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女性農業コミュニティーリーダー塾 実践編
東京会場 第2回講義レポート
口ベたな人も満足するワークショップ運営


2019.10

10月1日、女性農業コミュニティリーダー塾の第2回講義が行われました。今回は金子先生の実践研修第2回「身近な仲間を集めてビジョンをつくる」のレポートをお届けします。


■「ワークショップ」を運営してみる

前回の講義テーマは「現状を把握する」。今回は、コミュニティの課題を整理し、仲間を集めてビジョンを作るための具体的なアクションを学びます。大事なのは「多様な主体を早い段階から巻き込み、場を作ること」。そのために有効なのは「ワークショップ」の開催です。

    ★用意するもの
  • ・プログラム(運用書)
  • ・参加者名簿
  • ・参加者、スタッフの名札
  • ・会場レイアウト図
  • ・飲み物・菓子コーナー
  • ・模造紙
  • ・8色マーカー(水性)
  • ・黒サインペン(水性)
  • ・付箋(多色)
  • ・布ガムテープ

この「模造紙」と「付箋」が、ワークショップの課題である「合意形成」にむけたアイテムです。「(ワークショップでは)話すだけだと、声の大きい人はいいけれど、喋らなかった人は反感すら持ちかねません」(金子先生)そこで役立つのが「模造紙」と「付箋」。付箋に意見を書き込み、全員が平等に意見を出せるようにする。そして、その付箋は模造紙に全部貼ることで、全員で受け止めたという形にすることが大事なのです。

みんなが手を動かして書くことで「私も参加した」という満足感に繋がり、参加者のモチベーションもアップします。また、お菓子やお茶を用意し、なごやかな雰囲気の中で話し合うといいでしょう。

ワークショップに欠かせないのが「ファシリテーター」。参加者を主役として楽しく、創造的に活動できるように支援する人材です。ファシリテーター自身は参加せず「中立」を心がけること。進行役として参加者の意見を集め、柔軟に対応し、「両論を併記する」という意識で臨むことが大事です。

ただ、自分の目指したい方向は、テーマの設定でリードできます。「今日は○○を話します」という論点を決める権限を持っているからです。

そして「タイムキーパー」という役割を作り、時間を管理すること

「子育て中の人はお迎えの時間もあるので、終わりの時間を決めるのは大事なこと。話の長い人に『そろそろ締めてください』と言う役割でもあります(笑)」(金子先生)

おおよその目的をつかんだところで、実際に「模擬ワークショップ」を行い、個々に課題を探っていきます。


■たくさんの意見 どうまとめる?

今回のワークは2部に分けて行います。まずは第1部をスタート!3班に分かれて、それぞれのテーマでの話し合います。

現場で実践する時も、プログラムをホワイトボードなどに記して進行状況を共有できるように工夫します。時間は2時間に収めるのが理想的。

ファシリテーターが開会挨拶をしたら、集まった目的や目標をオリエンテーション(初めて顔を合わせる人がいる場合は、自己紹介も)。それが終れば、「書記」「発表者(提案者)」「タイムキーパー」の担当者を決めます。

発表者が「わたしの想い」を説明したら、全員で意見交換(30分)。

たくさんの意見が出て、熱い議論が繰り広げられました。

意見交換の後は個人作業(10分)。黄色い課題カードに「課題(意見)」を具体的に書いていきます。

課題を書くときは、ネガティブな意見だけではなく、応援する仲間としての視点から書くのがコツ。「どうやったら実現するか」「こういう資源もあるのでは?」「これも役に立ちそう」など“仲間”として提案しましょう。

集まったカードを1人ずつ読み上げ、テーマの近いものを分けながら貼っていきます。

全員分を貼り終えたら、カードの整理。「場所のことを言っているね」「仕組みの話だね」と、キーワードに赤いラインを引きながら、カテゴリ分け。それぞれの分類を、赤いカードに書きます。

この分類がなかなか難しく、先生方が随時アドバイスしながら進めます。分類が終わると、ずいぶん見やすくなりました。

そして、重要度が高いと思うカテゴリーに1人3枚の赤いシールを貼り「投票」します。この作業で重要度の上位がはっきりして「見える化」できます。

見える化できたら、ファシリテーターが発表して意見交換ができます。

■多様な意見をひとつの「ビジョン」に!

続いて、第2部をスタート! 第1部で作った模造紙を完成形にします。

まずは分野ごとに、重要度順に貼り直し。

この時、黄色い課題カードは「実現すべき課題」として、「~する」という表現で書き換えて貼ります。つまり、「何をやっていけばいいのか」を明確にし、取り組みやアイデア、解決策を具体的に書くということです。ファシリテーターが引っ張って進めましょう。

その作業ができたら、改めて「ビジョン」を書きます。「言葉(キャッチフレーズ)」にすることで、「わたしの想い」が「みんなのビジョン」として共有されます。この時、提案者の想いを置き去りしないように気をつけましょう

最後に「みんなのビジョン」を発表して、ワークショップ第2部は終了です。

「第1部のワークショップは意見交換をしてアイデアを出し、まとめればよかったけど、第2部は『着地点』を決めなければいけません。ファシリテーターは後半で『合意を取るんだ』と、頑張ってみんなを引っ張ってください」(金子先生)

ワークショップでは、苦しくても「合意を取る」という最後までやることが、大事なんですね。

「自分一人でくよくよ考えていても、こんなにアイデアは浮かばない」「何人か関わることで、一人で考える何倍もの意見が出た」と、ワークショップのすごさを実感した意見が多かった今回の講義。

ちなみに宿題は「ワークショップを呼びかけるチラシを作る」こと。今日の講義も、皆さんの地域に持ち帰って活かしていけるといいですね。