Japan Home & Building Show 2022
会期
2022.10.2610.28
会場

東京ビッグサイト東展示棟ACCESS

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デザインファースト
コミュニケーションPROJECT
座談会レポート

デザインファーストコミュニケーションPROJECT

「アート」×「建築」デザインの可能性

SOL style 代表 伊東 裕、
代表 劔持 良美 /
Soul Design Art® 
アーティスト・画家 ハナイ・チエ /
オノデラヨシヒロ建築設計室 代表
小野寺 義博 /
キュー・デザイン株式会社  
代表取締役 鈴木 梓

私たちは目に触れるもの全てを「デザイン」という言葉に置き換え、評価しています。
そこで、今回、キーワードを「デザインファースト」としたプロジェクトを発足させました。
商業空間・オフィスの未来を考えると、人のライフサイクルに深く関わりのあることが分かります。外的要因による変革であってもこれを契機と捉え、本イベントを通して、積極的に情報発信してまいります。
会期中には、設計・デザイン会社やアーティストが参加するブースを設置する予定です。
このプロジェクト参加者による座談会の様子をご紹介します。

(敬称略)

REPORT

空間デザイナーとアーティストによる座談会

-- まず最初に、みなさんの自己紹介をお願いします。

鈴木:キュー・デザイン株式会社の鈴木です。主に店舗の設計をしています。2006年に開業しましたので、15年程になります。
店舗設計の業種は、アパレルよりもコスメやサービス等の女性を対象にした店舗を設計することが多いです。
その流れで、店舗のお客様から「オフィスも設計してください」とご依頼いただくこともあります。

小野寺:オノデラヨシヒロ建築設計室の小野寺です。建築設計全般をしております。戸建住宅から集合住宅、オフィス、店舗等、対象は多岐に渡りますが、基本的には室内の空間作りですので、感覚的には同じであると考えています。最近ではリノベーションのご依頼も多いです。私も鈴木さんとほぼ同じで、15年以上、この仕事をしています。

劔持:SOL style という設計事務所を伊東と一緒にしています、劔持です。設立は2009年になります。
展示会場、カフェなどのインテリア設計やプロダクトデザインをしています。
いろいろなことをやりたいので、特に分野を特定せず、幅広くやらせていただいています。コロナ禍になり、この2年間はカフェの設計をたくさん手がけました。

伊東:私たちの事務所は、6名で運営しています。今、劔持が言ったように、様々なことをしていますが、店舗デザインが約3割、展示会場の設計が3割、残りが家電や家具などのプロダクトデザインになります。

ハナイ:ヒーリング・アーティストのハナイ・チエと申します。
絵画を通じて、みなさんの人生をライフシストしています。みなさんの人生を後押しすることを目的にして、絵を描いています。
住宅やインテリアや空間作りは大好きなので、今回、みなさんとご一緒できるのを楽しみにしていました。

アートと建築デザインの関係性

-- 今日、集まっていただいたのは、ハナイさんだけがアーティストで、他の4名が建築デザイナーになります。ハナイさんは、百貨店などで個展をされていますが、その時、空間設計は気にされますか?

ハナイ:百貨店で展示をさせていただくことが最近は多いのですが、なるべく自分から意見を言うようにしています。「ここに什器を置かせてください」とお願いしたりしています。できるだけ、展示会がお客様の目に入るようにしています。
どこかで学んだわけではないのですが、自然と、空間についても考えるようになりました。

-- 逆に、設計デザイナーのみなさんは、空間デザインでアートを使う場面はありますか?

