JMA MANAGEMENT ロゴ

小会のさまざまな活動を紹介しながら、これからの経営課題を予見し、課題解決のヒントを探っていきます

多様な参加者が集う公開研修を通して、
社会の要請に応えるマネジメント力を高める

公開セミナーチーム Release January. 2023

公開研修イメージ

日本能率協会では、年間約1,300本の公開研修を開催しています。生産、開発・技術、マーケティングなどの部門別、年次や役割などで切り分けられる階層別に企画されており、階層別教育、新入社員教育分野で企画、運営を担う栗原侑平が、公開研修の魅力や、激しく変化する産業界や社会に果たす役割についてご紹介します。

公開センター 栗原侑平
公開セミナーチーム
栗原侑平
大学で文化人類学を学び、集団が動く論理へ関心を寄せる。就職活動ではマネジメントという切り口に「人材育成」「展示会」「審査・検証」という幅広い観点から取り組むJMAの業務内容に興味を持ち、入職。会員企業のサポート業務を経て、現在は公開研修担当として業務に励む。

年間500開催に上る研修をマネジメント

日本能率協会(以下JMA)が行っている研修には、大きく分けて2つのスタイルがあります。一つは、ある企業・団体・学校が固有に抱えるニーズや課題について解決策を導き出していく研修です。もう一つが私の担当する「公開研修」で、こちらは複数の企業から参加者を募り、共通する課題に対して解決策のエッセンスを学んでいくものになります。公開研修は、生産、開発・技術、マーケティング、人事・労務、品質管理といった部門・機能別の研修、年次や役割などで切り分けられる階層別の研修、思考力やコミュニケーション力といった個別のテーマにスポットを当てた研修、そして、各企業の中から次期経営者・幹部を養成する選抜研修など、20程度の分野に分かれており、私は主に階層別教育、新入社員教育に携わっています。

年間で携わる研修はトータルで500本ほどあり、そのプロジェクトマネジメントが私の役割です。プロジェクトマネジメント、と簡単にまとめてしまいましたが、新規セミナーの企画立案、既存セミナーの評価分析と見直し、広告宣伝、営業・面談、研修現場の運営、収支管理など、担当する研修に関するあらゆることについて、社内外の方と連携して進めていきます。一つの事業の川上から川下まで同じ人間が担当するこうしたスタイルは、JMA全体の特徴かもしれません。

業務の中では、一つの研修に対して営業的な側面で考えることもあれば、マーケティングの側面、管理会計の側面から考えることもあります。多面的に物事をとらえて課題への仮説を立て、その時々の最適解を導き出していくことは楽しく、そうした瞬間に感じるやりがいが仕事の支えにもなっています。

“最大公約数”かつインパクトのあるテーマを模索

階層別教育・新入社員教育は、対象者や内容によって研修期間、人数がそれぞれ異なります。たとえば、毎年4月初めには新入社員向けのセミナーが集中し、多い時には合計600人ほどが一斉に受講することもあります。一方で、新しく役職に就いた方向けの研修は、年間を通して需要が高く、定期的な開催数を確保しています。参加者の業界・業種も多様です。ITベンダー、土木、保険、インフラ、医療、大学など、本当に幅広い業界から参加いただいています。参加者が多様であるが故に、課題やテーマの設定には特に気を配っています。どの業種、どの職種にも通じる課題を見出すのはなかなか難しく、かといって、普遍的すぎるテーマでは魅力を感じていただけません。そのさじ加減を考えながら、人材育成に関心の高いお客様のニーズに合った研修を提供するため、チームメンバーや講師などと、内容のブラッシュアップを続けています。

昨年度は、管理職への昇進直前・直後の方を対象にした新しいセミナーを開講しました。このセミナーは、複数のお客様から寄せられた「管理職への昇進はどのようなポイントで判断すればいいのか」という疑問をきっかけに生まれたセミナーです。社内のメンバーと検討を重ね、参加者のこれまでの業績や人物像を描き出すアセスメント的な要素を持ちつつ、管理職としての自信も高められるような内容を盛り込んで開講に至りました。お客様からのニーズから発想したことが形になり、印象に残る仕事の一つになりました。

