前回に続いて、2018年8月にシンガポールで開催された『FCGF® and SRBF®』の内容をレポートする。
先のレポートでは一帯一路について取り上げたが、このカンファレンスのもう1つの目玉がイノベーションであった。このイノベ―ションも一帯一路に深く関係している。
一帯一路というと兎角、インフラ事業者が関わり、恩恵を受けるものだと理解されがちであるが、一帯一路の本当の意味合いは、インフラ整備によって、都市と都市が繋がり、都市間をこれまで以上に人材・技術・情報が流通にすることによって、国や地域を越えたイノベーションが起こり得るということである。
そこで、本フォーラムで扱われた2つのイノベーションテーマについてご紹介したい。
1つがデジタルヘルスケアである。中国でも独居老人の数が急増しており、高齢者見守りサービスアプリケーションおよびサービスコンパニオンとなるロボット開発が進められている。
また、新しい診療スタイルも注目されており、VRやクラウドを応用して患者の状況を診るサービスは勿論のこと、AI技術によって様々な症状から考えうる疾病を導き出す仕組みも開発されている。ユニークな点として、この新技術でも、画面には看護師のアバターが登場し、医療サービスにおける1つの重要ファクターであるヒューマンタッチなところも残している。
いずれの場合も、資金を含むリソースを持った大手医療機器メーカーと、ソフトウェア分野で優れた技術を持つスタートアップ企業が、国や地域を超えて結びつくことによって、ヘルスケア分野に新しいサービスをもたらしている。