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山木暖子/「これだよ、私に必要なのは!」と思い入塾を決意

2018.03.22


千葉県「三つ豆ファーム」の山木さんは、千葉で就農し、もうすぐ15年。ほとんどが個人やレストランなどのBtoC取引なのに加え、他品目栽培ゆえの作業の煩雑さにも悩んでいたとのこと。卒業間近の山木さんに、育成塾で学んだことを伺いました。


■自力で開拓した就農への道


-山木さんが就農したきっかけは?

最初は農業をやりたいというより、無農薬野菜の販売をしたいと思ったのがきっかけです。アルバイトをしていた自然食品のお店で、野菜を仕入れていた卸会社に、就農したい研修生を受け入れているところがあったので、社長さんに「ちょっと働かせて下さい」と聞いたら「いいよ」っていう軽い感じで(笑)。卸会社で週2日、農家さんで週4日働くという研修制度で、働くうちに「作るほうが楽しそうだな」と思ったことが始まりですね。



ちょうど「畑も機械も場所も貸してあげる」という農家さんがいらして、「じゃあやってみます!」と、非農家出身の20代の3人で一緒に始めました。だから、思いっきり決断したというより、トントン拍子で話をいただいて、緩やかに始まったという感じです。もう15年も前ですけど、その3人で今も一緒に働いているんですよ。私と、もう1人の友達も結婚したけど近所に住んでいるし、もう1人は私の主人なので(笑)。



-お仕事の分担はどのようにされていますか?

私が担当しているのは事務と出荷作業で、主人が生産と、勉強会や交流会など対外的なところをやっています。農園の顔は主人で、裏方的な仕事は私という感じです。スタッフは3人で、研修生が1人、パートさんが2人います。


■「これだよ、私に必要なのは!」 気づきの多い育成塾


-育成塾に入ったきっかけは?

市の農業女子の集まりでチラシを見て、まずは入門編に行き、「これだよ、私に必要なのは!」と思いました(笑)。会社勤めなどの社会人経験がほぼないまま農家になったので、基本的なことができないという悩みが、夫婦揃ってあったんです。取引先やお客様とどういう風に話を進めたらいいのか、どう連絡を取ればいいのかも正解が分からないし、時間もお金の使い方もよく分からない。でもそれを整理整頓する時間もないし、すべてがごちゃごちゃしていたんです…。



-育成塾で、悩みの整理整頓はできましたか?

すべて整理はできてないけれど、「ここは整理が必要だな」ということがやっと分かってきた感じです。うまく行かなかった原因や、改善しなきゃいけないところが分かってきて、自分の頭の中がすごく整理されてきました。ぼんやりしていたことが、他の人にもちゃんと説明できるように言葉になってきたという感じです。



-育成塾でのそういった気付きは、ご主人とも共有しますか?

そうですね。農業の始まりから一緒だったから、もともと話し合いはかなりする方だと思います。あとパートさんとかにも「こういうことを勉強してきたよ」と言うと、相手も自分の考えを言いやすくなるみたいで、風通しのいい職場になってきたかなと思います。


-共有しながら進めているんですね。具体的に始めたことはありますか?

それはやっぱり「改善」ですね。片付けとか、物を置く場所を決めようねっていうことは始めています。でもそれが一番できていないのは私たち二人だという指摘を、パートさんたちから受けたりしています(笑)。あと、仕事も「見える化」できるようになってきました。1週間の予定や作業表を、みんなに見えるように書くようになったのが、一番の変化かなと思っています。



-作っている品目も多く、それを個人のお客様向けにそれぞれ10種類とか箱詰めするとなると、作業表があるとないとで効率は違いそうですね。

そうなんですよ。自分たちがやっている農業しか知らないから、そのことにも気づいていなかったんです。1品目だけの農業もあって、そして仕事がシンプルだからパートさんにもお願いしやすいんだなって。うちはグチャグチャだから、作業をひとつひとつ説明するのも大変だし、覚えなきゃいけないことが多いから難しかったんだなって気づきました。



だからここ1年ぐらいは、パートさんには出荷に集中してもらい、作業場での仕事をメインに覚えてもらうようにしています。ごちゃごちゃした作業を全部覚えてもらうのも効率がよくないかなと思って、畑は畑のスタッフで、作業場は作業場でと、仕事内容は分けるようにしました。それも育成塾に来てからまとまったことですね。


■取引できないのは商品が悪いのではない


-農業というお仕事は好きですか??

はい、すごく好きですね!


-その好きな仕事をさらに良くするために、どうしていきたいですか?

無理していたところをシンプルにするというのが目標です。これまで、やりたいことを全部やってきたら、品目もやり方も無理しないとできないような、やりきれない部分が出てきていたので…。今のBtoCというやり方は変えずに、たとえば出荷する品目や曜日をもう少し絞ったり、できない事務仕事は外部に委託したりしていこうと考えています。



そのきっかけになったのは、先生たちがよく言っている「取引ができないのは条件が合わないだけで、商品が悪いのではない」ということです。それまでは、お客様に言われるがまま、やりきれないことを無理してやろうとするところがあったのですが、「その曜日は出荷できない」とか、「急な発注には対応できない」ということは、条件が合っていないだけなんだと気づきました。



だから、やりきれないことを無理してやろうとするのではなく、「こうやらないと対応できない」という提案を、こちらからすればいいんだと思うようになりました。全部を言われるがままにやっていたら、やりきれなくて続けられなくなってしまうので。今の仕事はすごく楽しいので、ずっと続けられるようにがんばります!






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