JMA セミナーイメージ

お客様から寄せられる第三者性への期待

公開研修を含めたJMAの人材育成事業は、一般社団法人であることによる第三者性や、80年の歴史に裏付けられた知識や知見を生かした内容が特徴だと考えています。評議員会、経営審議会、経営課題実態調査といった経営視点での課題、反対に各社の人材育成の現場から出てくる目下の課題、それぞれを研修に反映できるという点は、大きな強みです。お客様にお問い合わせをいただいた際も、「JMAは偏りなくフラットな目線で一緒に考えてくれる」という期待を感じていただくことが多く、第三者性はお客様の信頼感にもつながっているようです。

さらに、研修では「実践」と「他社交流」を重視している点も特徴です。知識は本を読むだけでも身につくかもしれませんが、学んだ知識を現場で活かすことは、また別の話です。他社の参加者を前に、得た知識を自分の言葉、行動として発信する経験は、ほかにない刺激と学びが得られるものだと思っています。

なお、JMAは、多様な研修メニューを持っていることも特徴として挙げられます。伝統的にものづくりの現場に根差し、関連するセミナーも多くあります。そのほかにも、ISO・FSSCといった審査・規格に関わるもの、マーケティング戦略に特化したもの、調達・購買の現場に役立つものなど、多くの切り口で研修を企画し実践しています。そのラインナップの豊富さは、JMAの力だと感じます。

JMA セミナーガイドイメージ

丁寧な対話の積み重ねが信頼を生む

公開センター 栗原侑平 その2

お客様と接する中で、日々さまざまな相談を受けるのですが、多くの場合、その内容はかなり抽象的です。たとえば「今年課長に昇進した3人に対して、年間で1週間程度の教育をしたい。それに適した研修はどのようなものがあるか」といった具体的な相談はあまりなく、「部長向けの研修に悩んでいる」「若手社員に力を付けさせたい」という大まかな内容が大半を占めます。逆に言えば、課題感はあるがモヤモヤしていてはっきり見えていない、という状況に困って私たちにお声掛けいただいているのだと思います。

そうしたご相談は、もちろん一度お答えしてすぐに解決、というわけにはいきません。「部長職に求めるスキルは何ですか?」「若手にどんな力を付けさせたいですか?」と一つ一つ質問していくわけですが、そこでお客様との間に対話が生まれます。

対話を重ねていく中で、お客様自身も課題をより明確に認識し、こちらもお客様の課題の解決に役立つ提案をすることができるようになります。そして、こうした対話を重ねること自体が、私たちに対するお客様の信頼感をより高めることにも繋がるように思います。これからも丁寧な対話と提案を積み重ね、信頼を寄せてくださるお客様を少しずつ増やしていきたいと思っています。

本質的に求められるのはマネジメントの力

今、日本の企業や社会は、労働人口の減少、人材の流動化、ジョブ型雇用の拡大など、大きな変化の波に襲われています。これからの時代、働く人に求められるのは、個々人の能力をより高めていくことだと思います。JMAの研修は、知識を学び、仕事の現場や社会で実践し、能力を発揮してもらうことを目的としたものです。こうした学びの場は、これからも時代の要請に応えるものだと考えています。

また、これからの社会で働く人に求められる本質的な能力とは、おのおのの立場や役割に応じたマネジメント能力ではないでしょうか。雇用形態や人事システムが変化しても、ことある場面でマネジメントの力は変わらず求められる能力だと思います。80年にわたってマネジメントに特化した事業を続けてきたJMAは、これからも産業界を支える力であり、仕事を通じてたくさんの方のマネジメントスキルの取得、向上のお手伝いをしていきたいと思っています。