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女性農業コミュニティーリーダー塾 実践編
東京・大阪合同研修in愛媛レポート(前編)

「このままで終わりたくない」先輩の言葉に涙

合同研修in 愛媛(前編)


2018.09


■成功した先輩たちに会いに行こう!

9月19日・20日は、会議室を飛び出して一泊二日の合同研修! 愛媛県の内子町(うちこちょう)と、西予市(せいよし)城川町(しろかわちょう)の「遊子川(ゆすかわ)地区」へ足を運び・・・コミュニティづくりの成功事例を「見て」「聞いて」「体感して」きました。

東京会場と大阪会場の塾生が一同に会し、気合も充分!

今回の研修の狙いは…

いつも学んでいるコミュニティづくりのサイクルである
①現状を把握し
②関係者を巻き込み
③組織化し
④計画を立て
⑤実行し
⑥次への改善点を見出す!

これらを先輩たちは、具体的にどう実践してきたのか? それを知り、塾生みなさんの行動に活かすことです。

ではさっそく参りましょう!


■売り上げを10倍にした道の駅 その特徴とは?

初日に向かったのは、愛媛県の中央部にある内子町。古くは四国の交通の要として和紙と木蝋で栄えた町で、古い伝統的な街並みを残した保存地区があります。観光客は現在年間130万人にのぼるそう。

そんな町に、リピーターの絶えない道の駅「内子フレッシュパークからり」があります。「からり」は平成8年に直売所として開業。当初は5000万円に満たなかった年間販売額が、10年後には10倍以上の売り上げになったそうです! 現在も道の駅のトップランナーとして利益を出し続けています。


からりの特徴を「株式会社内子フレッシュパークからり」代表取締役社長の土井好弘さんが説明してくれました。

1 オール内子産 (直売所は町内産のみを販売)
2 食の安全の追求 (二次元コードを使ったトレーサビリティの実施)
3 自然と調和した環境 (国道から離れた立地を活かした、安らげる環境づくり)

現在は、レストランやパン工房など7つの事業に拡大していますが、直売については、「からり直売所出荷者運営協議会」という独立した組織を作って行っているそう。町の出資が入った株式会社(第三セクター)である運営側と、程よい距離感を保ちながら、農家もプライドを持って商品を追求できるということですね。


道の駅の紹介映像では、働いている農家の女性が生き生きと自分の役割を果たしていました。

現在約400人いる協議会会員のほとんどが女性。女性や高齢者の生きがい対策や、地域の活性化にも寄与したということで、運営協議会は、平成29年度農林水産省『豊かな村づくり部門』で「内閣総理大臣賞」を受賞したそう。

どうしたらこのようになれるのだろうか……。メモを取りながら真剣に映像を見る塾生たち。知りたいことが山のように出てきましたね。


■売り上げ10倍の“売り場”を見学してみよう!


ここからは、50分間の見学タイム。「収益が出せる健全な事業」と「女性農家の生きがい」を両立させた売り場は、どのようなものでしょう?6人ずつのグループで行動して、気づいたことなどを共有し合あってくださいね!


こちらが人気の直売所。午後の視察でしたが、葉物野菜も新鮮でシャキシャキ! 出荷者自身が期日通りにきっちり商品を持ち帰り、採れたててのものと交換しているそうです。これも、距離の近い「町内の産品」で統一しているからこそできること。農家さんたちの意識の高さの賜物でもあります。

こちらでは、お茶のコーナーを囲んで歓声が!
「スギナなんて、雑草かと思ってた!」
「愛媛ではお茶で飲むんですよ。すごく美味しいです」
ふだん見過ごしていたものが、ところ変われば宝になるんですね。


内子町の名産「もち麦」のジェラートは、やさしい甘さの中に麦の香ばしさがほろり。絶妙なバランスに、度重なるレシピ改良をしたことがうかがえます。オンリーワンの味に、塾生の注文者も続出しました。

とっても楽しそうですが、これも大事な視察! 「女性消費者の視点」から商品や売り場、スタッフさんを見ることで、新しいヒントもつかめるのですよね。


こちらは、トレーサビリティ閲覧コーナー。直売の商品についている二次元コードを読み取り機にかざすと……

生産者の顔写真や、栽培履歴として畑の場所、使用した農薬・時期などがすべて表示されます。これが出せない商品は一切置かないという徹底ぶり。二次元コードを高齢の農家さんに理解してもらうのは大変でしたが、町の職員が一軒一軒回って分かってもらえるまで説明したそうです。

お客さんの大半が観光客だそうですが、「生産の履歴がわかるから安心!」と食材を買いに来る地元の常連さんも。自然豊かな場所ということもあり、健康づくりも兼ねていつも自転車で通うのだとか。



そう。からりは国道から離れた三角州地帯に建っているのです。高速道路のインターからも離れているというウイークポイントを逆手にとり、子どもが川遊びできるような「癒しの場」を目指したそうです。塾生たちも「さっき川で鮎の群れを見た!」とうれしそう。まさに地域の資源を強みに替えた好例ですね。

さて、このような場が実現するためには、利害関係者同士の協力が必要不可欠でした。その立役者となった2名の方にお話しを伺いました。


■潰れない道の駅にするため、町長が放ったひとこととは?