劔持:店舗設計の時に、作家さんに描いていただくことは予算の関係でなかなか難しいのですが、イラストレーターの方にお願いして、絵を描いていただいたことはあります。

鈴木:飲食店の設計で、壁画を描いていただいたことがあります。
メンズのアパレルブランドで、ストリートアートを描いてもらったこともありますね。そういう時は、店舗デザインの方向性と合わせないといけないので、アーティストさんと相談しながら、一緒になって空間をデザインします。

小野寺:アーティストの作品と空間デザインの相性は、非常に良いですよね。設計した空間内で、相互に影響を与え、しかも、お互いが余地を残し、バランスを保つことができるからです。

ハナイ:カフェやレストランの場合、そういった作品を飾ることで、「心地よさ」や「気持ち良さ」をお客様に与えることができると思うので、私も相性が良いと思います。

インタビュー風景

小野寺:おっしゃることはよくわかります。「よくわからないけど、心地いいよね」と感じることがたまにありますよね。
その感覚を演出することが、空間設計では可能だと思っているので、私も、設計の中で、さりげなく、そういう要素を詰め込むようにしています。

伊東:アートと建築ということで言えば、少し変わった美容室を設計したことがあります。
ひと月毎に展示されているアーティストの作品が入れ替わる美容室です。
お客様は、髪を切るために美容室に毎月来店されますが、普通、内装はほとんど変わらないですよね?そこで、アーティストのギャラリーも兼ねる美容室にしてみました。作家さん達もそこで作品を展示することができるので、お互いにメリットがあります。スペースの有効活用になっているわけです。
お客様にとっては、自分の髪型を一新することと同時に、空間の変化を感じることができます。

小野寺:建築デザインでは、天井高が10cm違うだけで、人の感じ方がかなり変わります。同じように、壁にアートの作品があるかないかでも、かなり印象が違うでしょう。
そういうことを総合的に考えると、アートを活用することで、建築デザインの可能性はさらに広がると思います。

伊東:近年、住宅事情が変化してきて、人とアートとの関わり方にも変化が現れていると思います。
昔はアートを飾っている人は、お金を持っていて、大きな家に住んでいる人でした。一軒家なので、季節ごとに飾る絵を変えることができました。
しかし、今は、そういう富裕層の人は、仕事の関係で都市部に住まないといけなくなり、多くはマンションに住むようになりました。
そうすると、作品を保管する場所がありません。そのため、アートを入れ替える文化がなくなってしまいました。気に入った作品を1つか2つだけ持つようになったのです。
住宅事情の変化がアートにもたらした影響は大きいと思います。

デザインの役割とは?

-- 今回の展示は「デザインファースト」をキーワードにしています。

空間デザイナーのみなさんは、クライアントさんから依頼があって、設計をするわけですが、クライアントさんはデザインにどのくらいこだわりを持っていらっしゃるのでしょうか?

鈴木:クライアント様によって、かなり違います。「全ておまかせします」という方もいらっしゃいますし、細かい部分までこだわりを持っておられる方もいます。
私の場合、店舗デザインの時は「こういうふうにすると、お客様が喜びますよ」となるべくデザインのご提案をするようにしています。

小野寺:「デザイン」と一言で言っても、その意味する領域は非常に広いと思います。
単純に「見た目がかっこいい」という見た目のことだけではありません。
デザインは、何かの問題に対して、解決していくものだと思うんです。
それは普遍的な当たり前のことで、私は、そういったことを、クライアントさんに詳しく説明して、その点を理解していただくようにしています。
設計者は、どのようにすれば問題が解決するのかを、固定観念を外して、設計します。
しかし、クライアントさんはそうではありません。固定観念を持っておられる場合もあります。そこを、どのようにして擦り合わせていくかが大事だと思います。

劔持:クライアント様が企業である場合、関係者が多くなり、様々な意見が出ます。そこで空間デザイナーは、一緒になって、意見をまとめて、解決する役割も求められます。
以前、工場の食堂をラウンジスペースとしても生かせないかというご依頼をいただいたのですが、あるアイディアに対して、古くからお勤めされている方から反対意見が出て、それをうまくまとめる必要がでてきました。その時には、一緒になって、どうすればお互いが納得できる案ができるかをお客様と一緒になって考えました。

伊東:私たちは、最初の段階で、いくつかの案をクライアント様に提示するようにしています。そして、選んでいただいたプランをもとにヒアリングするという手順をとっています。そうすれば、設計をやり直すことはほとんどないですね。

