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輝く農女新聞内で特集された情報を紹介しています。

寺山佐智子/介護の始まりは農業の終わり

2015.03.30

寺山佐智子  (福島県須賀川市 阿部農縁)

今回のインタビューは昨年12月15日にリリースされた「受講生インタビュー」の『別訪問レポ“果物を育てるって「アート」だった!!』でもご紹介しました寺山佐智子さん。…ということで、読まれていない方は、是非、そちらの記事を読んだあとでこちらの記事を読んで頂ければと思います。あちらの記事は育成塾・講師/脇坂さんによる戸別訪問の同行取材レポでした。今回の記事は、映画「バットマン」でいえば、「寺山佐智子ビギンズ」・・・「スターウォーズ」でいえば「エピソード1」(*そんな喩えされても分からないよ!っていう方・・・すみません)つまり、寺山さんの就農にいたる経緯がメインになっております。


■介護者が増えるってことは農業が終わることだと…

農女新聞
前職はケアマネージャーをされていたというコトですが…どういう経緯で就農されたのか教えて頂けますか?


※ケアマネージャー(介護支援専門員)とは…介護保険法において要支援・要介護認定を受けた人からの相談を受け、居宅サービス計画を作成し、他の介護サービス事業者との連絡、調整等を取りまとめるお仕事。


寺山
ケアマネージャーとして、お年寄りの家を訪問すると目の前に荒れた田んぼや畑が広がっているんですね。さらに、お年寄りからは「誰もやらないんだからしょうがないだろ」という話を聞いて…。介護が始まるってことは、農業が終わるってことなんだなぁと、しみじみ思うわけなんですよ。それで、自分も実家(農家)に帰って10年になるんですけど、
そこで作られている美味しい野菜とか果物とかを見ているなかで、そういうものを作ってくれる畑とか、ありがたいなぁ…と思っていて。自分のところも親が倒れたら明日は我が身だなと思って…。だったら、それを継げるのは、私しかいないなって思ったんです。


農女新聞
なるほど。でも当時39歳だったそうですが、体力的な不安とかはなかったですか?


寺山
その時は勢いで仕事を辞めて、辞めてから自分に体力がないことに気が付いて…とにかく食べて、とくかく寝た!(笑)最初はよくぶっ倒れましたよ、今は平気ですけど。とにかくよく食べた!ご飯も二膳とか…(笑)


農女新聞
転職の時、家族の反対はなかったですか?


寺山
主人は、「どうせ言ってもきかないしね」みたいな感じで。子供は、私が最初に「お母さんは家に居ようと思うの」と言っちゃったもんだから大喜びでしたね。後から「騙された。前の仕事の時の方がまだ家にいたよね」って言われましたけど…。


農女新聞
あれ? これまでにお話を伺っている農業に転職したママさん達は、みなさん、子供との時間は増えたっておっしゃっていましたけど…


寺山
そうですね。残業もないし、朝は必ず子供達を送って行けるというのはあるんだけど…ただ、自分が農園の代表だったりするので、出張などいろいろあって、そこが、「お母さんいないよね」と言われる原因ですかね。でも、前職と比べると忙しいけどストレスもなくて、親として子供に自分が楽しく働いている姿を見せられるのは、ありかなと…

農女新聞
話は戻りますが、先ほど、39歳で就農されて体力的に不安はないですか? というお話を伺いましたが、農業の勉強の方も大変だったのでは?


寺山
そりゃそうですよ。農業用語だって全然知りませんでしたから。


農女新聞
私(記者*40歳代)も、そうなんですが、「この齢になって勉強するのって大変だなぁ」とか「憶えるの大変だなぁ」とか、ありませんでしたか?


寺山
いえいえ。まだまだフレッシュですよ!!(笑)


農女新聞
し、失礼いたしました…

フレッシュなのは、寺山さんのところの桃だけではありません!


農女新聞
具体的には、どういう風に勉強をされたんですか?


寺山
農業短期大学校に行って、新規就農の研修を受けたり、技術面に長けている人のところに行って教わったりとか。桃の剪定なんかは、剪定の先生をウチに呼んで、私の後ろについてもらって「それを切れ、それダメだ」「それ伸ばせ」とか、全部指導してもらいましたよ。もともと、勉強は嫌いではないので楽しく勉強しましたよ。

■“福島の高下駄”があるうちにいろいろやってみよう!

農女新聞
就農(農家を継いで)されて7年ですが、どうですか?


寺山
最初は見習いみたいな感じで研修に行ったり、親の農業を手伝ったり、主婦をやったり、自分のペースでホワァ〜としてたんですが、自分がガラッと変わったのは、東日本大震災あたりですかね。以前から、加工所をいじって、ちゃんと商品化して売っていこうと思ってはいたんですが、震災を機に、そこから駆け足が始まりました。


農女新聞
駆け足?


寺山
この福島でどうやって売っていくのか、ってところから始まって・・・。「人に頼ってなんか売れないよね」って感じで、自分で売っていく農業スタイルに切り替えて…ネットを始めたり、東京に販売に行ったり、商談会に出てみたり、も〜、いろいろですね。“福島の高下駄”というと変なんですが、そういうのを頂いているうちに、やれるものはいろいろやってみようと、この3年は突っ走ってきました。

農女新聞
転職された方には、必ず聞くんですが、前職と比べて、良かったところ、悪かったところ、教えてもらえますか?


寺山
良かったところは、やりがい。成果が見えたり、いろんな人と出会えたり、ホント、ストレスがないところ。楽しいですよ。


農女新聞
では、悪いところは?


寺山
向こうの方が収入は良かった!ハハハ(笑)


農女新聞
最後に、寺山さんから後進にアドバイス、メッセージを頂けますか?


寺山
とにかく、やってみる 動いてみる 語ってみる 楽しんでみる! 一番は、これですかね。あと、私も愚痴は言わないようにしているんですが、置かれている状況に感謝をする。そう思っていると、なんとかなるみたいなところは、あると思っているので…


農女新聞
素敵なメッセージありがとうございました。