JMA MANAGEMENT ロゴ

小会のさまざまな活動を紹介しながら、これからの経営課題を予見し、課題解決のヒントを探っていきます

人と組織をつなぐ場をつくり産業界と共に経営革新の未来を拓く

産業界の声を聞き、事業を積み上げてきた80年

日本能率協会(JMA)は1942年の創立以来、80年にわたり「経営革新の推進機関」として活動をしてまいりました。

その原点は、日本の産業界に役に立つ事業に取り組み続けることです。多くの先達たちが、困難な時代であっても、常にこの変わらぬ原点に立ち返りながら事業を推進してきたからこそ、JMAは成長を遂げることができたと思います。

JMAの核は協会名の由来でもある「能率」の追求にあります。能率はマネジメントの基本であり、今も企業経営にとって大きなテーマであり続けています。能率の精神は、人の「能力」、設備の「性能」、材料の「機能」を活かしきることです。とりわけ重要なのは「人」です。JMAは人を中心とした経営革新の推進に力を注いできました。

大切にしているのは、「時代の半歩先を読むこと」です。変化のスピードが早い現代ですが、時代の半歩先を読み、変えるべきことは変える勇気を持ちながら、産業界で必要とされる事業を生み続けることに重きを置いています。

時代の半歩先を読むためには、産業界が何を望んでいるかに真摯に耳を傾けなければなりません。JMAは会員、理事会、経営審議会、評議員会によって構成されています。多くの企業に信頼していただいているからこそ成り立っている組織体であり、そこで交わされる真剣な対話そのものがJMAの財産です。参画企業に本音を語っていただきながら、「我々は何が望まれているか」「我々に何ができるか」を確認し、一つひとつの企画を丁寧に立案し、実施しています。この積み重ねが80年にわたる歴史を支えてきたのだと思います。

立場を超えた対話で熱い共感の場をつくる“使命”

世界は今、未来予測ができない時代に突入しています。不安な要素を挙げたら切りがありません。先が見えない時代に企業が適応し、生き残っていくために必要なのはイノベーションです。日本の産業界には、イノベーションを生み出す力があります。

イノベーションを具現化し、強く発信していくためにJMAにできるのは「つなぐ」ことです。「人と個人」「人と組織」「組織と組織」をつなぎ、さらには世界との架け橋をつくっていきます。

理事会や経営審議会、評議員会では、企業1社では解決できない課題を共有し、意見を交わし、新たな施策の方向性を議論しています。JMAというニュートラルな場だからこそ、企業が積極的に参加でき、情報を公開し、本音の議論が成立します。

例えば、評議員会には生産部門があるのですが、企業の生産現場を見学した後に、同業他社の評議員たちがカーボンニュートラルなど日本の製造業が抱える悩みについて本音のディスカッションを交わす場面も数多くあります。JMAの「使命」はまさに、強い発信力によって、国や地域、企業、立場を超えて組織と人をつなぎ、イノベーションを生む「熱い共感の場」をつくることだと感じる瞬間です。

現在、JMAの評議員会は5つの部門と4つの地域で構成し、それぞれで経営課題について議論しています。今後は、これらの部門と地域を横断する共通のテーマ設定と議論の場をつくっていきたいと考えています。

企業の経営革新を後押しする4つの事業

JMAには大きく「人材育成・組織開発」「ものづくり支援」「産業振興」「ISO審査・温室効果ガス検証・第三者認証」という、4つの事業があります。

人材育成・組織開発の事業では、経営者・幹部育成、部門や階層別の研修、企業や自治体など個別の課題解決の講師派遣や調査など、幅広い領域をカバーするプログラムを構築しています。その大きな特長は、個人の成長をサポートし、人と人をつなぐかけがえのない場をつくることです。

