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小会のさまざまな活動を紹介しながら、これからの経営課題を予見し、課題解決のヒントを探っていきます

INTERVIEW
生産部門評議員会 議長
マツダ株式会社
代表取締役会長
菖蒲田 清孝

1982年入社。2013年、常務執行役員 グローバル生産・グローバル物流担当、技術本部長就任。2016年、取締役 専務執行役員 品質・ブランド推進・購買・生産・物流統括。2021年より現職。

菖蒲田 清孝 氏

カーボンニュートラルや生産の危機への対応を
業種を超えて学び合い、課題解決を図る

―評議員会ではどのような活動をしているのでしょうか。

生産部門評議員会には、日本を代表するさまざまな業種の企業が参加されています。活動開始にあたって、皆さんの課題をお伺いすることから始めたのですが、どの業種の皆さんも以下のような、同じ悩みを抱えていました。

ここ2~3年で、地震・豪雨などの自然災害やコロナ禍など特殊災害への備え、デジタル革命、カーボンニュートラルの対応など、私たちを取り巻く環境は日々、相当なスピードで大きく変化してきています。このような予測不能な不確実性が増す時代の中で、環境変化に対応するモノづくりが一層重要になってきており、特に、カーボンニュートラルへの対応、生産の危機への対応は、業種を超えた重要課題になっています。

生産部門評議員会では、この二つのテーマについて、業界を超えて勉強できることはないか、さまざまな会社を実際に訪問して現地現物で学び合う場を持ち、競争ではなく協業によって課題解決に向けた取り組みにつながるよう、活動を進めています。まず生産現場を起点としたカーボンニュートラルの取り組みについて、モノづくりのカーボンニュートラル、エネルギーのカーボンニュートラルの観点から、見える化をベースに生産技術革新・体制などの現場の取り組み事例と、課題を解決していくための人材育成、今後の方向性について、包括的な議論を進め、各業種の課題解決につながるように活動をしています。

―経営機能(部門・地域)に共通する課題を異業種企業で議論する意義をどのようにお考えでしょうか。

特にカーボンニュートラル化への対応は、業種をまたいだ産業界全体と地域社会の共通のテーマです。カーボンニュートラルがリスクではなく、企業や地域の経済成長につながる活動にしていきたいと考えています。対応すべき課題は多岐にわたるため、電力を“つくる側”と“つかう側”の異業種を含めた関連企業に加えて、行政が一体となって議論することによって、相互啓発につなげ、ひいてはカーボンニュートラルに関わる投資を促進し、その効果を地域内に循環する仕組みにつなぐことができないかと考えています。

―評議員会を通じて今後取り上げたいテーマを教えてください。

資源の多くを外国に頼る我が国にとって、これまでの最大の強みは“モノづくり力”でした。高品質の製品を低コストで提供するという働く人々の意識とそれを裏打ちする技術と技能が国を豊かにしてきました。しかしながら、世界中のビジネスの現場で起こっている問題として、利便性にあふれ、便利さにお金を払わなくなる一方、意味があるものに高い付加価値が認められる時代になってきていることから、これまでの高品質、低コストの意味するものに変化がみられています。

私たち生産部門評議員は、日本のモノづくりを強くするために取り組まなければならないと思っています。

これまでの日本のモノづくりは、欧米のモノづくりを受容し、変容し、超越させて強くなってきました。昭和の時代は、世の中に問題が数多く存在し、その問題をさまざまなモノづくり技術で解決してきましたが、これからの時代に求められるモノづくりの在り方など、少し漠然としたテーマになりますが、私たち自身の発想の転換になるようなテーマで議論を進めることの必要性も感じています。

生産部門評議員会の存在意義、目的とは何か…その目的は“夢”のあるものにして、全員が同じ目的意識を持つことができれば、素晴らしい方向性が見いだせるのではないかと思っています。

―日本能率協会に対する期待をお聞かせください。

JMAには、「生産部門」だけではなく、「開発・技術部門」・「購買・調達部門」・「人事・教育部門」など、広い分野の評議員会があります。「これからの日本のモノづくりに必要なこと」などの共通のテーマでほかの評議員会との交流の場や、単独の企業ではお呼びすることが難しい専門家や有識者の方の講話などを企画し、勉強させていただく機会を作っていただければ幸いです。