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女性農業コミュニティーリーダー塾 実践編
大阪会場 第4回講義レポート
やるべきことが浮き彫りになる「3ステップ会議」とは

2020.2

東京・大阪合同合宿を終えて、第4回目の大阪会場研修が1月22日、23日に開催されました。 前回「身近な仲間を集めてビジョンをつくる」というワークショップに続けて、 今回のテーマはビジョンを実現させるための「アクションプランづくり」です。


この2日間では、3ステップのワークショップを行います。

STEP1 アクションプランのアイデア出し

STEP2 戦略とアクションプラン、KPIの整理

STEP3 アクションプランの具体的な内容の作成


ホワイトボードに、カードで埋めつくされた3種類の模造紙が登場。 今回、塾生が作成する見本が示されます。あらかじめ選ばれた3人の「提案者」を中心に3つの班にわかれ、アイデアを出し合いながらアクションプランを作っていきます。

まずは役割分担から。中立な立場で進行をする「ファシリテーター」と、「記録係」「タイムキーパー」を決めます。

メンバーから出た意見やアイデアは、たとえテーマとずれた内容や反論のある内容であっても、必ずカードに書き出し、読み上げ、貼って、一度は共有する。 この手順を踏むことで、口下手な人やわだかまりを抱いている人にも「自分の意見を受け止めてもらえた」という満足感がわきます。 「全員が当事者として参加している」という実感は、ワークショップで成果を残すためにはとても重要なポイントです。

では、早速はじめましょう!


■ビジョンを実現させるアイデアの出し方とは?



STEP1の「アクションプランのアイデア出し」。

まずは記録係が、模造紙に提案者のビジョンを書き、ホワイトボードに貼ります。 そして提案者は、「地元のトマト栽培を存続させて町を元気にしたい」などのビジョンを参加者と共有します(約30分)。

ビジョンは、実際に提案者が地元でワークショップを実施し、つくりあげたもの。 「そこでどんな意見が出たか」もふくめて現状を把握し、参加者も疑問点はどんどん質問していきます。

「え、その観光名所、インスタですごく人気になってるよ!」。 SNSにくわしい塾生が、その場でパソコン検索。全員でその写真や投稿件数を見ることで、イメージの共有がより具体的になりました。

「これならネットの拡散力が使える」「外部の人を呼び込むイベントができるかも!」と一同大盛り上がり。 “多様な視点をもった参加者”をワークショップに加えることは、気づきやアイデアの種を増やすことに繋がります。

共有したあとは、記録係が模造紙に「人とのつながり」「技術の向上」などアイデアを分類するための「分野」を書いた青いカードを模造紙に貼っていきます。 参加者は、ビジョンを実現させるためのアイデアを黄色いカードに記入。これがアクションプランのアイデアとなります。

「キャンプ系Youtuberを呼ぶ」「町民全員でイベントをする」など、独創的だったり、難しそうなことでもOK。ここは夢を存分に広げて書くところです。

「最初から、実現が可能そうなアイデアばかり出していくと、活動に広がりが出ていきません。 ソロバン勘定はとりあえず脇に置いて、わくわくすることを出していきましょう」(金子先生)

記入が終わったら、記録係が全員分のアイデアを読み上げながら、該当しそうな分野にカードを貼っていきます。 当てはまる分野がない場合は、新たに青いカードに分野を書いて追加します。

カードをすべて貼り終えたら、参加者による「投票」です。持ち点は、赤いシール5枚。 ビジョンを実現させるために重要だと思うアイデアに「いっせーのせ!」でシールを貼っていきます。 赤いシールが多く貼られたアイデアが「重要度の高いアクションプランのアイデア」ということに…。

ここでSTEP1の「アクションプランのアイデア出し」が完了。

3つの班のファシリテーターたちが、ワークショップの結果を全員に報告。

ほかの班では、どのような課題とアイデアが出たのか? 仲間同士の情報共有から、ケーススタディを増やしていくことは非常に大切です。

金子先生からは、結果を“まず誰に伝えるか”についてのアドバイスも。「ビジネスに意欲的かどうかなど、参加者の傾向によって出てくるアイデアは大きく変わってきます。 地元で高齢者が多いコミュニティでは、先進的な考えがすぐに受け入れられるとは限りません。結果を最初に話す相手を吟味することも、ときには必要です」


■KPIを上手に使えば、計画の精度が上がる


さて、お次は 「STEP2 戦略とアクションプラン、KPIの整理」です。 STEP1で重要とされた「アイデア」を、より「具体的な行動計画」へと変えていきます。

「分野」のカードを「〇〇戦略」に名称を書き替え、投票で重要度が高かったものから順に「戦略欄」に貼っていきます。 ファシリテーターは、シールの貼られたアイデアを参加者と一緒に見直して“取り組みが可能”そうなカードを選び「アクションプラン」の欄に貼り替えます。

林先生からは、「戦略名は、かっこよくてワクワクするものを。アクションは “より具体的”なものに書き替えること。 そして、シールがつかなかった=重要と判断されなかった分野は・・・アクションプランには移行しない!」とのアドバイスもいただきました。

一見、STEP1と同じようなことをしているように思えますが・・・
・膨らませたアイデアの中から、取り組み可能なカードだけが「アクションプラン」に進める
・「投票」で重要と判断されなかった分野は、プランから外されます。つまり「STEP2」は「STEP1」で膨らませた情報の“整理と絞り込み”。 冷静で客観的な視点のフィルターが入っているのです。

その極めつけは・・・

「KPI」(Key performance indicator)、すなわち“重要業績評価指数”です!


金子先生! なんですか、このムズカシイ用語は!?

「KPIは、何をもって“ビジョンの実現”とするかを明確な数値で評価する方法です。たとえば“ヤル気が出た”“楽しめた”など計測できないことでは、客観的な評価にはなりません。 “新しい加工品が5種類作れた”“PR誌を年に〇回発行できた”など、数値化することではじめて、次のサイクルにつなげる課題分析もできるのです」

アクションプランのアイデアに、ターゲットや場所を付け加えて具体化していくのは意外と難しく・・・


林先生や金子先生に「これは誰に向けて発信するの?」など、質問を投げかけてもらいながらプランの的を絞っていきます。

KPIの設定の仕方についても、数値の内訳を考えることでとるべきアクションが変わってくると金子先生。 「たとえば同じ240万円の利益を出すにしても、単価が1000円のお客さんを2400人呼ぶのか、10万円のツアーに24人のお客さんを呼ぶのかで、動き方はぜんぜん違ってきます」

みなさんかなり悩まれたようですが、ワークショップの終了後には「KPIを立てることで意識が変わった」「数値化してはじめて具体的に動くこともあるんだ!」 「これを地元の人たちにも体験してほしい」など、感動の声が上がりました。

2日目は、「STEP3 アクションプランの具体的な内容の作成」。
今回立てたアクションプランの中から、特に重要と思われるものを3つピックアップして、プロジェクト名や実行メンバー、期限や予算などを計画していきました。

そしていよいよ、次回は最終回。塾生がそれぞれのコミュニティで作成した渾身の「アクションプラン」を発表します!!