例えば、「JMAトップマネジメント研修プログラム」では、異なる企業の経営者や経営幹部が「同期」として共に学びます。社会人になってから、他の企業の方と交流して、本音で語り合える機会はなかなか持てないものです。まったく異なる企業文化で働く人々が集い、同じ課題意識を持ちながら本気で議論を交わし、強い共感が生まれる場がJMAの研修にはあります。

2つ目はものづくり支援の事業です。製造業の生産能率の向上を目指し、「ひとづくり」をベースとして、人材強化に向けたプログラムや個別支援、表彰・優秀事例発表会、資格制度などを実施しています。

その一例が「第一線監督者の集い」です。製造現場のリーダーが改善の事例を発表することで、社内のモチベーションのアップとものづくりに対するプライドの醸成に寄与してきました。ものづくりに対する自負は企業全体として高い品質の製品をお客様へ届ける相乗効果へとつながっています。

このイベントは、中国やタイにも展開しています。日本の製造業の素晴らしさをアジアの製造業の皆様にも知っていただき、現地企業のレベルをアップしていく。アジア各国の製造業の発展に寄与することはJMAの次なる挑戦です。

産業振興の事業では、年間に約30件に及ぶ専門展示会を開催しており、製造・インフラ産業から食・サービス産業まで幅広い分野をカバーしています。専門展示会の原点は、良質なビジネスマッチングの場を創出することです。数日間の限られた会期で、出展社や来場者に満足いただけるかがその成果の指標となります。

展示会は「生き物」だと私は感じています。40年、50年と続いている定番の展示会でも、大きく成長する時期もあれば、衰退してしまう時期もあります。展示会を生かし続けるためには、出展社と来場者に飽きられない仕掛けづくりが必要です。大切なのは担当者の「知恵と勇気」です。毎回の展示会でオリジナリティを打ち出す取り組みをいかに持続できるかが展示会の生命線であり、事業としての醍醐味だと思います。

そして、審査・検証・認証の事業は、経営者自身が自社の経営を振り返る場であり、「経営革新の推進機関」であるJMAにとって極めて重要な領域です。企業が良い経営状態を保つには、経営者がしっかりと企業の現状、とりわけ現場を再確認し、従業員がどう働いているかの現実を目の当たりにする機会が必要です。

経営者にとっては時に現実を直視するのが辛いこともありますが、その検証でしか得られない「気づき」が数多くあります。そういった検証を周期的に繰り返し、確認していだくことが磐石なマネジメントにつながっていくのです。JMAの審査・検証事業では、経営者に直接、苦言を呈することも厭いません。我々の真剣な姿勢を信頼していただいているからこそ、多くの企業に審査・検証を継続して依頼されているのだと自負しています。

培ってきた領域を研ぎ澄まし、産業界へのさらなる貢献を

JMAの業務に従事する社員は、真面目に、愚直であろうとする人々が多いと感じています。それが、80年にわたり継承されているJMAの伝統であり、「JMAイズム」です。一人ひとりが責任感を持ち、そして互いを信頼している。だからこそ経営者としての私は良い意味で現場の職員に任せることができ、必要があればフォローをします。一番大切にしていることは、職員と本音で語り合うことです。嘘がない本音の対話こそが経営者の私が最も心掛けていることです。

時に仕事の忙しさに追われる時もあることでしょう。しかし、決して忘れていけないのは、JMAは産業界のお客様のために働いているという原点です。その原点を忘れずに、チームで価値観を共有し、上司も部下も関係なく、同じ目線で課題に取り組んでいくことができれば、必ず良い成果を生むことができます。

JMAはこれからも、日本の産業界がイノベーションを生むための後押しをしていきます。そのために、JMAが長い時間をかけて培ってきた「人づくり」「組織づくり」「仕組みづくり」という得意な領域の事業をさらに研ぎ澄ませていきたいと考えています。時代の半歩先を読みながら、これまで続けてきた事業を常に見直し、リフレッシュし、日本の産業界にさらなる貢献ができる事業を展開してまいります。