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育成塾講師・脇坂真吏/経営の責任を経営者が取らずして誰が取る!

2016.03.17

まずは正しい自己認識から! あとは自分との戦いです

株式会社Agri Innovation Design/代表/脇坂真吏さん

ヒルズマルシェのサポートに続き、「事業を数字で見る」ことや「事業を俯瞰する」ことの有益さを厳しく説き、1期・2期を通して愛のムチを振るい続けた脇坂先生。最後の授業を終え、塾生たちの成長を振り返っていただきました。



人との比較はNG! 正しく自己認識して、細かい戦略を役立てる

農女新聞
授業をされる中で、1期生と2期生の違いは感じられましたか?


脇坂
1期生と比べて2期生は、それぞれの置かれている状況が幅広いんです。年齢とか地域じゃなくて、1期生の方がそれぞれの課題が近い人が集まっていた。2期生は人数も多いせいか、すごく進んでいる人たちもいれば、そこから外れている人達もそこそこいて、段階で言うと5個ぐらいに分けられるんですよね


農女新聞
そんなに状況が幅広い塾生を、どのように指導されたのでしょう?


脇坂
講師陣で相談して5つのゼミにしました。そして、『相互利益追求』だとか『消費者探求』だとか『断捨離』だとか、それぞれがテーマとしてやらなきゃならないことを明確にするため、ゼミの名前に付けました。

その中で僕が担当したのは・・・まず自分は何をしたいのかと自己認識をして、自分と向き合うということ。事業論とか細かい戦略をやっても、まだそんな話じゃないよねという。


農女新聞
自分の立ち位置を知るということですか?


脇坂
そうそう、あと自分の能力とか状況も知ってもらわなきゃならないので。だから前回と前々回は事業モデル、今回は3カ年計画で、ゼミ内で共有発表をしてもらっています。


どこを目指したいかを話し合うことによって、自分と違う人がいることも理解してほしいし…それに他人目線だったら人のことを言えるわけですよ。ということは、自分にもその目線で置き換えることができるでしょって。


農女新聞
なるほど、人との話し合いの中で、自分を俯瞰できるようにするのですね。


脇坂
結局、戦略を知らないからじゃなく、自分を正しく認識してできてないから進まないんですよ。そういう人たちに限って、あれもやりたい、これもやりたいとイロイロ手を出して回らなくなっている…。はたから見ればやらなきゃいけないことはすごくシンプルなんだけど、本人たちが分かっていないので。

だから、2回目の家庭訪問は予定してなかったけど、必要な人にはもう一度行って状況整理してあげて、とフォローはしました。自分たちが何をしなきゃいけないかを分かってしまえば、一心不乱になれるじゃないですか。


農女新聞
いつもながら面倒見がいいですね! ところで、幅広い人が揃っているからこそ、周りとの比較で自分の状況に気づけたりすることもありませんか?


脇坂
うーん、個人差ですよね。自信がない人だと、凄い人が近くにいると「どうして私はこうなんだろう」ってなっちゃうんですよ。そういう意味では、他人を見て自分を振り返ることはいいけど、他人との比較はダメなんです。だって農業で20年のキャリアを持つ人と、2年のキャリアの人が同じ場所にいるんだから。「モデルケースとして把握する」という位置づけが大事かな。



全体授業で教えられない情報は「特別補講」でカバー!

農女新聞
そんな幅広い層の塾生に対して、どんな授業をされたのでしょう?


脇坂
育成塾の本質からすると、ひとりひとりの成長のためには塾生の層はもう少し狭めたいというのが正直なところですね。時間も講師も限られる中では、全体授業ではいちばん伝えたいことだけを伝えていくしかないので。だから今期は、特別補講として「朝補講」とか「夜補講」を作りました。そんなボランティア活動をひたすらしましたね(笑)


農女新聞
朝補講!? そこではどういうことを勉強できるんですか?


脇坂
全体授業にもゼミにも該当しない事項だけど、みんなが聞きたいことや教えてあげたらいいことを。前日の授業の中で細かいことを聞きたいなら来てという感じで、ホームページの作り方やエクセルの使い方、事業継承の話や業務改善の仕方などを、補講で組みました。ホームページやエクセルは7〜8人ずつ、業務改善などは大半が参加したんじゃないかな。

農女新聞
エクセルといえば、授業で「損益計算書」のエクセルを紹介した際は、塾生全員が食い入るように見ていましたね!


