学生時代に抱いた「支援する」という
思いで社会に貢献

経営・人材革新センター シニアエキスパート
牧野 光昭(Mitsuaki Makino)

牧野光昭は、社会人としてJMAに入職以来28年間、一貫して人材育成・教育に携わってきた。
三十代半ばから現在まで、研修講師・経営革新支援活動等で全国の企業・公共団体の組織改善・ヒトづくりに飛び回っている。
しかし、多忙であるが仕事への使命感や達成感からなのか、楽しんでいるようにも映る。

ヒトの成長に関わる仕事への動機が起点

JMAへの入職動機は、単純にして想いを通したものだった。

学生時代に塾の講師や家庭教師をやっているなかで、難しい問題が解けたときの生徒の目の輝きや志望校に合格して喜ぶ姿を見て、“ひとが成長する”ことにやりがいや充足感を感じていました。市販の問題集だけでなく、生徒の個性やレベルにあわせたオリジナルのテキストも作成しました。思えば、現在やっている研修講師のテキストづくりの始まりだったかもしれません。そのような体験から就職先に「教育」という分野を考えるようになりました。しかし、大学で教職課程を履修していなかったため、社会人教育という分野を考えるようになり、日本能率協会に入職しました。

対象が子どもから社会人に変わり、仕事の幅も「ヒトの成長」だけでなく「組織の成長」も加わりました。

JMAへの入職動機は、単純にして想いを通したものだった。

お客様の経営課題はさまざまであり、短期的な教育研修における講師業務だけでは応えられない事もあるらしい。
そのため多岐にわたる支援が求められる。その活動はいったいどのようなものなのだろうか。

ざっくり言うと、1人4役と言うか、4つの役割を組み合わせた仕事をしています。1つめは、教育・研修の講師。2つめは、調査・診断の研究員。3つめは、仕組み・ツールの作成と提供、そして4つめが、公共団体の外部委員です。

私たちの仕事の目的は、お客様の経営価値向上であり、その手段として様々なカタチでの支援が求められるためです。理想像は「経営革新支援の多能工や総合医(※1)」でしょうか。

「教育・研修の講師」活動には、公開セミナーとカスタマイズ研修があります。公開セミナーは、JMAで作成したプログラムを複数企業や団体の方が受講し、相互研鑽します。一方、カスタマイズ研修は、1団体の経営課題や状況に基づき、効果的なプログラムを提供するものです。

「調査・診断の研究員」活動は、先ほどのカスタマイズ研修の延長にあり、組織や業務の実態調査に基づいた経営計画、マネジメントシステムの構築、業務改善計画策定等の支援を1~3年をかけて行うものです。

「仕組み・ツールの作成と提供」は、マネジメントシステムを継続的に運用していくための仕組みを提供します。具体的には、クラウド型の業績管理システムやWeb型での多面診断などになります。

「公共団体の外部委員」は、都道府県や市町村等からの委嘱により、各種事業の廃止や見直しの提言をします。廃止による市民への影響等を考えると意思決定の責任の重大さを感じます。

(※1)
多能工・・複数のスキルを活用して、仕事にあたること
総合医・・総合的に診るための“技術と知識”を持った診療医

「ヒトと組織の成長を支援する」講師として担うための道程・軌跡

現在の講師活動の基礎となるスキルは、講師として活躍する以前の仕事での
講師やコンサルタントとの交流や研鑽を通して培ったようである。これまでの仕事の軌跡を振り返ってもらった。

入職して、最初は顧客管理センターに配属されました。顧客データ変更・管理が主な業務です。教育や展示会等の普及活動(参加促進)を支援する部署です。最初に会社全体の業務を横串的に支援する業務に携わったことで、部署間の連携の重要性を学ぶことができました。

人事異動で生産関係の公開セミナーや業務改善発表大会の企画運営業務を行った後、社内教育の企画営業を担当し、お客様のニーズに基づいた研修プログラムづくりを経験しました。

