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小会のさまざまな活動を紹介しながら、これからの経営課題を予見し、課題解決のヒントを探っていきます

新たな価値を生むマッチングの場をつくり“観光立国 日本”の進化を後押ししたい

展示会/HCJ (国際ホテル・レストラン・ショー・フード・ケータリングショー・厨房設備機器展) Release January. 2023

HCJイメージ

HCJは「国際ホテル・レストラン・ショー」「フード・ケータリングショー」「厨房設備機器展」で構成するホスピタリティとフードサービスの専門展示会です。ヒト・モノ・情報の交流と発信を通じて、サービス産業の活性化に貢献しています。毎年、各業界のリーディングカンパニーからメンバーを迎え、HCJのブレーンとなる委員会を組織し、タイムリーな企画を策定しています。本稿では、担当の佐藤李城がHCJの魅力と今後の可能性についてご紹介します。

産業振興センター  第1事業グループHCJ担当 佐藤李城
産業振興センター 第1事業グループHCJ担当
佐藤李城
大学で観光学を専攻し、MICEへの関心を高める。卒業後、シティホテルに就職し、2年間ホスピタリティの現場を経験。日本のMICE産業を盛り上げていくために、関連する業界の活性化に貢献したいと考え、HCJを主催する日本能率協会に転職。以来、HCJの担当として、業務に励んでいる。

業界のリアルな声を聞きながら企画内容を工夫する

HCJには厨房設備から食品、家具や備品、テーブルウェア、さらにはITシステムまでホスピタリティとフードサービスに関する幅広い企業が出展します。こういった構成の総合展示会は他に類がなく、また規模としても日本最大です。3つの専門展示会で構成しているので、関連する業界団体も幅広く、その連携によって出展者と来場者の規模を大きなものとしているのもHCJの特徴です。

HCJでは2つの企画委員会を設け、各業界を牽引している企業の経営層や購買責任者の方々に参画していただき、業界のトレンドや課題を踏まえて展示会の企画や運営についてご意見をいただいています。常に業界のリアルな声を聞きながら展示会の内容を工夫していることは、HCJの強みと言えるでしょう。

宿泊、外食、給食、中食の総合展示会であるHCJは、それぞれの業種の最新情報を入手できますが、それに加えて、「目的以外の業種のソリューションが役立った」という声も寄せられています。例えば、宿泊施設の方が外食店舗向けのITシステムを知り、導入につながった事例もあります。普段は知りえない商品やサービスに出会えるのもHCJのメリットだと思います。

出展者の7割は翌年も継続してご出展いただいています。要因の一つは来場者の動員力です。ある出展企業からは「新たなサービスを開発したときに、取引先のホテルの担当者から『この業界で販路を開拓したいのなら、HCJに出展すべき』とアドバイスされました」という声をお聞きしました。HCJに行けば、サービス業界を中心に多くの出会いがあり、新しい情報を入手できるという定評をいただいています。

国際ホテル・レストラン・ショー・フード・ケータリングショー・厨房設備機器展 イメージ

厳しい状況だからこそポジティブなメッセージを発信する

新型コロナウイルス感染症が拡大し、2020年4月に緊急事態宣言が発令するなか、宿泊施設やレストランは営業できず、関連産業も大きな打撃を受けました。そういった業界に支えられているHCJにとっても厳しい時期でしたが、こういう厳しい状況だからこそ、HCJが課題解決に向けて情報発信をしていく。ポジティブなメッセージを発信して、サービス産業に少しでも光を灯すのがHCJの役割だと覚悟し、コロナ禍においてもできる限りの対策を尽くし、開催を継続してきました。

2022年2月のHCJでは開会レセプションも実施しました。HCJの魅力の一つは業界の方々が直接顔を合わせて交流する場を提供することです。まん延防止等重点措置は適用されていましたが、懇親の場を提供することで、サービス産業に活気を取り戻していきたいという一心での決定でした。賛否両論はあったかと思いますが、誰もやっていないからこそ、誰かが踏み出さないといけない。「まず、ファーストペンギンになろう!」と実施を決定しました。

会場となったホテルのご担当者からもさまざまなアイデアを出していただきながら、どうしたら立食形式での懇親会を安全に実現できるか議論を重ねました。レセプションの当日、会場を訪れたホテル関係者からは「こうすればコロナ禍でも立食形式の会合が可能なんだ!」「うちでもやってみよう!」という声が聞かれました。その後、「この懇親会を参考にして、お客様に立食形式の会合を提案できた」と、ホテル関係者に言われたときは本当にうれしく思いました。

コロナ禍が教えてくれたリアルな展示会の価値

産業振興センター  第1事業グループHCJ担当 佐藤李城 その2

コロナ禍に入って以来、HCJの出展企業の多くは対面での営業活動ができない状況が続いていました。厨房設備や家具、テーブルウェアなどは実物を見ないと魅力が伝わらない商品がたくさんあります。コロナ禍で開催していたからこそ、「出展して新しいお客様に出会えた」「普段はできない交流の場が持てた」という感謝の言葉をいただきました。来場者からは、「今後の経営に活かせる情報が会場での会話から入手できた」という声を聞くことができました。直接、感謝の言葉をいただくと展示会を開催する意義を実感します。

改めて「リアルな展示会には価値があることを認識できた」と言っていただいたときに展示会を開催して本当によかったと思いました。ホスピタリティやフードサービスに関する業界は今後も、リアルにモノを見て、人と話して交流することは、コロナ禍を経ても変わらず価値のあることだと実感しています。

人をつなぎ、未来を語る場を創出するのが私たちの役割

私自身、大学卒業後にホテル勤務を経験していました。ホテルで働くことはなくなりましたが、今も宿泊業界は大好きです。だからこそ、HCJを通して、この業界が働きやすくて、魅力的な業界になってほしいという思いはとても強いものがあります。その思いから現在担当している「宿泊業のスマート化研究会」には思い入れがあります。

本研究会は宿泊施設、ソリューションを提供するメーカー・ベンダー、大学・研究機関で構成されています。本研究会では業界における課題やありたい姿を議論し、そこで得られた知見をHCJの会期中にソリューションの紹介を交えながら発表しています。本研究会の初年度である2021年2月は非接触やコスト削減が議論の中心でしたが、3期目を迎えた今回はアフターコロナを見据え、日本が観光立国として成長するためにデジタルを活用した顧客体験価値の向上をテーマとして設定しています。

この研究会において、日本能率協会の役割は人をつなげることです。私たちがこのような場を設けることで、今後、宿泊業界がどのように発展していくか未来を語ってもらう。そのつながりを創出するのが私たちの仕事です。

HCJを世界とつながる場に育て、日本の価値を発信したい

HCJには、会社規模は小さくても素晴らしい製品やサービスを提供する企業が多く出展しています。その価値は、日本国内はもちろん、海外へ輸出できる可能性もあります。ぜひ、HCJを通じて、高い付加価値を加えながら、世界に日本の素晴らしい価値を発信したいと思います。

そのためにもHCJをアジア最大級のホスピタリティとフードサービスの展示会に成長させ、日本国内だけではなく、世界とつながる場にしていきたいと考えています。