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女性農業コミュニティーリーダー塾 実践編
東京会場 第2回講義レポート
巻き込む人は多い方がいい! その理由は?


2018.08

8月22日、23日に行われた第2回研修。金子和夫先生の講義テーマは「多様な関係者を巻き込むには?」。自分たちのビジョンに沿って、周囲の利害関係者を認識し、巻き込む方法を学びます。


■はじめから巻き込む人は多い方がいい! その理由は?

コミュニティ活動をはじめる初期段階からさまざまな人に参加してもらう重要性を説く金子先生。これまでのコンサルティング経験を踏まえ、「先に一部のメンバーで案をまとめてからぶつけるのは、失敗しやすい」と注意を呼びかけます。

人は、自分が関わっていないと「ひとごと」として眺めてしまうし、理論的に会話するというよりも、「私は聞いてない!」と感情的になってしまうことも。だから、一部のメンバーで案を煮詰めてから…と考えるより、最初から「当事者」として参加してもらうべく、巻き込んでおくことが大切とのこと。

「みなさんの活動には、幅広いサポートが必要です。そのためには早い段階で、様々な能力の人たちに加わってもらうことが大事。そこで”気を遣う”ことは、意識してもいいのでは?」(金子先生)

そして、実際に行動を起こす時に留意する点を、3つ教えてくださいました。


1)価値観の多様化を確保した参加者を巻き込む

会議をする時、参加メンバーの男女比をきちんと考えること。あまり経験がズバ抜けた年配の方を入れると「それはやったけどダメだった」「自分の経験ではムリだった」と、会議をダメにしてしまうケースもあります。「良い議論をできる場」であるよう配慮して、参加者を選びましょう。

2)フェイス・トゥー・フェイスで勧誘する

直接会って参加を持ちかけることが、最良の方法です。小さなグループでもいいので、直接会って参加を持ちかけましょう。

3)自分の考えを話して、問題意識を共有する人のグループ化を促進する

周囲の女性農業者に自分の考えを伝える。そこで興味を持ってくれた人と連絡先を交換して、名簿を作ったり連絡を取るといった実行に移す。すぐに連絡を取ることで、小さなグループを作ることができます。


■グループワークで「知識」を「知恵」へと深めよう!

ここからは実習! まずは各自のビジョンに沿い、コミュニティに関わる利害関係者のリストアップから始めます。リストアップした関係者は、わかりやすく構図にまとめます。


そのあとは、代表者がグループで話し合った内容を発表しました。

「農協のキーパーソンで活動を理解してくれるのはだれ?」
「将来的に活動を知らしめたいので、地域のメディアの○○さんに参加してもらおう」
「仲良しクラブにならないように注意!」

金子先生からは今回も実践的なコメントがビシビシ入ります。

そのあとは、さらに深めていくグループワーク。追加すべき地域のキーパーソンや、外部の専門家を書き足していきます。キーパーソンを押さえれば、関係をより強固にすることができ、不足情報やノウハウは、外部の力を活用することも有効。金融機関や大学、国のコーディネーターなど、グループ内で発表し合えば、1人では思いつかなかったアイデアもひらめきます!



塾生の中には「1回目に出したビジョンはちょっと…」と思い始めた人も。グループ内で意見交換をするうちに、自分のビジョン、思い描いているものが変わり、悩みが生まれて来ている人もいるようです。ワークの間にも、金子先生への相談も続出していました。

単に講師から教えを受けるだけでなく、ワークを重ねる意図について、金子先生は「得た知識を自分の状況にどう活かすか、落とし込んで考えることが大切だから」と解説。「座学で聞いているだけだと、結局は退屈だからね(笑)」と、ワーク中の塾生に、実践的なアドバイスをどんどん行っています。

ワーク後の塾生のみなさんの眼差しは、ぐっと生き生きとしているように見えました!

「地域を越えたネットワーク」というアイデアを持つ人、「都市部で、どう農業と関わるか?」という課題を持ち、それを解決する方法を探る人など、いろんなモデルを思い描く塾生。「みなさんのビジョンがだんだん踏み込んで見えてきました」という金子先生。今後は視察を経て組織化し、アクションプランを作っていくそうです。


■自分と合わない人がいたら? 他者を巻き込むヒューマンスキルとは?


このあとは、深代先生の、ヒューマンスキル講座。今回は「多様な関係者を巻き込むためヒューマンスキル」として、話す相手のタイプ別に、「ダメな事例」と「改善事例」の動画を見ながら、意見を出し合いました。

自分と合わない人がいたら、まずはそんな人を判断し、自分とどのように違うのか理解する。そして、その違いを尊重し、持ち味を評価する。そういったプロレスを経て相手の価値を認めることで、コミュニケーションを取れるようになります。

「多様な関係者を巻き込む」こと、講義を聞いていると、実践できそうな気がしてきましたよ!