TECHNO-FRONTIER 2020 技術シンポジウム 幕張メッセ・国際会議場 TECHNO-FRONTIER2018 技術シンポジウム 企画委員特別小冊子ダウンロード

第19回 熱設計・対策技術シンポジウム
委員長・副委員長インタビュー

副委員長
㈱サーマルデザインラボ 代表取締役
国峯 尚樹氏

委員長
富山県立大学 学長 工学博士
石塚 勝氏


 2018年開催のテクノフロンティア技術シンポジウムは、リーマンショック以後、最大の来場者数を記録しました。現在、2019年の「熱設計・対策技術シンポジウム」に向けて、開催内容の検討が進められています。昨年のシンポジウムの振り返りや、熱設計の現状について、委員長の石塚氏と副委員長の国峯氏にお話いただきました。

「熱対策」が注目される理由


──昨年の「熱設計・対策技術シンポジウム」は、自動車関連企業に勤める方の来場がすごく増えました。これは「熱設計・対策技術シンポジウム」だけではなく、「バッテリー技術シンポジウム」も同じでした。

(国峯)自動車業界全体が電気自動車にシフトしてきているのが理由だと思います。みんながこの分野の技術に関心を持っている。電気自動車になって、バッテリーだけでモーターを動かすとなると、バッテリーを大型化しなければいけないし、モーターも高出力化する必要があります。
(石塚)テクノフロンティア技術シンポジウムは、幅広い要素技術のシンポジウムを行なっているので、電気自動車を作るためのカーエレ、パワエレ、熱、モーターなどの技術全てをカバーしている。だから、電気自動車に関心がある技術者のニーズに応えることができる。今までは自動車メーカーにしか、自動車の設計はできませんでしたが、理論的には電子部品メーカーでも自動車が作れるようになった、と言えるかもしれない。
(国峯)ある意味そうですね。作ることはできるでしょう。しかし、問題は評価をどのようにするかだと思います。安全性の問題ですね。電気自動車で重要なのは、モーター、バッテリー、それにインバーターです。インバーターについてはハイブリッド車の頃から、各メーカーが開発を進めていたので、技術革新は進んでいると思います。これからはSiCが注目されていくでしょう。半導体になるということです。
(石塚)先ほど話をしたように、テクノフロンティア技術シンポジウムでは電気自動車の開発にも役立つ技術を紹介しているので、その点をもっと伝えていきたいですね。何も知らない人でもその技術が理解できるようなチュートリアル的なセッションを提供していくことも大切だと考えています。


コネクテッドカーにおける熱対策


(国峯)電気自動車だけではなく、最近はコネクテッドカーが話題になっています。インターネットと接続して情報共有をおこない、自動運転にも対応する。コネクテッドカーでは、通信系デバイスやCPU等、高発熱のデバイスが中心になります。そういった機器を車に搭載するのは、実は、難しいことです。普通のパソコンであれば、40℃までの環境を考えればいいのですが、車の場合、ダッシュボードに置くこともある。そうなると、70~80℃にもなる環境で作動しなければならない。現実的にはエンジンルームに設置することはありませんが、エンジンルームだと100℃
を超える。自動車の温度環境は、それぐらい大変厳しいわけです。今の機器は高密度になっているので、熱暴走の可能性がありますから、熱の問題は非常に大きい。繊細な性質を持つ通信機器がこれからの自動車のメインの機器になっていくわけで、当然、開発がもっと難しくなっていくと思います。
(石塚)言ってみれば、制御のためのパソコンが自動車の中にあるわけですよね。
(国峯)そうですね。しかもかなり高速のタイプです。中央で処理して、AIなどのための情報を集める。ハードウェアで言えば、ワンチップで処理することになります。

─テスラはipad位の大きさのモニターが車内にあって、ネットに繋がっています。あのような機器になっていくということでしょうか?

(国峯)テスラは汎用の技術を使っていく方向だと思います。バッテリーは水冷なので、冷却技術が特殊です。
(石塚)水冷は確かに冷えやすいけれども、温まった水を冷やさなければいけない。
(国峯)今の水冷は、熱輸送をしているだけなんですね。だから、実は空冷なんです。ラジエーターの性能で決まります。
(石塚)だから、ラジエーターは大事なんですね。
(国峯)冷却はコストをかければかけるだけ冷やすことができます。だけれども、どうしてもコストの関係でできることは限られる。エンジンは耐熱性という意味では、今の半導体よりもずっと高いわけです。それを水冷という技術で対応してきました。しかし、これからはもっと耐熱温度が低い機器をラフに冷やさなければいけない。だから、みんながSiCに期待しているわけです。250℃で動くのならば、冷却装置が要らないですからね。


「熱設計・対策技術シンポジウム」の聞きどころ


──昨年と比べて、今年のプログラムで変わるところはありますか?

