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鈴木まゆ/地元・静岡の抹茶を広めたい!

2014.12.25

■お茶の魅力を発信していきたい

鈴木まゆ (静岡県静岡市 清照由苑)

静岡市清水区両河内(りょうごうち)は静岡茶市場で30年以上にわたり
最高値を付けている“銘茶の隠れ里”として知られるお茶所。
この地で100年余り続く茶園に生まれた鈴木さん。

しかし、まさか自分が農業に関わるとは、まったく思っていなかった!…というのは、
この農女インタビューお決まりのパターンとなりつつありますが・・・(笑)
個々にお話を伺って行くと事情はさまざま。
鈴木さんがお茶を育て、お茶の魅力を発信する活動をはじめるまでにいたったのか・・・

鈴木
子供の頃、ちょっと手伝ったりはしていたんですが、まさか本業になるとは
思ってもいませんでした。
基本、畑仕事は祖父母がやっていて、父親も会社員(農協)だったので。

農女新聞
ではなぜ、就農することに?

鈴木
そもそも、医療事務をやっていたんですが、忙しくて自分の趣味の時間が
まったくなかったんですね。
そんななか、父親が亡くなって、それがきっかけで、自分の好きなことは、
やりたい時にやっておこうと考えるようになって・・・。
自分の時間が作れる仕事に転職して、そこでできた時間を使って
茶道の教室に通うようになったんです。

農女新聞
なるほど、茶園の娘ですもんね。
農業には興味はないけど、お茶には興味があった・・・そういうことですね!

鈴木
いいえ。そうではないんです。

農女新聞
・・・あ、違うんですね

鈴木
実は、父親が亡くなって仏壇にお花を供える時に、上手く生けたいなと
思うようになったんです。それで、どうせ花を生けるなら本格的に習ってみたいと・・・

農女新聞
ああ!それで茶道……ん?
だったら華道なのでは?

鈴木
実は、紹介して頂いたところが、華道と茶道を一緒に教えてくれるところだった
というのもあるんですが、、、
茶道だとお花も含まれているんですよね。
茶道は、ふすまの開け方や畳の踏み方、どんな花を生けたらいいのか、
掛け軸の掛け方まで“おもてなし”全般について教えてもらえるので・・・
それと、もともと、日本の“しつらえ”や“おもてなし”には興味があって
神社仏閣巡りとか、和の文化や歴史も好きだったんです。

農女新聞
なるほど

鈴木
それから、お抹茶に触れる機会が増えていったんですけど・・・

農女新聞
はい。

鈴木
あることに気が付いたんです。
静岡なのに京都産の抹茶を使っている方が多くて
静岡産抹茶って、ほとんどなかったんですよ。そこで・・・
『お茶所なのに、どうして抹茶がないんだろ?
だったら、ウチ、茶畑あるから、作ればいいじゃん!!』
と思っちゃったんですよね。
そこから、私の抹茶作りがはじまったんです。

農女新聞
なるほど、抹茶を作るために就農したってことですね。
(えっ、そこ!?)

農女新聞
素朴な疑問なんですけど、どうして茶所なのに抹茶を作っていないんですかね?
土の質が違うとか?

鈴木
どうなんですかね・・・。やっぱり、静岡は煎茶文化の方が多くて、
京都とか宇治みたいに抹茶の文化がないんですよね。
家康がいた時代には、本山茶といって本山という場所では盛んに
作られていたそうなんですが・・・

農女新聞
なるほど、そういうものなんですね。
でも、周りで作っていないとなると、そもそもお茶作り自体も素人なのに、
いきなり抹茶って大変だったのでは?

鈴木
抹茶を作る工程に関しても無知だったですし、周りにも抹茶を作っている
生産農家の方もいなかったので、自分達(自分と母)で、古い文献を見たり
話を聞きに京都に出向いたり・・・
そこから始めたので、みなさんにお出しできるようになったお茶になるまでに、
6、7年かかっています。

農女新聞
やっぱり、そのくらいはかかりますよね〜
木を植えるところからですもんね〜

鈴木
えっ??????

農女新聞
・・・・え?あれ?

鈴木
・・・・あのぉ

農女新聞
・・・・はい(神妙)

鈴木
煎茶と抹茶は栽培方法が違うだけで…
木はもともとあった樹齢何十年という木を使っているんです。

農女新聞
エッ!? 煎茶と抹茶って、木の種類が違うんじゃないですか・・・(赤面)
栽培方法が違うって・・・ど、ど、どう違うんですか?

鈴木
抹茶の場合は、光を遮断する黒いネットをかけるんですね。
太陽の光を遮光することによって、木全体のあまみとかアミノ酸がアップして
カテキンを抑えられて、まろやかなコクのあるふんわりした味になるんです。

農女新聞
へぇ〜
抹茶は手間がかかるんですね…

鈴木
ネットも厚みの違うものがあって、どのネットをどの時期に使うかなど、
誰も教えてくれないんで、この土地にあったものを試行錯誤しながら
見つけていきました。

農女新聞
いろいろご苦労があったんですね。
そんな苦労の末、育て上げた抹茶ですが、
宇治の抹茶にはない魅力や特長は何かありますか?

鈴木
霧が深くかかる地域なので、あまり人工物のネットとか使用しないで
土地の風土を利用して、なるべく自然仕立てで栽培から石臼の工程まで
すべて一貫して手作りにこだわっています。

農女新聞
なるほど。よくわかりました。
(抹茶の木も煎茶の木も同じ木ということもわかりました)
ただ、これだけではないんですよね?
聞くところによると、もうひとつ、
抹茶作りと同時に始めたことがあるんですよね?

鈴木
そうなんです。
実家に古い馬屋があったんですが、それを茶室にと思い、
7年間かけて自分達の手で少しずつ手を加えていき、
茶室を作っちゃいました。
もともと茶道を習ったのもそうなんですが、
もともと「おもてなし」が好きで興味があったので・・・。

ってことで…こちらが、その茶室です。

鈴木
茶室では、お茶が飲めるスペースと、販売スペースがあるんですが、
予約制で、お茶染めの体験などもできるようになっています。

農女新聞
そうそう、鈴木さんは、抹茶や煎茶の栽培加工だけでなく、販売や
より多くの人にお茶の魅力を知ってもらおうと、「グリーンツーリヅム」という
イベントも行われているんですよね。

鈴木
茶室のある場所が、緑豊かなところ(田舎)なので、ついでに近所を散歩したりとか
お茶摘みやほうじ茶を煎ったり、お茶染めの体験などしてもらっています。(要予約)
抹茶をきっかけに、もっと、お茶に興味をもってもらいたいので・・・

農女新聞
最後に、就農されて約7年になるわけですが、「農業」はどうですか?
イメージと違っていた点とかありますか?

鈴木
農業は地味で、暗く、年配の方がするイメージがありましたが、
農業に関わることは自然を相手にすることなので、今までに気付かなかった
自然の素晴らしさを改めて知ることができました。
それと、今一緒にお茶を作っている祖父母の苦労を知れたこと。
知らずにいた頃よりも感謝の気持ちでいっぱいになりました。

茶道に触れたことで自分の足元を見つめ直すキッカケを得た鈴木さん。
どんなことが就農のキッカケになるかわかりませんね。
みなさんの身の回りにも、気づいていないだけで、就農のキッカケが転がっているかもしれません。