お一人目は、内子町長の稲本隆寿(たかとし)さん。からり創業時は、内子町の職員であると同時に、からりの現場をまとめる支配人として奔走しました。

中山間地域の活気を取り戻そうと立ち上げられた直売所ですが、「財源さえあれば、道の駅でも建てるだけなら簡単。しかし、5年10年継続していくことは本当に大変です」と、補助金のみに頼って努力を怠ることの危うさを指摘します。

そんな稲本さん。事業として成立する直売所を目指すために、農家さんたちには「ここを『自分の店』だと思ってください。売り場へのアイデア出しも、掃除も自分たちでやりましょう」と呼びかけ、「自分ごと」として自発的に動くことを直売所出荷の条件としたそうです。

農閑期は、お客さんに喜ばれる作物や売り方を模索して、みんなで勉強会を重ねました。その過程で稲本さんは、地域や農業とまっすぐに向き合う女性の力に「この町は変わるかもしれない」という希望の光を感じたそうです。

では、その「希望の光」の中心となった方に登場していただきましょう!


■「この家の労働者」で終わりたくない!女性農業者の決意

こちらが、「内子フレッシュパークからり直売所出荷者運営協議会」名誉会長の野田文子(あやこ)さん。試験的に直売所を開いた内子町が出荷者を募集した際に、第一号として真っ先に手をあげたのが野田さんでした。

それまでは農家に嫁入りした身として、ずっと「夫の家のやり方」で葉タバコやシイタケづくりに携わっていたのだとか。

「でもね、47歳で子育てが終わったときに思ったの。このままじゃ私は一生、『この家の労働者』だって。自分の思うやり方で稼げる『経営者』には、なれないんだって。でも私は自分を試したかったの!」

この言葉には、思わず涙ぐむ塾生の姿も。野田さんの出発点は「自分の夢」でしたが、地域の女性農業者の共感を呼び、人が集まる原動力となったのかもしれません。

野田さんには、夫から「好きにしていいよ」と使わせてもらった葉タバコの畑に、キャベツとブロッコリーを植えて130万円を稼いだという経験がありました。収益はもちろん全部自分のもの。そのうれしかったことと言ったら!

そのときの手応えが忘れられずに、町の産直に応募。売り場でお客さんを観察し、「売れる!」と思えば何でもチャレンジしました。干しシイタケの乾燥室でドライフラワーをつくったり、オーブンでサツマイモを焼いたり――。「とにかく商品を出せば、お金は後からついてくる!」その一心だったそうです。

金子先生曰く、シイタケの乾燥機も立派な「使える資源」とのこと。

功績が認められて協議会の会長になったときも、「自分がどういうことでみんなに貢献できるか、信頼を得られるかと思ったとき、答えは売上を上げることだったの」と挑戦の手を止めませんでした。結果、周囲の女性農家さんも、野田さんに追随するように集まり始めたのです。

ここでできたコミュニティが、意識の高い商品&売り場づくり、ひいては道の駅の成功を生んだと言っても過言ではありません。


■生産者同士がモメたら、どうしたら?

ここからは、稲本さんと野田さんへのインタビュータイム。司会の金子先生が、塾生のみなさんから山のように提出された質問を系統立てて振り分けていきます。すごいスピードです。

「産直に参加する際に、夫を説得した一番の決め手は?」「行政が非協力的だった場合は?」「農協との関係はうまくいっていますか?」など、お二方にはたくさんの質問がぶつけられました。

中でも「生産者同士の意見の調整は?」という問いに対しては……

野田さん「地区から10人づつ運営委員を出して、揉め事があるたびに運営委員が集まって、規約やルールづくりを10年かかってやってきました」

金子先生も「コミュニティの状況に即した『使えるルールづくり』は大切ですよね」と感心。


その後は金子先生による、野田さんの「ビジョン」や「活用した資源」などの振り返り。

岡先生とは、からりのケースを「学びの自分ごと化」として各々に活かすワークを行いました。

置かれた状況が違う場合、「マネをすればうまくいく」というわけではないそう。第三セクターと別の組織をつくったという「独立した関係」の保ち方やシステムの投入など、大きな視点でとらえて自分の場合に落とし込みます。

こんな感じで、みっちり日が暮れるまで研修は続きました。長時間にも関わらず、みなさんの集中力は衰えることを知りません。これも情熱のなせる業ですね。

2日目のレポートもお楽しみに!!