Japan Home Show & Building Show 2024
会期
2024.11.2011.2210:00-17:00
会場

東京ビッグサイト東展示棟ACCESS

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インタビュー商業空間・オフィスの
未来を考える展示会

 神田 主税 氏 ×  三上 己紀 氏 ×  山本 想太郎 氏

 「人との出会いが、事業の可能性を広げる」

エコッツェリア協会
(一般社団法人 大丸有環境共生型まちづくり推進協会)
3×3Lab Future
館長 テクノロジーバトラー 神田 主税 氏(中央)

R&Dコーディネーター 三上 己紀 氏(左)

山本想太郎設計アトリエ
建築家・一級建築士
山本 想太郎 氏(右)

エコッツェリア協会 (一般社団法人 大丸有環境共生型まちづくり推進協会)
3×3Lab Future神田 主税 氏館長 テクノロジーバトラー
三上 己紀 氏 R&Dコーディネーター

ここ数年で世の中が大きく変わり、商業空間やオフィスの在り方が変化しつつあります。
働く場であったオフィス、ものを売買する場であった商業空間が大きく変化しています。
そこで、今年度より新たに「店舗・オフィスの未来を考えるワーキンググループ」を立ち上げ、未来のオフィス・商業空間についての議論を始めました。
今回はワーキンググループにご参加いただいている 3×3Lab Future の神田様と三上様にお話を伺いしました。
聞き手は、ワーキンググループの座長を務めている山本様にお願いしました。

神田 主税氏
INTERVIEW

社会課題に取り組むコミュニティスペース

山本:3×3Lab Futureは、どのような施設なのでしょうか?

神田:多種多様な人々が集うコミュニケーションスペースです。
まちづくりと社会課題の解決を目指している私たちエコッツェリア協会が運営しています。
「3×3Lab Future」の最初の「3」は、サステナビリティの3要素である「環境」「社会」「経済」を意味し、後ろの「3」は「第3の場所」を意味しています。
業種業態の垣根を越えた交流・活動拠点として生まれました。
活動当初は、主に「環境問題」をテーマにしていましたが、最近では社会課題全般を扱うようになっています。だんだんと扱うテーマが広がっています。
地方創生やCSR(Corporate Social Responsibility)、CSV(Creating Shared Value)、SDGs(Sustainable Development Goals)と幅広いテーマに取り組み、イベントも随時開催しています。

山本:どのようなイベントを開催しているのですか?

神田:例えば、「丸の内プラチナ大学」という講座 があります。これは、ビジネスパーソン向けのキャリア講座で、講座を通じて創造性を高め、人とつながることで、組織での再活躍のほか、起業や地域・社会貢献など、受講生の様々な可能性を広げています。

山本:とても興味深いです。こちらはかなり広いスペースですが、コワーキングスペースとして利用されている方もいるのですか?

神田:基本的に、3×3Lab Futureは、「オフィス」というよりも、「コミュニケーションスペース」として考えています。大手町・丸の内・有楽町界隈には、コワーキングスペースがいくつかありますので、使い分けてご利用いただくように考えています。

インタビュー風景

山本:会員の方が300人程度いらっしゃるとのことですが、どのような方が多いのでしょうか?

神田:場所柄、ビジネスパーソンが一番多いのですが、その中でも多いのがフリーランスの方です。
ベンチャー企業の社長や大手企業に勤めていながらNPOで活動をしている方、大学の先生や自治体職員、大学生もいます。
「会員」という名称ですが、実際は「会員」というよりも「パートナー」という感じですね。一緒になって、プロジェクトを推進する。そのようなイメージです。

コロナ以後に変化した「働く場所」

インタビュー風景

山本:3×3Lab Futureは、自社内だけでなく外部と新たなプロジェクトを生み出す場所になっているということですね。新たなビジネスの枠組みづくりに寄与しているということだ思いますが、最近では、こちらのように社会課題を解決するためのオープンな場所が生まれています。
これは「オフィスの在り方」にも影響を与えていると思いますが、神田さんはこのことをどのように考えていますか? おそらく、今後年でオフィスの在り方は大きく変わるのではないのでしょうか?