(石塚)今回、久しぶりにチュートリアル的なセッションを開催する予定です。来場者にどのように受け止められるかが楽しみですね。ご好評いただいたら、今後も継続していきたいと思います。

──「電源システム技術シンポジウム」でも、ここ最近、チュートリアルをテーマにしたセッションをいくつか開催しており来場者が増えています。基礎的な知識を求めている人がいらっしゃるということだと思います。これは、社内で基礎的な知識を学ぶ機会が少なくなっているということが理由のようです。

(石塚)初心者の方は、何が重要なのかがわからないと思います。ですので、チュートリアルのセッションは、熱のことを全く知らない方が基本から勉強できるようにしたいと思います。初めて来場する方がどんどん増えてきていますが、熱の技術はとっつきにくい内容です。だから、チュートリアルを開催する意味があると思います。また、「熱設計・対策技術シンポジウム」は、他の組織でも活躍されている企画委員が多く、そちらでの研究の成果を聞くこともできます。とても意味がある発表になっていると思います。
(国峯)チュートリアルがある一方で、業界をリードするようなテーマも扱わないと面白くない。もちろん、最近の技術者は、最先端のことを調べるというよりは、困っている問題をなんとかしたいという場合が多いので、現実的なテーマも扱います。
(国峯)最近は、講演者が開発の苦労話を語ってくれることが増えました。現場でいろいろやっているのだけれども、解決できない。そういうリアルな体験談は技術者にとって参考になるところが多いと思います。実際、開発段階ではスマートに問題を解決しているわけではなく、苦労を重ねた結果、ようやく成功していることがほとんどです。今は、企業がそういう苦労の部分を表に発表しなくなっています。社内チェックが厳しくなってきていて、なかなか、外部に出てこなくなってきていますが、そこをかいくぐって話をしてもらっていただいています。
(石塚)熱技術に関して、テクノフロンティア技術シンポジウムの規模で開催しているイベントは他にはありません。このシンポジウムくらいしかないのではないでしょうか。
(国峯)そうですね。この規模でおこなっているのはないです。唯一と言っていいと思います。
(石塚)このシンポジウムの委員の方々は、大手メーカーの錚々たるメンバーですから、そういった日本を代表する企業の発表が聞けるのも、メリットだと思います。
(国峯)確かにそうですね。日本の企業は、他社が何をやっているかを気にします。技術者は相談相手が社内にいないことが多く、孤独です。この前、いろんな会社の技術者が集まってディスカッションをする機会があったのですが、とても評判がよかった。技術者はフランクに話す人が多いので、活発に情報交換をします。そういう場面をこのシンポジウムでももっと増やしていきたいですね。本当に悩んでいて、他社のやり方に興味を持っている人は多い。みんなそういう話を聞きたいんですね。

──最後に、お二人に今年の講演者でお勧めする講演がありしまたら教えてください。まずは、石塚委員長お願いします。

(石塚)F6のセッションでは、計測技術に関する講演を並べました。CFDなどの流熱解析を用いた設計法も発展していますが、最後はその解析結果は実測値と会っているのか?という課題に帰着します。しかし、その実測値が正確でないとまた問題です。計測は地味ですが、一度極めると大変な力を技術者に与えます。今回の講演の中では、「熱抵抗測定によるハンダクラック率検知技術」などは、設計現場にとっては大変有意義な講演であると思います。

──次に、国峯副委員長お願いいたします。

(国峯)今回は貴重な講演が多数ありますが、F2は、今回はじめて設けた規格のセッションです。部品の小型化によって部品の熱は表面から直接空気に逃げず、基板を経由して逃げるようになりました。この結果、例えば周囲空気温度による部品の温度管理が困難になり、小さい部品は熱流体解析や温度測定も難しくなりました。こうした状況に規格類が対応しておらず、更改していく必要があります。このセッションではこれらの業界動向について全体像を知ることができます。


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