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輝く農女新聞内で特集された情報を紹介しています。

女性農業コミュニティーリーダー塾 実践編
大阪会場 第2回講義レポート
参加したいと思わせるワークショップ

2019.10

地域や同業者のコミュニティにいて、「もっとこうなったらいい」というビジョンはあるけど、実現のための具体的行動や仲間の存在が見えてこない…。

と、いう悩みはありませんか?

2019年10月22日・23日に大阪会場で行われた「女性農業コミュニティリーダー塾(実践編)」の第2回研修では、まさにそんな悩みを解決するためのワークショップを実施。

    主に使うものは…
    1. ・色の違う大きめの付箋 
    2. ・それを貼り付ける模造紙 
    3. ・サインペンとシール

など、どこでも手に入るものですが、このワークショップを行うことでどんどん思考が整理され、今まで考えもつかなかったアイデアも湧き出します。みなさんに実施方法を身につけてもらった後は、それぞれのコミュニティでも宿題として実施していただきますよ!

金子和夫先生、よろしくお願いします! 金子先生は、地域のブランディングや地域資源活用の支援などに携わっています。ご自身も関わってきた自治体の成功事例なども含め、リアリティのあるアドバイスをくれる頼もしい存在です。

では早速、自分のビジョンや夢を「仲間とアイデアを出し合い」、「具体的行動に変換」していくためのワークショップ、はじめていきましょう!


■まずは〇〇が同じ「5人の仲間」を集めよう

まずは、ワークショップに参加してくれる仲間を集めましょう。

ワークショップとは、教える側・教わる側という上下関係ではなく、主催側も含めて一緒に「体験し」「創造する」という横の関係です。

研修では、あらかじめ5、6人ずつ3つのグループに分かれました。実際に開催する場合は、同じ世代の親しい仲間がよいそうです。会議の時間を決めやすくするために、自由になる時間など生活パターンが似ている人を選ぶのもコツだとか。

また、自分の想いに共感してくれる人を集めるためには、「参加したい」と思わせるチラシをつくるのが効果的。

(こちらは、銀座の街の活性化を話し合うためのチラシ。「ふだんは敷居が高そうな老舗の旦那衆とお酒を酌み交わせる!」と20代~60代の幅広い希望者がたくさん集まったとか!)

今日のワークショップは、段階に分けた2部制です。

1部 私の想いを実現するために「解決すべき課題」の整理
2部 ビジョンのコンセプト、課題の整理

5人の仲間がそろったら、ファシリテーター(進行役)や記録係などの役割分担をします。

ファシリテーターは、時間を厳守するほかに、どんな意見でも「みんなで一度は受け止める」雰囲気づくりを心がけます。仲間同士だと終了時間がルーズになりがちですが、「仕事に戻る時間」「子どものお迎え」など、それぞれに予定があります。時間が守られないと、最初はよくても次回から参加してもらえなくなる可能性があるのです。

林先生による、当日のタイムテーブルの説明。かなり細かく決めていくんですね。

また、ワークショップの冒頭では「今日出た意見をどう活用するのか」をしっかり伝えることも大事。「最近のワークショップは、意見を出すだけで終わってしまうことが多い。そうすると“どうせ言ってもムダだ”と、いわゆる『ワークショップ疲れ』の状態になってしまいます」(金子先生)

ほかにも、いくつものコツがあって頭がパンク状態のみなさんでしたが、ここは「習うより、慣れろ」の実践編!! とにかくやってみましょう。

■第1部 想いを実現するための「解決すべき課題」とは?

第一部では、ビジョンを実現するために「解決すべき課題」を洗い出します。
今回のワークショップでは、発案者がファシリテーター(進行役)も務めます。

まずは、発案者がワークショップの目的などを説明したあとに、「いまコミュニティの中で問題に感じていることや、自分の想い」「それを解決するための夢やビジョン」を発表します。絵として見せることで、参加メンバーとのイメージの共有が早く進むそうです。

じつは絵…だけではなく、お手製のフェルト小物で想いを伝えようとしていた塾生も。さすがプロ農家、どの野菜もかわいい上に特徴をよく捉えています。

夢やビジョンを語るのですから、お菓子などをつまみながら楽しく。

ビジョンを聞いたメンバーたちは、その実現のために必要な「課題」を黄色い付箋に書き出します。1つの課題に1枚の付箋で、5枚書きます。これは個人の作業なので、話をせず黙々と取り組みます。会議を効果的に進めるためにも、めりはりが大切です。

ホワイトボードや壁に貼った模造紙に、発案者がビジョンを書き、その下に記録係がメンバーの書いた「課題」の黄色い付箋を貼っていきます。

可視化することで……バラバラに見えた課題も、人財や資金、技術などいくつかの「分野」に分けられるんですね。

「分野」をピンクの付箋に書き、それに沿って「課題」の付箋を並べ直します。次に、優先度が高いと思われる「分野」に、メンバー全員が赤いシールを貼って投票!

これで、ビジョン実現のために「優先的に解決すべき課題」の「分野」が見えたということになります。

ここまでが第1部!

■第2部 想いに「キャッチコピー」をつけて、「実現に向けた行動」を整理しよう

さぁ、第2部では、先ほど出た課題を解決するための行動プランに変換していきます。そして、想いにキャッチコピーをつけて「みんなのビジョン」へと発展させていきますよ!

第1部で「課題」を書いた黄色い付箋を、今度は「~する」という言葉に書き替えて、模造紙に貼り直していきます。夢を現実にするための「具体的な行動」が見えてきたことで、発案者のみなさんも明るい表情に。

パッと見て理解しやすいように、重要と思われる部分には赤線を引きます。

さて、上のブルーの付箋は何かというと…。この想いについて、メンバー全員がそれぞれ書いたキーワードです。今まで共感を深めてきたので、キーワードにはメンバーそれぞれの願いもこもっているんですね

そしてまた投票。今回は「分野」ではなく、「行動」そのものに赤いシールを貼ります。これで具体的に優先すべき行動もはっきりしました。

最後は、発案者がみんなからのキーワードをもとに、想いへの「キャッチコピー」をつけて完成! 自分「ひとりだけの想い」が、「みんなの想い」に昇華した瞬間です。

第1部、第2部の終了後には、それぞれのグループから発表が行われました。

第1部から第2部へと、飛躍的に理解を進めていった1班。

「助けたくなるリーダー」という新たなジャンルに気づいた2班。

全員のキーワードをキャッチコピーに盛り込めた!という3班。

最後は、金子先生からの総括がありました。
「ビジョンを語るときに、自分の夢ばかりが膨らんで『個人ビジネス』のようになってしまうことがあります。常に『コミュニティのビジネス』と線引きして考えましょう」

メンバーを巻き込むためには、一人ひとりにメリットがある=「自分ごと」として意識してもらうことが大切なんですね

これだけ濃密な研修を受けた後は、地元とのギャップを感じてしまうこともあるでしょう。そんな場面もリーダーとして力に変えていくために、2日目は高橋先生の「自分と違う価値観の相手の視点に立ってみる」研修がありました。

みなさんが地元に帰った後で、それぞれどんなワークショップの成果が生まれるのでしょう。楽しみにしております!