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横田美由紀/中身で勝負!直接取引開始の経緯

2015.03.26

■しいたけブラザーズって?

横田美由紀  (岐阜県加茂郡川辺町  有限会社 しいたけブラザーズ)


『就農の理由は、代々続く農家の長男と知り合って結婚したからです』。学生時代に北海道札幌市で知り合い、平成7年に結婚。長野県へ移り、その後平成10年に家業を継ぐため岐阜に帰って就農。前職は、1年ちょっとしか働くことはできませんでしたが、看護師をしていました。


そんな横田さんですが、インタビューをする前にとても気になっていたのが会社名の『しいたけブラザーズ』…ネットで検索すると…イケメン3人の写真がぞろぞろ、、、このイケメンの中に、横田さんのご主人がいらっしゃるのか? それとも…??? では、さっそくお話を伺っていきたいと思います。


■重労働は無理だけど、人と接する仕事なら…

農女新聞
ご主人が実家を継ぐことで、横田さんは就農されたわけですが、当時、就農に対する抵抗はなかったですか?


横田
当時は、社名もまだ「ふじしいたけ園」(ふじは、日本一になろうという意味)頃で…。でもその頃から、お義母さんは加工を始めていたり、量は少ないけど直売もしていて…その姿を見て、人と接する仕事であれば、私にもやれることがあるかなと思っていたので、それほど抵抗はありませんでした。そもそも、原木栽培は重労働で女性が関われる部分は限られているので…。それともうひとつ、子供が親の働く姿を見て育ち家業を継ぎたいと思えるような環境や、大家族や自然に囲まれた中での暮らしが新鮮で魅力を感じていたので。

農女新聞
で、実際に就農されてどうでしたか?


横田
当時、3人目の子供がまだ生まれたばかりだったので、最初は経理と家族10人分の食事の世話をしていました。鍋とかも大きくて、給食センターってこんななのかなぁと思いながら作っていました(笑)。ちなみに、主人は6人兄弟で当時、次男次女も同居していました。


農女新聞
ということは、当時は、お父さんお母さん、それと長男のご主人と次男の4人でしいたけを作られていたんですか?


横田
そうですね。主人と次男が就農した時点で、仕事の引き継ぎが始まったんですが、最初は慣れないこともあって失敗も多く、とにかく忙しくて…。そんななか、私は見知らぬ土地で身寄りもいないなか子供を連れて大変で…そんな状況なのに、全然かまってもらえなくて…。


農女新聞
それはつらいですね…


■中身で勝負するために直接取引をスタート!

横田
家でも仕事の話になると、私だけそれについていけなくて…。それで、3人目の子が1歳半くらいになった時、私もしいたけの作業を手伝いたい!と申し出て…それから、出荷作業を手伝わせてもらうことになったんです。


農女新聞
なるほど、そこから本格的な就農が始まったわけですね。でも、まだこの頃は「しいたけブラザーズ」ではないんですよね…


横田
はい。最初は、父のやっていたことをそのまま引き継いでやっていたんですが…薬は絶対使わないようにしようとか、当時、全部市場出荷だったのを、それを直接取引に切り替えようとか徐々に経営スタイルを変えていってたんですね…。


農女新聞
話の途中にすいません。市場出荷と直接取引は、どう違うんですか?


横田
市場出荷は、先方が付けた値段で出荷するんですね。だから、その値段に一喜一憂するしかないんです。でも、ウチは、原木で無農薬で、品種にもこだわって作っていて、味も絶対美味しいものを作っていているのに、市場に並ぶと、そんなこと関係ないんです。見た目とか重さ、大きさ形だけで判断されちゃうので、そこに納得がいかなったんですね。見た目じゃない、中身で勝負するには、市場に出荷していては評価されないと思っていたんです。手間暇かけて作って持って行っても全然お金にならない…。本当に辛かったですね。
一方、直接取引は、出荷する側で値段が決められる取引のことを言います。