脇坂
そうですね。僕が実際に使っている簡単な仕組みを使って、具体的に実行するやり方を教えたりしました。すぐ導入した人も多いようですね。ただ、そこまでやってあげて自立できるのかという、その匙加減は去年も今年も難しいところですけど…。

結局、個別のコーチングとカウンセリングをしてるんですよ。家庭訪問もして状況も知っているし、問題をどうやってクリアしていくかを個別に相談に乗りながら、時には励ましもしつつ。そういうやり方だと全部ケース・バイ・ケースになっちゃうんで、そこまでやるべきかどうかという議論は常に出るんですよね(笑)。

3人の講師の中でもなんとなく役割分担があって、僕が細かいところまで面倒を見るような担当にはなっています。僕はそういうのも好きですし、どうしても手をかけちゃうんで。アメとムチで言えば、高橋先生がアメで僕がムチ(笑)。



「可視化」して、家族の中での自分の役割を明確にする

農女新聞
講義では「可視化」が大切だと何度も言われていました。
(⇒http://www.jma.or.jp/kagayaku-nj/news/report/article039.html


脇坂
そうそう、「可視化」することで旦那さんとか従業員とのコミュニケーションが一気に進んだという人が何人もいるんですよね。結局、目的や目標がずれているから話がかみ合わない。同じものをイメージできてないことが原因なんです。「あれの話だよ」という「あれ」がズレてたりとか(笑)。そこで「可視化」するとそれが見えるので、会話が共有化できるんですよ。


農女新聞
しっかりコミュニケーションをとることが大切だと授業でも言われていましたね!


脇坂
共通言語がないんだったら可視化して、会話をしようねっていうことです。僕は家庭訪問の際は、旦那さんも一緒にいてもらうんです。そこで旦那さんの言い分も聞きながら喋ると、人によっては「もう経営はお前に任せたい」というような旦那さんもいるわけです。経営というより、細かく言うと経理や数字のことだけど。

でもそれって、お互いにそういう話をちゃんとしたことがないということなんです。「お前、経理やっとけよ」とか「雑用はお前な」っていう感じで。そうじゃなくて、経営として役割分担の話をちゃんとしようよと。

まあ、嫁として入ってるから言いたいことも言えないのもあるだろうし、事業が大きければ変な期待もあるでしょうし、いろんな要因があるんでしょうけどね。


農女新聞
家族経営ならではの難しさもあるのでしょうか?


脇坂
それはありますよね。でも結局そこが大事なんです。というのは、役割さえ明確になれば、本人たちは東京に勉強しに来てるぐらいなのでやる気はあるわけですよ。そこを見つけて、掘り起こしてあげるのも、育成塾の成果なのかなと思います。

夫婦間のコミュニケーションが取れれば、大半のことって解決するんですよね。お互いの役割分担とか、やらなきゃならないことがリアルに見えてくるので。そうすると、僕らがやっているインプットの内容をストンと落とせるハズなんですよ。



「あなたの経営はあなたのもの」。自分で責任を取るマインドに

農女新聞
最後の講義が終わりましたが、振り返っていかがですか?


脇坂
昨年より塾生の幅が広いので一概には言えないけど、1回目の頃から比べれば、少しはビジネスマンになったかな。浮ついた部分はなくなりましたね。これからはもう自分との戦いですね。成果を出すのが育成塾じゃなくて、成果を出すための準備をするのが育成塾なので。


農女新聞
意識改革ということでしょうか?


脇坂
そうですね、意識改革とそれに伴う業務改善。成果が出るのはここから1年ないしは3年の話なので、その準備期として、マインドがそのように整えられればいいと思います。そういう意味ではだいぶいい感じにはなってるのかな。自分のことを理解し、自分の言葉で自分の課題を喋れるし、人の話をちゃんと聞けるようになったというか(笑)。

とはいえ、1年かけてそれなんです。去年もそうでしたが、後半に入る頃にようやくみんなの意識が変わり始める。かといって工数を飛ばせばすぐ変わるかというと、そうでもないんです。一個人として自立して、法人や家族の中で自分がどう成長するか、そして経営をどう成長させるか。そんな意識に、ようやく1年かけて持っていける感じだよね。

そして塾が終わればもう誰も宿題を与えてくれないしチェックもしてくれないから、今後はそれを自分で頑張らないと意味ないよね。


農女新聞
それも授業で毎回おっしゃっていますね!


脇坂
毎回言うのは、みんなが「私にできるかな…」と不安がっているからです! 確かに難しいんですよ。今から事業を始めるならまだしも、5年、10年と事業をやってきてできていないことですから。それも、授業を聞いているのは自分だけという状況で、今度は旦那さんや親や従業員に対して自分が講師になるわけですから。けっこう強い意志がないと!(笑)


農女新聞
そんな茨の道を歩む塾生にメッセージをお願いします!


脇坂
いつも言っていますが、「あなたの経営の責任は誰も取らないよ」と、そういうことだけなんです。たとえば赤字の経営で「でもこの年は台風が…」と言い訳したところで、困るのは自分ですよね。言い訳するのはいいけど、あなたの経営はあなたのものであって、誰も助けてくれないよっていう。

嫌だったら事業そのものをやめればという話です。経営者は自分でやめることもできるわけだから。誰からも強要されてないものに対して言い訳するのはおかしいってことです。「経営の責任を経営者が取らずして誰が取るんだ」っていうことをアタマの中に入れとけよってことですかね。

と、我ながら去年以上に僕は厳しくなったなと思いますけど(笑)。


農女新聞
最後までスパルタなコメントありがとうございます!(笑)