榎本佐和子/趣味が高じて養蜂家!?就農は蜜の味
2014.12.11
榎本佐和子 (愛知県豊川市 榎本はちみつベリーファーム)
            今回お話しを伺うのは
            お一人で、ちいさな養蜂場で蜂蜜を採り、ちいさな農園で
            果実や野菜を作られている榎本さん。
            就農歴は3年。
          
■趣味で始めた養蜂が仕事になった
            前職は、農業にも食品にも関係のない市役所の嘱託職員さん。
            そんな榎本さんが、なぜ就農するに至ったのか・・・?
            さっそく、お決まりの質問からスタートしましょう!
          
記者:「では、就農の経緯からお話、伺えますか?」
榎本:「最初は家族の趣味でやっていたんです。採れた蜂蜜をお礼やプレゼントに贈っていたところ・・・、『お金を払ってもいいから、分けてもらえないかしら』と、いろんな人から言われるようになって・・・。その時、そんなに欲しい人、いるんだぁと思ったんです」
記者:「なるほど・・・」
            と、答えつつ記者の頭の中では・・・ひとつの疑問がグルングルンと回っています。
            「・・・趣味で養蜂?」「・・・養蜂が趣味?」
            疑問は、置いておき、お話しは続きます。
          
            榎本:「当時、ブルーベリーを趣味で植えていて、ブルーベリー用に蜂を買って来たんです」
            記者:「なるほど・・・」
          
            と、答えつつ記者の頭の中では再び・・・
            「蜂を売ってる?」
            頭の中のツムツムが崩れ落ちそうですが…
            さらに取材を続けます。
          
榎本:「それで、蜂を買ってきたら蜂の飼育の方が楽しくなってしまって、本とかインターネットで調べながら蜂を増やしていって、そうしたらハチミツも採れるようになって・・・。それを食べたら、も~!美味しくて♥ それまではあまり好きではなかったんですけど、今まで食べていたハチミツって、何だったの?!と、思ってしまったんです」
記者:「なるほど」
榎本:「で…早速、どうして美味しいのか調べたら、面白いことがわかったんです!」
え? なにが分かってんですか!?
榎本:「理由は、ウチで採れたハチミツは非加熱だからなんです!本とかネットで調べてみると、日本に流通しているハチミツの94%は輸入ハチミツ(加熱)で、国産ハチミツは、たったの6%。その中でも「非加熱はちみつ」はとても貴重なものなんだとか・・・。つまり、今まで自分が食べていたハチミツが全て加熱ハチミツだったということ。今、スーパーにもどこにも、非加熱のハチミツはほとんど売っていないということがわかったんです!」
            そうだったのか…
            ボクがこれまで食べて来たハチミツは、多分、ほぼ100%加熱だな。
            ・・・あぁ・・・人生、損した気分っす(落)
            いや、これからボク、非加熱探します! 国産探します!
            人生、取り戻します!
          
ちなみに、こちらが榎本さんが作ったハチミツ!
輝いています!
さらに、榎本さんには別の発見もあったそうです!!
榎本:「同じ花の種類でも、地域や季節によって味が変わり、地域の花々を集めた“百花(ひゃっか)ハチミツ”は世界中どこに行っても作ることができない、“地元の味”であることも分かったんです!!」
            榎本さんは、自分の住んでいる地域は、
            大きな花畑がないため、地元のハチミツが販売されていないことを知り、
            この非加熱のハチミツの味をたくさんの人に味わってもらおうと、
            就農することを決意したんだそうです。
          
            以上、ハチミツがあまり好きではなかった榎本さんが、
            ハチミツに♥して就農した経緯でした。
          
            おさらいすると・・・
            ① 非加熱のハチミツは超美味しいが、世間に出回っていない。
            ② 百花ハチミツは地元の味が楽しめる
            ③ 趣味で蜂を飼っている人がいる
            ④ 蜂は売っている
            ⑤ 榎本さんは疑問に思ったコトはすぐに調べる
            以上!
          
            ちなみに、記者がインターネットで
            「養蜂」「個人」「ハチ」「購入」で検索したところ・・・
            「週末養蜂」といったキーワードなど思っていた以上に関連情報がヒットしました。
            興味のある方は是非是非!
            (*趣味で養蜂を営んでいる方も、結構いらっしゃるようですよ!)
          
            そんなこんなで、榎本さんは市役所を退職後、新規就農登録し、お一人で
            「榎本はちみつベリーファーム」をスタートされたというワケです。
          
            記者:「養蜂が趣味から仕事になったわけですが、何か変わったことありますか?」
            榎本:「蜂の管理は、シビアになりました(笑)」
          
            きっと、蜂も当時、
            「最近、榎本ママ、変わったなぁ、何かあったのかな?」とブンブン噂していたのかも?
          
榎本:「また、市の農政課とか農協さんなどがいろいろサポート・アドバイスしてくれたり、ありがたい存在がいっぱいあるんだなぁと感じました。費用とかも、起業する前に知っていたら利用できる制度もいっぱいあったんだなぁと、今ふりかえると、あぁもったいないことをしたなぁと・・・(笑)」
こちらが現在の養蜂場
■就農3年 気になる年収は???
            就農して3年。
            気になる収入についても伺ってみることに・・・
          
記者:「3年経ってどうですか? 順調ですか?」
榎本:「ハチミツは移動養蜂ではないので増やすことはできませんが・・・地元の味にこだわりたいので、ベリー類は、美味しいベリーを作ろうと味にこだわってどんどん進めていて、畑もどんどん拡大してますよ。就農1年目からお付き合いのあるケーキ屋さんからは、『最近、美味しくなったねぇ』と言ってもらい、わかってもらえてるんだぁと・・・。水はけを良くしたり、水をあげる間隔を変えたり、少しずつ少しずつ改良を加えているので、ヤッターと思いました」
記者:「で、収入の方は・・・」(やっぱり、ココが一番気になる記者です)
榎本:「収穫時期など、ムラはありますが、年間通せば、まぁ普通に・・・。今、市役所に助成金をもらっていて…市に収支報告書を出しているんですが、市役所からは褒めてもらっているので、上手くいっているのかなと・・・。ただ、今、売上げは全て設備投資にまわしているので手元にお金があるという状況でないので、なかなか実感はありません。でも就農をはじめて、農機具もかなり増えて、ビニールハウスも建てましたし、畑も2倍3倍に増えているので順調なのかと・・・」
最後に、将来の目標について伺いました。
榎本:「夫が定年になったら、二人で好きなものが作れる農業がしたいですね。興味のある野菜や樹木を植えてみたりとか、お金のためじゃなくて、儲かるからコレをやるではなくて、自分の好きなものを好きな様に作って、それに賛同してくれる人がたくさんいるような農家になりたいと思っています」






 
            