社内教育の企画営業時代には、お客様の現場(工場、営業所等)を訪問し、現場の現状把握の補助業務を講師より機会をいただき実践しました。このときに「現場を知ることの重要性」「経営革新支援を行うための手順やポイント」を学んだことが、現在の講師活動をするうえで非常に有意義な経験となっています。

その後、公共的組織(地方自治体、大学)への支援担当を任されました。地方自治体への支援は、JMAグループ共同事業として推進され、グループのコンサルタントや研究員との技術会議を重ねる中で「さまざまな改革・改善手法」「組織的な改善改革への調整力」の研鑽を積むことができました。その際にJMAグループとして普及啓発をおこなった「行政評価」という仕組みは、全国の市の8割以上が導入し、国の機関に適用される「政策評価法」の基礎ともなりました。

人事・教育分野での講師活動以外の各業務での経験が講師活動の礎となり、15年ほど前から自らが講師としても活動することになりました。

「現場を知ることの重要性」「経営革新支援を行うための手順やポイント」を学んだことが、現在の講師活動をするうえで非常に有意義な経験となっています。

お客様の”本当の課題”は何かを探求する

「ヒトや組織の成長を支援する」という業務を続けていくには、
そこにプリンシプル(原則・信条)のようなものがなければならないだろう。
仕事をする上で大切にしているものを聞いた。

依頼事項に対応するのではなく、課題の理解・抽出を行い、その解決策を示していく」ことが重要だと感じています。

お客様のご要望は、ややもすると表層的な目に見えることを問題視するとも少なくありません。それは、さまざまな制約条件があるからです。そのため、『なぜ、その研修を行うのですか?』と訊くと、本来の課題が顔を覗かせます。そこをクローズアップさせ、本来の課題を解決するための提案をおこない採用いただくための努力を欠かしてはいけないと思っています。

実際にある製造業において、1日研修のご依頼が、2工場の生産性向上プロジェクトへと展開し、2年間の活動を通して生産性を30%超向上することにつながったこともありました。

依頼事項に対応するのではなく、課題の理解・抽出を行い、その解決策を示していく

仕事のやりがい、その充実感が広がる瞬間とは何か?

研修では、お客様の反応でしょうか。『こういうことを教えてもらって、目から鱗が落ちた』『自分が苦手な点や対応策がわかりました』と研修後に話しかけていただけると充実感を感じます。また、受講生の目を見て、この部分に興味を持っていただいたと明確にわかるときもやりがいを感じます。

調査研究や個別の経営革新支援では、実際に提案した解決策が実行され、ヒトや組織の変化を目の当たりにすると充実感につながります。

これはJMA職員に全般的に言えると思いますが、『お客様が喜んでくれた/貢献できた』ということに価値を感じる心をもっている組織だと思います。そのためにも、お客様(研修担当や業務改善の事務局)との信頼関係を構築してパートナーとして互いに目的達成をめざしていける存在になることが重要だと思います。

牧野さん

メッセージ
JMAは、企業の商品開発、生産、人材育成の各分野の第一線で活躍されている方や講師から、最新の経営課題や取り組みをインプットできる職場です。私の場合、それを講師活動というアウトプットにも展開することができました。
人材育成や経営支援という事業領域に興味がある方には、チャレンジできる職場だと思います。また、JMAは上司・同僚・部下のあいだで「〇〇さん」と呼び合う『さん付け活動』を長年実施している親しみやすい職場でもあります。

同僚からのメッセージ
ものすごく面倒見がよい人ですね(笑)
基本的に1年の半分近く出張で、北海道から九州まで飛び回っていて、社内にはほとんどおりません。仕事の指示もメールと電話であります。
何か問題があれば相談にのってくれますし、色々なアドバイスを電話やメールで必ず貰えます。お客様に対しても、相談事があれば、同様に事例を交えながら相手が理解するまで丁寧に説明しています。たまに、1時間以上電話で説明しているのを見かけますが……。

同僚の声

PROFILE

1990年入職後、民間企業における品質改善、生産管理、小集団活動、リエンジニアリング等の教育研修プログラム開発を経て、1995年以降、民間及び公共的機関の経営革新支援事業にも従事。現在、研修講師、講演、対面指導、調査研究活動を行っている。

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