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堀田悠希/元・農協だけど就農には消極的でした

2015.12.24

堀田 悠希 (北海道河東郡士幌町 夢想農園)

生産品目は、小麦、甜菜、馬鈴薯、白かぶ、水菜、パクチー、長芋、わかもろこし…アーティチョークなど約30種類。自分のキャリアを農業に活かしたいと、自ら札幌・東京への売り込みもスタート!『どんな人が、どんな土地で、どんな思いで農業をしているかをお客様に伝えながら日々農業をしています!』という堀田さん。


もともとは、農家は絶対嫌だったんだとか…。そんな堀田さんがどうして、就農することになったのか? さっそく、お話を聞いていきたいと思います。


食について学ぶため農協に就職

農女新聞
まずは、就農された経緯について教えて頂けますか?


堀田
もともと農協職員で、その前は大学で経済学を専攻していました。というのも、私の実家が飲食店を経営していて、実家を継ぐのが高校の時からの夢で…将来、経営者になって家を継ぐつもりだったんです。

農女新聞
では、どういう経緯で農協職員の道を歩むことに?


堀田
大学在学中に、せっかく飲食の仕事に携るんだったら、もっと食のことについて学びたいと思って、実家の周りの農家巡りをしたところ、農業の魅力に惹かれてしまって…。それで、地元で一番大きい企業で農業のことが勉強できるところはどこかと考えて、地元の農協に就職しました。


農女新聞
なるほど…



夫との出会いと心の葛藤

堀田
そして4年間、農協で事務をして、いざ実家を継ごうと思っていたら…


農女新聞
思っていたら?


堀田
農家をしている夫と出会いまして(笑)農協にいたので、農家にだけは嫁ぎたくないと思っていたので…


農女新聞
というと…


堀田
あくまで、私の個人的な意見ですが…農家は大変そうとか、御姑さんとの関係とか…。自己実現がしにくい職業というイメージがあったので。


農女新聞
なるほど、農家に対してあまりいいイメージはなかったんですね


堀田
体力的にも大変そうだし、一日中、草を抜くとか、同じ作業をずっと続けるとか…そういうのは、自分には向いていないと思ったし、自分のキャリアも活かしにくいだろうと…。そんな勝手な印象を持っていました。


相手が農業者だったから仕方がないという諦めの気持ちもありましたけど、夫の農家が野菜農家だったんですよ、こまごました野菜をたくさんつくっている。そんな農家だったから面白いかもと思ったんですね。なので、今の夫じゃない農家だったら農家には嫁げなかったかもしれないですね。あと、その当時から個別販売もしていたので、そこは自分の力が発揮できるかなと…。



農業は命がけ

農女新聞
実際に就農してみていかがでしたか?


堀田
最初は、自分の体力のなさに愕然としました。それと、事故や怪我を今まで以上に意識するようになりました。


農女新聞
というと…?


堀田
規模が大きいと、それだけ機械も大きくて、私が最初に命の危険を感じたのは…「土とおし」という仕事で、種をまく前に畑の土をきれいなサラサラの状態にするんですね…。その作業をする機械に土が詰まらないように、デッキブラシを持たされるんですが、それがちょっとでも間違ったら、機械に手を巻き込まれて…

農女新聞
なるほど。事故や怪我で休むと、その間に農作物がダメになってしまうから健康や怪我に注意するようになった、ということではないんですね…。


堀田
ガチ命の方ですね(笑)手がなくなったら、どうしようとか、そっちの方です。だからいつも、もし夫がこの機械に挟まれて、手を怪我したら…ということをイメージして行動しています。

農女新聞
どういうことですか?


堀田
ここ(夫の作業している場所)の住所は、どこなんだろうか? とか…携帯の充電が80%以上あるかとか、常に確認しながら畑に出るようにしています。でも、普通に生活していたら、こんなこと考えないですよね…。


農女新聞
たしかに…。では逆に、就農してよかったなぁと思うことは?



農家という名のフリーランス

堀田
私の場合ですが…、フリーランスみたいなスタイルで仕事ができることところですかね。決定も私がしなければいけないし、取引先に営業するのも自分でやらないといけないけど、時間の使い方は、自分で決められるので…今日はここまでいったから、あがれるとか、この日は頑張らないといけないから残業しようとか。そういう組み立てを人に指図されることなしでできるのは、魅力かもしれないですね。あと、夫と一緒にお仕事ができるのが一番の魅力かもしれないです。


農女新聞
ごちそうさまです(笑)


農女新聞
堀田さんは、自分のキャリアを農業に活かしていきたいと、考えているそうですが…


堀田
私は、人と出会うことが大好きなので、経営には向いてるなと思うんですよ。ただ、どうしても農家の実家って旦那さんが(経営を)やっちゃうのでビジネスビジネス、お金お金しちゃうところがあって…その辺、女性だとポンと飛び込みで営業しても「農家なの?」「どんなもの作ってんの?」と受け入れてもらいやすかったり、その後のやりとりも、私が女性だから、シェフやバイヤーさんも気軽に連絡が取りやすい環境が作れているように思います。


農女新聞
堀田さんの明るいキャラクターや資質の部分も大きいとは思いますけど…


堀田
そういうスタイルの方が、信頼関係も深まって、私たち夫婦のことを理解したうえでお野菜を販売してくれるので、取引先の絆を深めることにもなっていいかなと。


農女新聞
経営のキャリアは、やはり大学で?


堀田
いえいえ、私、5歳の時から実家の焼肉屋さんのお店に立っていて(高校まで)、人の心をつかむにはとか、利益がどうのこうのという商売のノウハウを小さい時から、父親から嫌と言うほど聞かされてきたので…


農女新聞
なるほど、そういうノウハウは、まだまだ農家にはないかもしれませんね


堀田
やっぱり農家だと、お客さんの顔が見えないから、そうなってしまうのは仕方がないと思うんですが…



一般の方々が、ウチの野菜だから…と買ってくれる仕組みを作りたい

農女新聞
今後の展望についてはいかがですか?


堀田
農場ブランディングを手掛けていて、今、マルシェと個別販売のレストランをやっています。その売り上げはまだまだ微々たるもので、売り上げの95%は市場と農協との取引き。でも、マルシェやレストランとのお付き合いによって、一般の消費者の方々がスーパーに並んでいるウチの野菜を手に取ってもらえる、選んでもらえる仕組みを作りたいと思っています。

農女新聞
なるほど、農場ブランディング…


堀田
これで、野菜の市場価値を上げて、市場価格に左右されない農場経営にしていきたいと思っています。だからこそ、今はどんなに疲れていてもマルシェには積極的に出ようと思っています。


農女新聞
最後に今後、農業に携わりたいと思っている女性の方々に、アドバイス、メッセージをお願いできますか


堀田
農業の固定観念にとらわれず、自分らしい農業の形を探して行ってもらいたいです。私は農家に嫁いだ身ですが、「義母の仕事を受け継ぐ」だけが農業ではないし、前職のキャリアをいかに農業に落とし込むかを意識しています。