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小川紘末/元システムエンジニアによるデータ農業

2015.01.15

元システムエンジニア夫婦によるデータ農業
「上手くいかないところが楽しい!」

小川紘末  (宮崎県小林市 おがわ農園)

まずは小川さんが就農するまでの経歴をざっくりご紹介!


小川さんは、東京都生まれ。
大学院終了後、システムエンジニア(以下、SE)として金融機関のシステム構築に携わっていました。
同じ職場で働いていた夫から「生まれ育った宮崎で農業をやりたい」と言われ…
平成18年の夏、宮崎県にIターン。
その後、宮崎県農業大学校・実践塾で1年/農家実践研修1年の計2年の研修を終え…
平成20年に『JAリース事業』を活用し、園芸用ハウスと機械などを整備して新規就農。


途中かなり省略していますが…
上の文を読んで、ご主人の実家の農家を継いだんでしょ?
と、思われる方もいらっしゃると想いますが・・・じつは、2人とも新規就農。
小川さんもご主人の実家も農家ではありません。
学校にも2人で通い、一緒に勉強しました。
では、省略した部分、ご紹介したいと思います(*今回も若干、ラブラブエピソードが登場します)。


農女新聞
2人でIターンされたってことですが、ご主人のご実家が農家だったんですか?


小川
違います。まったくの新規就農なんです。
主人が農業をしたいというので・・・


農女新聞
ご主人はどうして農業をしたいと思われたんですか?
実家に帰りたいとか?


小川
いいえ。
小学校の時に肥料の袋でコメを作ってみたり、野菜を作ってみたり…
もともと、子供の頃から農業には関心があったようで…
自然豊かな地元の小林市で農業を仕事にしたいと思ったそうなんです。


農女新聞
いきなりそんな相談をされて、小川さんも驚かれたのでは?
悩みませんでしたか?


小川
全然悩まなかったといえば、ウソなんですけど・・・。
私はSEの仕事が適性に合っていたし、好きだし、収入もとても良かったので。
でも、彼がやりたいというので・・・


農女新聞
愛ですね。


小川
あとは、違うことにチャレンジするんだったら今しかないと思って・・・
ずっとSEの仕事しかやっていなかったので、
何か新しいことにチャレンジしてみたい!という気持ちもあって・・・。
それとあと、主人とは職場が一緒で、ずっと一緒に仕事をしていたので、
彼の性格も知っていますし、
私と2人で組めば何でもできるんじゃないかと根拠のない変な自信もあって・・・。
彼に「行こうか」って言われて、もう本当にすぐですね、
次の日には「じゃあ、行きましょう」って言う感じで・・・(笑)


農女新聞
ほぼ悩んでないじゃないですか!?(笑)
(*ちなみに、小川さんのご主人は、会社の7年後輩)
(*以前、ご紹介した岡山の森安かんなさんのご主人も9歳下でした)

仲睦まじい様子が伝わってきますねぇ〜
ごちそうさまです!


農女新聞
でも、農業とSEって、仕事的には正反対ですよね?


小川
そう思ったんですけど、実際に就農してみると・・・そうでもなかったんです。
2人とも、まったくの素人で農大で勉強してから就農したので
他の農家さん達と感覚が全然違うんです。


農女新聞
と、いいますと?


小川
他の農家の方達は、見て“勘”でわかるらしいんですけど、
ウチは、2人の前職(SE)の影響もあって、
ちゃんと目に見えるものしか信用できない。
土の水分を測定する装置(PFメーター)の数値とか、
トマトの葉柄に含まれる硝酸態窒素濃度を測定するなど、
細かいデータを採りながら、自分達なりの栽培方式を構築して・・・
あとは、2人ともSE出身なので、細かいチェックリストを作って(笑)。
「10年日誌」というのを買って、毎日、日誌をつけているんです。
例えば、病気の合った時期は、その時、どんな薬を使ったのかとか、
ハウスの状況はどうだったとか、気温など、細かく書き込んでいるんです。
それを確認しながら来期の計画を立てたりしています。
そんな細かいところは、SEと通じるものがあるのかなと・・・。


こちらが、その10年日誌

農女新聞

なるほど、SEの仕事がちゃんと活かせているんですね・・・
やはり、データ通りに上手くいくと嬉しいものですか?


小川
それが、まったくそうじゃないので面白いんですよ!
施設栽培でも、やっぱり、その時の土の状態とか、気温とか、
自然環境でまったく変わってくるんですよ。
去年は、これで上手くいったんだけど・・・というところが逆に難しくて面白いんです。
SEの時は、明らかにコレだよねという仕事しかしていなかってので、
辛いところでもあるけど、またそこが楽しいんです。
毎年、課題がみつかって、正解がないところが私には面白いんです。
この歳で、いろいろ憶えたり、勉強したりできる、そういうのがいいなぁと
農業の素晴らしいところだなぁと思います。


農女新聞
なるほど。
好奇心や向上心が旺盛なんですね。
ふたりで就農されて、今年で6年ということですが、業績の方は順調ですか?


小川
思ったよりは儲かりませんけど、楽しくやっています(笑)
樹上完熟ミニトマトの評判が良くて、
市場相場より高い値段で取引できたことや
経費削減に取り組んだ結果、返済期間10年のJAリースを就農5年目で
繰上償還できましたので、順調だとは思っています。

農女新聞
かなり順調じゃないですか!
今年新たに加工施設を作って、収穫したミニトマトを使って
ミニトマトジャム、ドライミニトマト、トマトソース・トマトピューレーの
製造販売も始めたそうですね?

小川
実はコレ、順調だからというより、主人が私の夢をかなえてくれているんです。


農女新聞
夢?


小川
私、もともと食べ歩きが好きでSE時代には、
年に何度も海外に食べ歩きに行くくらい好きだったんですよ。
また、Facebookにも時々レシピを載せているんですけど
イタリアに通っては、その料理の味を家で再現したり、料理も大好きなんです。
だから、これは利益目的というよりは・・・


農女新聞
ええ、もう、最後までおっしゃらなくてもわかります!(笑)
素敵なご主人ですね


小川
私も、主人にきちんと恩返ししたいので
加工食品を製造・販売するだけではなくて、
インターネット販売などで所得の向上と雇用の拡大を図る!という目標を持って
しっかり頑張りたいと思っています。


農女新聞
今回は本当に、ごちそうさ・・・、素敵なお話、ありがとうございました。

ちなみに、お二人の研究・努力の成果もあって、小川さんのところのミニトマトは大評判で、
最近では、近所の農家さんが栽培方法を教えて欲しいと言ってくるまでになっているんだそうです。
それにしても・・・
これまで、女性農業者のみなさんにお話を伺っていて思うことは、とにかく夫婦仲がいい!
農業には夫婦が上手くいく何か秘密があるのか・・・。
農女新聞をお読みの方で、この秘密についてご存じの方、
ご意見のある方、是非、「輝く農女新聞」までお寄せください(笑)