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小会のさまざまな活動を紹介しながら、これからの経営課題を予見し、課題解決のヒントを探っていきます

INTERVIEW
開発・技術部門評議員会 議長
パナソニック
ホールディングス
株式会社

取締役/副社長執行役員
宮部 義幸

1983年、松下電器産業(株)(現パナソニック ホールディングス(株))に入社。2008年に役員に就任。2016年4月より技術・モノづくり・調達・IT革新総括を担当。2022年6月より現職。

宮部 義幸氏

課題発見・課題解決のための能率UP
機能別の評議員会を越え、産業界を発展させる時期に

―今のお立場やお役割、これまで担当してきたお仕事等について教えてください。

2011年より通算8年間、技術担当役員やCTOを務めましたが、現在は渉外担当、東京における全社の代表という立場にあります。弊社における渉外担当は、政界、官公庁、財界団体と会社の接点になるポジションです。幅広い事業分野を持つグループ全体を見てきた経験を生かしながら、パナソニックグループ全体の顔として社外の方々とコミュニケーションを取るとともに、グループのみならず、日本全体が良くなっていくために私たちはどう振る舞っていけばいいのかを考え、実行することが私に課せられた役割だと思っています。

―渉外担当として官公庁との接点を務められているお立場から、産業界と官の連携の必要性や課題について、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

かつての日本では、官主導で産業を盛り上げるためにさまざまな施策が行われました。その施策の後押しを受けて民間企業が力を付け、1990年ごろには世界で有数の産業を持つ国に成長したわけですが、その結果、官はあまり口を出さずに民間の活動に任せた方が産業が成長するという考え方が民官双方に広がりました。

しかし、市場が拡大して大規模投資が必要になった領域では、民間の力だけで国際競争を勝ち抜くことは困難です。例えば半導体は、当初日本が民間の力で世界をリードしましたが、現在は国を挙げて産業競争力を強化した韓国や台湾に後れを取っています。EVやカーボンニュートラルといった領域は、半導体同様、グローバル競争の激化が予想されます。こうした領域で日本が優位に立つために、日本も国の政策や投資の動きと民間企業の向かうべき方向の整合性を取っていく時期に来ていると考えています。

―現在の機能別の評議員会の在り方をどのようにお考えでしょうか。

全ての業界に当てはまるとはいえませんが、変革期を乗り越えるには分業体制では難しく、むしろ分業体制そのものを見直す議論が必要になります。日本能率協会の機能別の評議員会は、業界の垣根を超えた議論ができるという点で、とても意義深いものだと感じています。私自身、評議員会で普段接点の少ない業界の方々のお考えをうかがい、非常に勉強になりましたし、その成果を経営にも生かしてきました。一方で、例えば人材の強化を図る際には、個々の役割の中だけで議論しても前には進みません。現在の評議員会の良さを生かしつつ、評議員会間で情報共有や議論ができる場をつくることも検討していく必要があると思います。

―今後の日本能率協会へ期待することやご意見をお願いします。

日本能率協会がこれからの産業競争力の下支えを続けるためにも、今後は課題を見つけ、課題を解決する能率を上げることをより強化していく必要があるのではと思っています。