特性・新構造モータ」です。新しい構造の話があります。

 モータシンポジウムのすべてのセッションを聞けば、現時点でのモータに関することを広く理解することができますが、全部のセッションを聞く必要はありません。そもそもこれらをすべて理解できている人はいません。必要なテーマを選んで聞いてもらうのが一番いいと思います。モータのトレンドを理解するには、このシンポジウムが一番手っ取り早いと思います。

──今回のセッションの中でオススメはどれになりますか?

 C4の「IPM モータの新しい設計技術と高効率化」ですね。IPMモータが今後どうなるかについて、個人的に興味があるからです。B2の「可変特性・新構造モータ」も気になります。振動騒音は永遠のテーマだから、聞いておいて無駄にはなりません。

 モータだけの振動騒音はたいしたことないんです。組み合わせることで周波数が一致して、共振する。単純に振動騒音だけというわけではないんです。その対策にゴムを使って浮かしたり、いろんなことをするわけです。メカ部分との関係が大きいんですね。永遠の課題です。

 もちろん、「可変特性・新構造モータ」以外のセッションも役立つテーマですので、ぜひご参加いただきたいですね。

──今回セッションで扱うテーマ以外で入れたかったテーマはありますか?

 ないですね。取り上げたかったテーマは全て入れることができましたから、この構成には満足していて、整ったプログラムになっていると自負しています。現在、話題になっているテーマを取り扱っていますし、充実した内容になっていると思います。

──シンポジウムの参加者は若手の方が多いですが、そういった参加者へアドバイスをお願いします。

 このシンポジウムは、自分にとって役に立ちそうなことを勉強するチャンスです。シンポジウムの内容を前もって勉強することはできないですから、参加した後に、わからなかったことやより深く勉強したいことをさらに深めて勉強してもらいたいです。そのように、このシンポジウムをスキルアップのきっかけにして欲しいと思います。

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TECHNO-FRONTIER 2018 モータ技術シンポジウム 副委員長インタビュー


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