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農業経営者に必要な5つのポイントとは?
アグリ・ウーマノミクスフォーラムin名古屋レポート

2017.03.09

2017年2月21日、第5回アグリウーマノミクスフォーラムが名古屋で開催されました。女性農業次世代リーダー育成塾の活動を通じて「これからの女性農業経営者とは」をテーマにさまざまな角度から論じられました。


■農業って、特別な産業なの?

前半では育成塾でもおなじみの箱崎講師が登壇。農業における「事業」を経営する上での特性を順に解説していきました。


まず初めに、農業が他の産業と比べて特別な産業ではないことを解説。よく農業は天変地異、自然と対峙する点が最大の特異点とされますが、果たして農業だけが天変地異に影響受ける産業なのか? を問いかけます。天変地異、自然との対峙は他産業も同様に影響を受けます。「見えざる手」=「外的要因」はあらゆる事業活動に影響を与えるのです。よってこの「見えざる手」からの影響・最悪の事態を踏まえた上で「事業」を行い継続するために「経営」する。農業においては他産業と比べるとこの外的要因に対しての「調整」が弱いのかもしれません。そこで「事業」を継続するために「調整」し、お金「利益」を残し続けることが重要だと説きます。「利益」は事業活動の果実。そしていかに効率よく「利益」を残すかを検討し「調整」するのが「経営」とのこと。


つまり、農業に特性が無いわけではありません。しかしそれは産業としての特性ではなく、「事業」を行う体制に特性があるということなのです。では、その農業という「事業」を行う体制が持つ「特性」とは何か? それは、「家族経営」にあると箱崎講師。


「『家族経営』の特性は、事業規模がそれほど大きくなく、一緒に営む人員が家族や夫婦であることが多い。人員が少ないことにより、オーバーワーク気味になります。非常にきつい仕事のように思われる。さらに「事業」と「家庭」の区別がつきにくい。それは仕事のみならず、お金の面も同様です。夫婦・男女の問題。地域によっては、まだまだ男性の方が立場が上だという考え方が根強いところがあるのも事実。そんな特性のもと、「事業」を継続しなければ生活ができないのも「家族経営」の特性です。外的要因に一致団結して対抗しないと継続することが困難であるのに、この体制が整えきれていない事業体が多いのが農業なのかもしれません。まずは「事業」の状態を家族で正確に把握し共有。そして「利益」を確保し続けるために何をすべきかを考え続けることが必須です」。


では、その必須条件を満たすためにどうしたら良いのでしょう? 箱崎講師はこう説きます「女性がより『事業』『経営』に関心を持ち、育成塾で得た知識や体験を各々の事業に活かしていくことが増々重要になります。実際に卒塾生は、それぞれの家族経営体の中でしっかりとした役割をもって『事業』を『経営』しています」。しかし箱崎講師によると、その活動においてもまだまだ悩みが多く、同じ目線で話す仲間が必要とのこと。より相互で刺激し合うような仲間を増やしづづけることが支援側の課題であると語りました。


■卒業生が登壇! 女性事業家として、お二人が実践したこととは?

後半では、脇坂講師とともに、第1期塾生の大吉枝美さん、第2期塾生の高松明恵さんが登壇。「受講前の課題」「受講して改善できたこと」など、お二人の経験を踏まえ、参加者の質疑応答も交えて活発な議論が交わされました。

第1期塾生の大吉さんは、鹿児島県で主にキャベツを生産しています。受講前の課題は、「きれいなキャベツを作ること」と「その差別化」。受講して改善できたコトとして、着手し始めたケールの生産をあげます。育成塾でヒルズマルシェに出店したことをきっかけにお客様のニーズをつかみ、すぐに着手したところ、人のつながりもあって百貨店のバイヤーの目に留まり、現在は急成長品目となっています。

第2期塾生の高松さんは、奈良県でネギを生産しています。受講前の課題としては、ご自身とご主人の「意識を変えること」でした。受講後は「育成塾で習ったことをすべて試した」という高松さん。たとえば問題の「可視化」にこだわり、百貨店に出していた商品と直売所に出していた商品を、原価、人件費の計算をして比較。その結果、直売所向けの商品の方が明らかに利益が高いことが分かり、販路を絞った結果、大幅に経費削減に繋がり儲かるようになったそう。

お二人の話から分かるのは、それぞれの事業や目指す目標によって、課題やその行動はまったく違うということ。たとえば大吉さんは販路として百貨店など東京を視野に入れていますが、高松さんは地元の直売所に絞っています。また、パートさんの確保の仕方も違います。事業モデルによって儲かる仕組みは違うということが実感できるお話でした。

最後に、脇坂講師が「経営者に必要な行動CHECK!」として挙げたのは、次の5つ。


1)自ら考え判断している

2)自農園の状況を客観的に把握している

3)必要な情報を自ら積極的に収集している

4)収集した情報を取捨選択して使っている

5)事業に必要な知識・スキルを継続的に学んでいる


いずれも、育成塾の活動を通して事業の成功につなげた大吉さんと高松さんが実践していること。お二人の経験談を通して語られたことで、これから自立した女性事業家を目指す方にも、より具体的に理解できるフォーラムだったのではないでしょうか。