神田:そうですね。コロナ禍により、テレワークが一気に進み、働く場所が多様化しました。オフィス自体の意義も大きく変化したと思います。
私は前職がIT業界でしたので、普段からテレワークを活用していましたが、不動産業界に転職してみると、誰もテレワークをしていなくて、驚きました。不動産ビジネスなので、当然なのかもしれませんが、最近になって、在宅勤務も増え、働く場所が自由に選べるようになりました。
これは、エポックメイキングなことだと思います。世の中の変化を感じますね。

山本:3×3Lab Futureは、大手町という日本のビジネスの中心とも呼べるような場所にあり、ピジネスパーソンが集う場所にありますが、そのエリアにおいても大きな変化があるということですね。

神田:現在、ワーケーションが注目されていますが、私たちの所属する三菱地所ではワーケーションの場所の提供に以前から取り組んできました。アクセスの良い関東近郊の施設が多いのですが、自社以外でも働くことができる場所が増えています。

山本:コロナ以前から、フリーデスクを採用するオフィスが徐々に増えていました。「どこの席で仕事をしてもいいよ」ということだったわけですが、コロナ以後は、それがさらに進み、「会社に限らず、どこでも仕事していいよ」となったわけですよね。
「フリーアドレスの概念自体がさらに広がっている」とも言えるのではないでしょうか。

神田:今は、オフィスではなく、カフェで仕事をしている人も多いですよね。パソコンさえあれば、どこでも働けます。おっしゃる通り、フリーアドレスがさらに広がっている感じがしますね。
私は、新幹線通勤を17年ほどしているのですが、新幹線内が最高のワークスペースだと感じています。そういう意味では、今後、移動空間にも可能性があるのではないかと思います。「移動スペースでの働き方」も、一つテーマとして面白いと思いですよね。

山本:確かに可能性を感じる部分ですね。お話を伺っていると、三菱地所さん自体が自由な働き方を許容されていることがよくわかりました。「オフィス改革」や「働き方改革」は、その企業の姿勢に寄るところが大きいですよね。

神田:働く場所が増えて、関わるコミュニティが増えると、仕事に慣れたベテランの人も新鮮な感覚を持つことができます。働く環境が変わることで、仕事の内容も変化すると思います。

働く場所の選択肢がモチベーションに影響する

山本:そのような多様な働き方が出てきた時に、オフィス空間自体を提供するサイドとしては、ビジネスとして難しくなる点もあるのではないでしょうか?例えば、だんだんオフィスのサイズが小さくなっていくことが考えられますが?

神田:オフィスが縮小する傾向は確かにあると思います。ある大学の先生も「オフィスのサイズは必ず小さくなる」とおっしゃっていました。
ただ一方で、本社機能は東京にある必要性があるので、丸の内のようなエリアでオフィス自体がなくなることはなく、多くの企業が集中しているため、さらに企業同士の交流が生まれるのではないかともお話しをされていました。
まさに、3×3Lab Futureそこを目指しています。多様な人が集まることで、様々な可能性が生まれます。
三菱地所は、各地でオフィスを提供していますが、ビルの中に各社で共有できるスペースを設けたオフィスも提供を始めています。私たちもそういう新しいことに自ら挑戦しているわけです。そのような新しいオフィスの在り方はこれからもっと増えていくのではないかと思います。

山本:高い生産性を持つ空間を生み出していく必要がありますよね。
3×3Lab Futureのような場所が、新たなビジネスコミュニティ空間になっていくと思います。

神田:空間だけあっても仕方がありません。あくまで「人」が中心になります。その場所に誰がいて、誰とつながることができるのか。そこを訴求できれば、人が人を呼んで、さらに活性化していくと考えます。
そういう意味では、我々は「場所作り」というよりは、「コミュニティ作り」から始まっているんですよね。
今、個人の価値観が重視されるようになり、働く場所の選択肢が増えています。働く場所を自由に選べた方がワーカーのモチベーションは上がります。オフィスの自由度が上がることで、事業の可能性も広がりますし、そこで働く人のライフスタイルの可能性もさらに広がっていくと思います。

山本:今日は、非常に興味深いお話ありがとうございました。
今後も「店舗・オフィスの振興の場創出のためのワーキンググループ」で、議論をさらに進めていたたければと思います。
また、「商業空間・オフィスの未来を考える展示会」の開催当日には、その議論の成果について、ご講演いただければと思います。
本日は、ありがとうございました。

インタビュー風景
インタビュー風景
3×3 Lab Future(さんさんらぼ フューチャー)東京都千代田区大手町1-1-2 
大手門タワー・ENEOSビル1F