劔持:オーナーさんのイメージをクリアにしていく作業ですね。

伊東:「デザインはわからないので、まかせる」とおっしゃっていただくことがあります。
しかし、実際には、そこには仕事でおこなう活動がリアルにあるわけですから、仕事のやり方には色々ご意見があると思います。ですので、そのプランを元にして、ご意見・要望を理解するようにしています。

小野寺:確かに、僕もクライアントさんのご要望がよくわからないときは、異なるプランをいくつか作って提示しますね。そうすると、お客様の嗜好がよくわかります。

伊東:弊社の場合は、「Fun & Function & One Challenge」というキーワードで設計デザインをしています。「Fun」は「居心地がいい」「楽しい」「気持ちがポジティブになる」というような意味です。
加えて、デザイン的に新しい要素を一つ入れるようにしています。それが、「One Challenge」です。
「Function」は、主に動線になるのですが。空間に必要なものは「面白い」「安らぐ」というだけではありません。
実際に人がどのように動いて、何をするのか、そういった機能的な点も充分に考慮します。機能的なところをとことん詰めていくことで、「FUN」も際立つことができます。

ハナイ:私がSoul Design Art で、「デザイン」と使っているのも同じだと思います。
私も、デザインは問題解決の手段として考えています。その人が人生をクリエイトしていくときの橋渡しとして捉えているんです。
今回の展示では、今日お話しいただいたような、アートと空間デザインに対する新しい考え方を提示できるかもしれませんね。

インタビュー風景

-- 最近注目されているSDGsについては、いかがでしょうか?

伊東:デザイン業界・建築業界では、すっかりSDGsが基本になりました。
弊社では建材開発もしていますが、SDGsいうワードを入れた製品にしないといけない状況になっています。
クライアント様からはSDGs の要素が必ずご要望として出てくるからです。
それ抜きでデザイン提案ができないくらいになったと思います。
アパレル業界ではかなり前からそういう意識がありましたけど、今はそれが他の業界にも広がっていると思います。

小野寺:業界によって、普及するまでに、タイムラグがありましたよね。

伊東:ファッション業界は即時的なんですよね。商品である服の寿命が長くて5年、通常は1~2年でトレンドが変わっていきます。
建築・インテリアは長いと100~200年で、短くても10年の寿命があるので、全く違います。

小野寺:建築業界はそういうトレンドの影響が遅いですよね。着目するのは早いのだけれども、それが業界の中で浸透するまでには時間がかかります。
建築業界である程度のスタンダードができて、それが熟成されるまでに時間がかかります。世の中に提案した時にはなかなか受け入れられなくて、受け入れられるまで待つしかありません。それはSDGsだけではなくて、色々なトレンドも同じだと思います。

-- 今日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございました。今後も引き続きよろしくお願いします。

(敬称略)

  • 小野寺 義博氏
    一級建築士事務所 オノデラヨシヒロ建築設計室代表 小野寺 義博
    事業内容 建築の企画・設計・監理
    (住宅・集合住宅・商業施設・医療施設、福祉施設、店舗内装等)
    リフォーム、リノベーションの企画・設計・監理
    CM分離発注方式による建築施工
  • 伊東 裕氏、劔持 良美氏
    SOL style 代表 伊東 裕/代表 劔持 良美
    事業内容 国内外問わず、飲食店・オフィス・物販店等
    インテリアデザインをメインに、creativedirection、店舗コンセプトからのブランディングデザイン、プロダクト開発、展示会企画まで。
    (建築、住宅・店舗等インテリアデザイン、V.I.・C.I.デザイン)
  • 鈴木 梓氏
    キュー・デザイン株式会社 代表取締役 鈴木 梓
    事業内容 店舗設計、インテリアデザイン、設計監理及びそれらに関わる一切の業務
  • ハナイ・チエ氏
    Soul Design Art®
    ヒーリングアーティスト・画家ハナイ・チエ
    作品の特徴 ハナイ・チエの独自の手法 ノンドミナントハンドにて描いている現代アート・アートジュエリー。
    普段使わない身体や潜在意識にアクセスしながら、万物全て、うちなる宇宙から多次元にシンクロし、自己の可能性を拡大し時間軸を超え宇宙フィールドからのエネルギーを1枚の絵に描きだしています。