農女新聞
なるほど。そういうことなんですね。話は戻り、父親の代から、ご主人と弟さんに代替わりし、経営方針も変わってきたということですが…


横田
そうなんです。徐々に経営スタイルが変わっていって、その後に「しいたけブラザーズ」が設立という形になるんです。


農女新聞
ついに、出てきましたね。では、そこまでの経緯をくわしく教えてください。


■しいたけブラザーズ誕生秘話

横田
まず最初、直接取引を始めるために近所のスーパーで試食販売を行ったんですね。そうしたら好評で、そこから直接取引の可能性が見えてきたんです。その後、試食販売や口コミやマスコミで取り上げてもらったりして徐々に直接取引が広がっていき、今ではホテルや百貨店、スーパーなど、飲食店はジャンルを問わずフレンチ、イタリアン、居酒屋などで50カ所以上の取引があります。


その試食販売の際に、兄弟二人並んで、「自分たち二人が作ったしいたけです」と言いながら販売していたら、お客さんの方から、「しいたけブラザーズだね」と声をかけられるようになったんです。それが、みんなの頭の中に残っていて、社名を決める時には「しいたけブラザーズ」でいこうと決めていたんです。


農女新聞
なるほど…


横田
それと…生協とかで売る際に、袋に二人の顔写真を入れて、しいたけブラザーズですと書いて売っていたんです。兄弟二人で籠をもっている写真で、その籠の中身の部分を透明にして、そこから中の商品が見えるようにして。最初は、写真の代わりに私が二人の似顔絵をイラストで描いていたんですよ(笑)。


農女新聞
楽しそうですね…。


横田
楽しかったですよ。顔写真は、お客さんの反応も良くて…、それで、これでやっていこうということになったんです。


農女新聞
イケメンですもんね。ネット上では、イケメンブラザーズって書いてありましたよ…


横田
(笑)でも、だいぶ齢をとってきたので、そこのウリも、もうそろそろなんですけど。ホームページの写真とかも、けっこう前の写真で、もうそろそろ使えないね、って…最近、話をしていたところなんです(笑)。

ちなみに、一番左が横田さんのご主人です。

横田
それ以外にも…原木しいたけ業界って特に高齢化が進んでいて、そこに若い後継者が入ってきたってことで、注目してもらったというのもあったと思います。


農女新聞
ところで、もう一人は? しいたけブラザーズは、男3人ですよね?


横田
そうなんです。そうやってパッケージとか、新しいことをどんどんやっていたら、それを見ていた三男が、自分もやりたいって入ってきたんです。当時、三男は機械メーカー勤めで、出張で全国を跳びまわっていて家族の時間もなかなかとれなかったりとか、いろいろ悩みもあったみたいで…2004年に三男も加わり、そのタイミングで会社にしたんです。


農女新聞
やっぱり家族の時間を持てるということでは、農業は魅力的ですよね。ちなみに、お休みとか、お給料は…


横田
生き物が相手なので…、しいたけの収穫はお盆もお正月も関係なく毎日です。意識して休まないと休みがなくなってしまうので、「週に一度は休みを取る」とみんなで決めて、お互いに協力しながら休みを取るようにしてます。朝早くから仕事をしたり、夜残業したりして自分で調整できるのは、自営業の良いところだと思います。


収入は自分たちでつけた値段で販売できるようになり、頑張れば頑張った分だけ自分たちに帰ってくるようになりました。子供が多いので贅沢はできないけれど、やりがいはあります。


農女新聞
最後にこれから農女デビューを考えている女性の方々にメッセージをお願いできますか…


横田
私は嫁の立場で就農したので、同じ立場で農業との関わり方に悩んでいる方へ・・・


農業といっても生産現場だけでなく、経理など裏で支える仕事、消費者の視点を生かして、パッケージや販促ツールを提案したり、接客や出荷業務などできめ細かい対応ができたり、加工品を作ったり様々な関わり方ができます。私自身子育てや家のことも大切にして、その時々で仕事とのバランスを取りながらやってこれたのは農業だからこそと思っています。農業に関わることでいろんな人との出会いも広がり、続けていくうちに自分の役割ややりたいことが見つかり、一生続けられる仕事にできるのではないでしょうか。私自身、まだまだ模索中ですが、一緒にがんばりましょう。

農場女子
ありがとうございました。


改めて、農業って家事と仕事のバランスのとりやすい職業なんだなと思いました。余談ですが、横田さんのお子さんは、(現在)5人。この5人の中から、しいたけブラザーを引き継ぐ新ブラザーが誕生するんですかね?二代目しいたけブラザーズ、三代目JSoul Brothersみたいで格好いいかも。