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菅原紋子/スポーツインストラクターから転身7年 芽生える農業への夢

2018.03.22


岩手県でお米と麦をメインに生産する「ファーム菅久」。ここで、いずれ経営を受け継ぐことになっている菅原さん。前職をやめ、実家に就農して7年。最近は、農業を始めた頃とは心境が変わって来たのだとか。その心境と、今後の計画を伺いました。


■経営移譲を考える中、経営者としての勉強をしたいと思っていた



-菅原さんが就農したきっかけは何ですか?

もともと農業が家業だったのですが、私は三姉妹の真ん中で、てっきり姉が継ぐだろうと思って、家を出て別の仕事に就いていたんです。でも姉が結婚して家を出ることになり、父から「次に権利があるのはお前だ」と言われて(笑)。それで8年前に仕事を辞めて、家に戻ってきました。



-事業形態を教えてください。

今の事業はお米がメインで、麦も作っています。父が社長で、あとは母と私がいて、役員はその3人。あとは従業員さんで、年間通しての雇用が2名、春から秋までの方が13名ぐらいです。取引先にはBtoBもBtoCもあります。



-その中で菅原さんがやっているのは?

主に販売などで、農作業もしています。その合間を縫って、東京や関東近辺でのイベントや催事に予定が合えば、販売に出たりもします。デパートでやっているような物産展が多いですね。そこには加工品も持っていきますけど、やっぱりいちばんはお米として食べてもらいたいので、お米をメインで販売しています。



-育成塾に来たきっかけは?

育成塾の3期には岩手の方が参加されていて、その方から「すごくいいよ」と聞いて、気になっていたんです。去年の6月頃には、別の卒塾生の方にも会う機会があり、「行ってみてもいいんじゃない?」と声をかけていただいて。

そろそろ事業を父から継承することも少しずつ考え始めていて、でも私は経営者としてまだまだだなという思いもあった時期でした。常に勉強だろうから、機会があれば勉強させてもらえればいいなと思っているところだったので、締切直前に参加を決めました。



■新たな雇用に際し、振り返る「5S」


-講義を受けて、感じたことはありますか?

なんとなく分かってはいたけれど、講義を聞いて自分の会社のケースに当てはめてみると、腑に落ちたりしたことはありますね。とくに「改善」「※ 5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」に関しては、役員だけで進めるのではなく、従業員さんも含めての話で、自分が見本にならなきゃいけないと思っています。
※『5S』とは何か?こちらの記事をご参照ください↓
https://www.jma.or.jp/kagayaku-nj/news/report/article062.html



今はベテランの従業員さんばかりなのでいいですけど、これから新しい人を雇用していくとなると、農業の知識がない人でも、機械の名前が分からなくても、機械や工具がどこにあるのかすぐ分かるようにしないといけないなと思いました。



あと最近は、「オリンピックに向けてGAP(農業生産工程管理)認証を取りませんか?」という話がすごく多いんです。それも5Sの「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」を徹底していった先にあるんじゃないかなと思ってい…。ただ、そのGAP認証を取るにもお金がかかるので、今すぐではなくても、いつでも取れるようにしておくことが必要だと思っています。



-社長であるお父さんと経営の話はされますか?

育成塾に来るようになってから、少しずつ話すようにはなりましたね。授業の内容も共有しますし、宿題の中には自分だけの話じゃ収まらないところもあるので、社長だけでなく従業員さんたちとも、自分が学んできたことを話さなきゃいけないなと思っています。



■続けていくために、世の中の変化には敏感でありたい


-菅原さんは農業はお好きなんですか?

そう言われると、どうなんでしょうか(笑)。以前はスポーツインストラクターという好きな仕事に就いていて、それは一生の仕事だと打ち込んでいましたけど…。たまたま家業で農業をする環境があり、やっていくうちに、いずれ自分が社長になって経営をしていくんだなっていう自覚がちょっとずつ出てきて、今は「じゃあ、どうしようかな」というところでしょうか。子供の頃から手伝っていて身近だし、農業に対して否定的な感情はないですけど、あまり意識して考えたことがないですね(笑)。


-そのまま家業を継ぐのではなく、一度外に出たからこそ、見えるものがあるのでは?

そうですね。農業は、大変なところもありますが、やりがいはすごくあると思うんです。その大変なところをどうやって楽しさややりがいに変えるかというのと、会社を潰さないためには何をどうしたらいいのかっていうのを、最近は考えるようになりました。


-プレッシャーもありつつ、将来の展望も持ちつつあるということですね。

そうですね。今は米と麦を中心に生産と販売をしていて、就農したばかりの頃はそれを続けていればいいと思っていましたが、世の中がいろいろ変わって行く中で、今後はそれだけでいいのかとは考えるようになりましたね。面積も年々増えていくし、お米を食べる人がだんだん少なくなっている中で、どうやって維持すればいいのかとか。何年も続けていくために、今後も世の中の変化には敏感でありたいです。




地元の子供たちを中心に農業体験を受け入れている

-では最後に、今後の夢や目標を教えてください。

自分の会社を持ちたいと思っています。今の会社をそのまま引き継いでもいいんですけど、それだけだと夢がない感じがして(笑)。そこから独立してもしなくても、会社を自分で設立して社長になるというのがひとつあります。


-譲り受けたものだけではなく、自分で作りたいと!

はい。あとは今、すごく育ててみたい作物ができたんです。それにどう携わっていくか、どこの会社でやるかなどはこれから考えるんですけど…じつは、地元の若手生産者の方と一緒にやることになっているんです。そういうふうにやりたいことが少しずつ増えてきています。その作物で、新規就農の方を増やしたり、若い生産者の方が入ってくるきっかけを作れればいいなと思って、今は仲間たちと進めているところです。


-農業も時代に合わせて姿を変えていく中、継承する事業に加え、自分が新たにやってみたいアイデアなどが生まれつつあるんですね。

そうなんですよ。すごく楽しみです! 私はまだ独身で自由ですし(笑) 自由に動けるうちに、いろいろ経験したいと思います!





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