農女マップ

輝く農女新聞内で特集された情報を紹介しています。

【戸別訪問レポ】果物を育てるって「アート」だった!!

2014.12.15

収穫の秋が終わり、冬の到来……。

農業としてはオフシーズンというイメージだったのですが…

実は冬の間の農家さんって、土作りや木の剪定など、やることはたくさんあるらしいのです。


そして忘れちゃいけないのが、今後の事業計画!

農業だってれっきとしたビジネス。


落ち着いた時期にちゃーんと普段の棚卸しをしてこそ、

ハッピーな農ライフがあるということなんですね。


しかも机上の空論では済まない「農」の世界は、現場が命!

と、いう訳でやって来ました福島県の「阿部農縁」さん。

主な商品は、桃と加工食品。

こちらの女性社長・寺山佐智子さんは、

地元・須賀川地域のブランドを作ろうと頑張っていて、

現在「女性農業次世代リーダー育成塾」に参加。目下奮闘中なんです。

(*「寺山」さんの旧制は阿部さん。実家の農園「阿部農縁」を継がれています)


今日は育成塾の講師・脇坂真吏さんが、

事業計画を立てる際に必要な現状のヒアリングにやってくるということで、

農女新聞も同席させていただきました。


脇坂さんは「6次産業化プランナー」といって、

農業と別の業種を結び付けて新しいサービスを生み出すプロ。

どんなお話が聞けるのか期待が高まります。


事業計画、ヒアリング、女性社長、と聞くと何やら緊張しますが……

実際はこんな光景。

写真は日本中の農園を視察してきた脇坂さんのお土産話に、寺山さんがエキサイトしている図。

なんだか親戚同士みたいだなぁ…と眺めていると、すかさず寺山さんが…

「まぁまぁ、農女新聞さん。温かいお茶でも」。

あぁ…すみません…どうぞおかまいなく、お話を進めてください。

と恐縮していたら…「まぁまぁ、甘いものでも」…

と、いただきましたこちらは…地元・須賀川市の銘菓「あんこ玉」というそうです。

上品なこしあんが一口サイズに丸まっていて、なんとも優しい味だなぁとほっこりしていたら

いつの間にやら寺山さんお仕事モードにスイッチされていました!

はっ!

寺山さんの手元でゆらゆらしているのは……もしかして

東京オリンピック招致でもがんばっていた「ゆりーと」くん?!

心強いキャラクターに見守られて、いざヒアリングの開始です。


土地や税金の話、地域に頼れるアドバイザーがいるか?

法人化について…などなど、話題は多岐に渡ります。


法人化と聞くと

『事業の拡大→ 収入UP♡ →どんどんやるべき!』なんて考えてしまいましたが・・・

税金や雇用などを考えると、実際はそう甘くないのだとか。


■寺山さん

近隣にいるお年寄りの力が借りられるといいんですけどねぇ。

実は私の前職は「ケアマネージャー」なんですが、

介護予防の面から考えても、高齢者の方々が仕事=生きがいを持つことは良いことなんですよ。


■脇坂さん

やり方によっては充分可能ですよ。

病院や老人ホームに入ってしまうと、「ありがとう」と言う機会はあっても、言われることはなくなりますからね。

「誰かの役に立っている」という自信はとても大切です。

しかも、以前見かけた「高齢になったらやりたいこと」というアンケートには、

農業が上位5位ぐらいに挙げられていたんですよ。やはり自然の中で土をいじることに、憧れがあるようですね。

例えば病院の患者さんなどに、それぞれできる範囲の作業をしてもらい、

できた作物を再び病院の中でマルシェ(市場)として販売する。

そうすると、農家さんも助かるし、患者さんも生きがいが持てますよ。


―― なるほど〜、と深く頷く寺山さん。

6次産業化とは、このような素敵なコラボレーションを呼び起こすのですね。

農業に限らず、柔軟な発想がいかに大切かを実感させられます。


さらにヒアリングは続行されますが・・・

なにやら耳慣れない言葉が聞こえてきました。

「…テキライがですねぇ…」「ああ、テキライね。あれはねぇ…」

・・・?? “テキライ”って一体何ですか??


■寺山さん

ああ、「摘蕾」のコトですよ。ウチの主力作物は桃なんですが、

あれは枝にいっぱい蕾(つぼみ)が付くでしょ?

実にしたい部分に栄養がちゃんといくように、他の部分を全部ざざーっと落としちゃうんです。

これと同じ要領で、枝も切り落とす作業のコトです。


■脇坂さん

実は、これがすごい芸術なんです。

まだ見ぬ「未来の姿」を想像しながら作業するんですから。

場合によっては全体の5%ぐらいしか残さないこともあるので、

慣れない僕たちは1枝切るのに1時間ぐらい悩んでしまうものですが、

60〜70代のベテランになると早いのなんのって。

「何も考えていないのでは?!」と勘違いしてしまうほど、瞬時にバッサバッサ切っていきます。

そのノウハウを理論で解明していくのが「IT農業」という分野なのですが、

昔ながらの農家さんは身体で覚えていますからね。本当に尊敬します。


■農女新聞

わー、なんという高度な技術! でも大変そう……。

■寺山さん

いえいえ、そこがまた面白いんですよ!!(にっこり)

取材中に、少女のように目をくりくりさせて、何度もおっしゃっていたのが印象的でした。

果実栽培ってとってもクリエイティブ!

脇坂さん曰く、巨峰も同じような方法で粒を大きくしているのだとか。

梱包の素材1つとっても熟考が重ねられているそうで、

今日からスーパーに並ぶ果物が大切な芸術品に見えてきそうです。


また「阿部農縁」さんの主力商品には、

畑の恵みを加工したお惣菜もあるそうです。

今後は「一人暮らしを始めた子どもたちの栄養バランスを考えて」と、

お惣菜の真空パックも視野に入れているとか。

人と人とを繋げるコト…生き物を育てるコト…「生み出す」というコトは、

柔軟性があって共感力に満ちたものなんですね。

実は、女性にとても向いているのかも。

たくさんの人が集まり交流していく阿部農縁さん。

その交わりの中には、脇坂さんのようなプロフェッショナルも存在して、

明日に向けた新しい取り組みが生まれていくんですね。

「本来は事業内容なんて、アンケート用紙に記入してもらえば直接会う必要もないのですが、

そこからはこぼれ落ちてしまう微妙なニュアンスの悩みや考えこそ、僕たちが知りたいことなんです」と脇坂さん。


対面で、現場で、時間をかけて「知る」ということが、農業の明日を豊かにする礎になっているんですね。

寺山佐智子さん、これからも素敵な未来を描いてください! 楽しみにしています。


阿部農縁

住所 福島県須賀川市和田沓掛49-2

電話 0248-76-0839

営業時間 9:00〜17:30