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女性農業コミュニティーリーダー塾 実践編
大阪会場 第4回講義レポート

架空の企画で仲間を巻き込め!

 


2018.10.23


農業にかかわる女性たちが描く「理想の地域コミュニティ」、そのリーダーとして地域を引っ張っていくための研修(大阪会場)も折り返し地点となりました。10月22日、23日に行われたのは、4回目の講義です。

これまで農家のお嫁さんとして「裏方」に専念してきた方が多く、はじめは自分の理想や考えを伝えることに戸惑いもあったみなさんですが……最近では堂々とした意見交換もすっかり板についてきました。

ワークの場でも、活発なアイデア出しが行われるようになりました。ここで金子和夫先生に、これまでの研修についてインタビュー!

農女新聞 これまで研修を通じて多くの「農業女子」を育ててきた金子先生、いかがでしょう?

金子先生 そうですね。特に、先月行った地域コミュニティの成功事例の愛媛県視察では、『自分が主体となって人を巻き込む』という、具体的なイメージが湧いたのではないでしょうか。

金子先生がお話されている通り、塾生のみなさんの中には、「現場のようすを目の当たりにして、想像で描いていた『地域コミュニティ像』とは違うものが見えてきた」という方も多くいらっしゃいます。

中には「はじめは“ご近所の農家さん”たちとコミュニティをつくろうと思っていました。でも、研修を受けるうちに範囲を“県内”に広げたくなってきて――。1からビジョンを作り直しているので、大変です!(苦笑)」とお話される方も。でも、その瞳はキラキラ。自身の限界を超えていくことに、手応えを感じられているようでした。そして今回もまた、新しい知識や経験が目白押しです!


「いい組織」が持つ「いい名前」の特徴とは?

さて、多様な利害関係者を集めてつくる組織。「ブレずに結果を出すため」に、最初に決めておきたいポイントがいくつかあるそうです。

特に、組織のネーミングはとても大切だと金子先生は説きます。「いい組織って、いい名前を持ってるんですよ。補助金の採択などは、ネーミング1つで決まってしまうこともあるぐらいです」。という金子先生の言葉に、目を丸くするみなさん。

いい名前とは、コミュニティの「特徴」が魅力的に盛り込まれていることだとか。
たとえば、金子先生がコンサルタントとして関わった組織は・・・
組織名/「住民参加型まちづくり会議『徳治づくり達人塾』」

 特徴① 地域の参加者が中心になってアイデアを出すこと
 特徴② 関わる人が「〇〇の達人」になれるというモチベーションアップ

という、名前自体が組織の説明・PRをしてくれています。

ほかにも
・目的
・目標
・構成メンバー
・メンター(困ったときに助言をくれる人)
・場所
・会合(意見交換会なのか、何かを決定する会なのか)
・合意形成や意思決定の方法

など、細かいことですが、ここを決めておくと想定外のことが起きても軸から外れずにすむそうです。


シビアな話ですが、活動の段階によってお金もいろいろとかかります。
・会議室料
・専門家への謝礼
・試作品開発費
・販促ツール
など、さまざまな支出が想定されるので、財源を意識しながら組織の枠組みをつくっていくことも大切です。

また、みなさんがずっと悩んできた「行政とどこまで絡むのか」問題。
こちらも、官主導、官民連携、民主導、民主導の広域連携など、関わる深さによって組織の連携図も変わってくるとのこと。各ケースの事例を交えて、詳しい解説がありました。


ヒューマンスキル講座:
架空の企画で仲間を巻き込め!

岡先生のヒューマンスキルの講座では、「架空の企画で、会場のみんなを巻き込んでみよう」という実習が飛び出しました。

事前にミッションをたくされた5人のリーダーが、「架空の企画」を考えて、5つのテーブルを順に回って協力者集めのプレゼンをします。各テーブルでの持ち時間は15分程度。その間に質問や意見交換なども行ってよいそうです。

「プレゼンを受ける側も、相手が話しやすい姿勢やリアクションを心がけましょう」と、念を押す岡先生。聞く側も気が抜けません。


この実習の狙いは、「相手の反応を見ながら、自分のアイデアや話の仕方も柔軟に変えていく」こと。そして、「この企画に協力したい!」と思う、巻き込まれる側の臨場感を感じることなど。

え~、わたしたちにできるかな!? 不安のどよめきがあがる会場ですが、とにかくやってみましょう!

農女新聞では、リーダーの1人、大木さんを追いかけました。

大木さんが考えたのは、「全国の女性農業者が組合を作り、消費者とともに農業の未来を支える」という企画。最初のテーブルでは、おっかなびっくり手探りのプレゼンです。

受け手のみなさんからは、意外と好反応。「じゃあ私たちに求められる役割はコレ?」「キャッチーなタイトルがあったほうが分かりやすいね」など、質問やアイデアが飛び出し、それを短い時間で企画に肉付けしていきます。

2番目、3番目のテーブルでは、「企画のどの部分が相手に刺さるのか」が見えてきて、話す順番を組み替えたり工夫を重ねます。相手の反応がいいと、リーダーにも喜びと自信が!

財団などにくわしいメンバーからは、「資金集めにはアレを利用したらいいですよ」など具体的な提案が。「そんなこと考えもしなかった!」と大木さん。これぞ、多様性の強みですね。


4番目のテーブルでは、「え、私もその組合に入りたい!」と思わず声が。きっとこう思わせたら勝ちですね。もはや、「架空」ではなくなりそうな予感さえします。

5番目のテーブルも無事に終了! 受けてのみなさんは、協力したいと思った企画の「良かった点」を1つづつポストイットに書き出し、岡先生に提出します。

その間、リーダーの5人はロビーでお互いの企画を共有。もしかしたら、「あの人とこの人の企画を連携させてスゴイことができるのでは!」と大盛り上がり。数年後にもしかしたら……この塾から大きな取り組みがはじまっているかもしれませんね。

2日目は、これから実際に組織として動いていくための計画案「アクションプラン」の講義がありました。最初にたくさん出たアイデアをしぼって、具体的な計画に落とし込むまでの5つのステップを金子先生からみっちり学びました。

みなさん明るい笑顔の底では、いつも頭をフル回転させて「少しでも前に進みたい」と必死です。きっと、その熱意に巻き込まれる人たちも大勢いるはず。来月、また成長したみなさんにお会いできるのが楽しみです!