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遠藤紀江/育成塾を通して整理がついたこと…

2017.03.28

遠藤紀江(山形県山形市大森 遠藤南大森農場)

遠藤紀江さんは、山形県で肉用牛、サクランボ、イチゴなどを手掛けています。ここ3年で大きく経営形態が変わったという遠藤さん。悩んでいる時期に育成塾に来られたことで、学びは多かったのだとか。



結婚と同時に就農して22年

−就農して何年目ですか?

子育てしながら手伝い半分の時期もありましたけど、22年です。



−最初に農業に入ったタイミングは?

結婚と同時ですね。結婚前に事務の仕事はしていましたけど、結婚と同時にやめました。たまたま農家だったので、子育てをしながらだんだん手伝っていくうちに、いつの間にかおばあちゃんの方が「私が手伝ってる」という感じになってきて、「あれ、いつの間にすり替わったの?」って(笑)。



新体制になって3年目という模索の時期に育成塾に

−ここ何年かで、経営環境が大きく変わったそうですね。


以前はおじいちゃん、おばあちゃんと私の3人でした。おじいちゃんは役職などもあって昼間いないことも多かったので、実質2人でしていました。それが、主人が3年前に早期退職して就農したのと、長男も就農したので、ここ3年ほどで急に男手が増えた状態です。新体制になってから4年目に入るところです。

夫が早期退職したことで、急におばあちゃんと会議が開かれて(笑)。収入を増やすためにとにかく作付けを増やそうとか、とにかくハウスを建ててトマトを植えようとか闇雲に投資をしたり、直売所に持っていく回転をちょっと早めたり、いろいろ模索していました。



−育成塾には、どういう経緯で入ったのですか?


偶然、2期生の人と友達で、地区の説明会だけでも受けたほうがいいよと勧められて。ちょうど自分自身も悩みの渦の中にいた時期だったので。まあ、今もいるんですけどね(笑)。



−授業を受けてみてどうですか?

授業を受けたのは約半年と短いんですけど、これまで就農してきた経験と照らし合わせて学べるんですよね。20年前や15年前の自分の失敗や、あの人の言葉とか、そこまで立ち戻って学ぶので、1年に満たない授業ですが何年も学んだ気がします。蓄積があったからこそなので、この歳で受けたことも意味があったなと思います。


ウチの時期と合っていなければ、断る選択肢もある

−授業を聴いて、新たにやりたいことなどは増えましたか?

作付けの時期や量を今までと変えてみようかと、家族で話し合っています。回転を早めると忙しくなるので、品目を厳選して量を多めにしようとか。直売所向けなので、それがうまくいい値段の時期に出荷できるのか、ダブって安く売らなきゃいけなくなるかはまだ分からないんですけど、前よりは戦略的に狙った時期に植えてみよう思っています。

あと、今まではお客さまを大事にするあまり、自分のうちの作業効率を考えていなくて、うちが無理すればいいんだというところもあったんですけど、そこは変わりましたね。欲しいと言われたから植えるとか、そういう単純な発想じゃなくなりました。もちろん欲しいと言われたものは植えるんですけど、それがうちの時期と合っていなければ断るという選択肢もあるんだなと。



主人も私も長男も、もっと自分なりに働けるし、余力はあるのに変な所に使っているところもあるんです。そういう家族の労働バランスもみんなで考えて決めた方がいいんだなと、この授業で整理がつきました。



−現在は、ご家族で役割分担をされているのですか?

おおまかに、牛は主人、畑の管理は私とおばあちゃん、防除作業はおじいちゃん、直売所の配達は長男で、マルシェは私が担当しています。出荷準備は、手の空いている人がやります。多品目の我が農場では、一人何役もこなしています。

現状にこだわらず、変化してもいい

−ご主人が参加されて変わったことは?

これまでは在庫管理ができていなかったんですけど、主人がしっかりしているので、農薬や不要な資材を買って無駄にすることはなくなりました。これまでは売り上げ重視で来ていたのですが、やはり同時に経費を削減しながらでないと意味がない。基本的なことだけど、そういうことの大事さも授業で聞いて気づきました。今までやってこられたのは奇跡だったのかなと(笑)。



夫も3年間仕事をしてきて、これから家族でどうするかみんなで考えられる時期だし、これからは長男の役割分担を徐々に増やして、経営の部分にももっと顔を突っ込ませて少しずつ成長していって欲しいと思いますし、そういう意味ではいいタイミングで育成塾を受講できました。



−今後は自分の農業をどのように経営していきたいですか?

うちはおじいちゃんの代は、牛を300頭ぐらい買うような大きな農家で、今は40〜50頭ぐらいにとどめて、その分を畑にしているという感じなんです。牛を始める前にはもともとは行商をして、今でいう直売所向けに多品目を作っていたんです。



それを思うと、変化していいんだなと思います。バトンを渡されてすぐは、現状維持をしなければと勝手に考えていたんですけど、引き継いだからといって、このままの形で守り続けることにこだわらず、どうにかして農業で食べていくという気持ちがあれば、やることを変えていってもいいんだと思っています。



また、息子にどんな形でバトンを渡すか、それとも農業をやめるかというのも、判断は私たちがするんだということも感じています。行政に言っても税理士さんに聞いてもだめだよっていう(笑)。誰も決めてくれないし、その前に自分たちで気づいて、暮らしていけるように変化させていく。それも、家族としっかり相談して、一緒に判断しないといけないなと思っています。