仏教と実業 (第26回一隅会より)

協和醗酵株式会社 会長
社団法人在家仏教協会 会長
加藤弁三郎氏 (当時の役職)

1972年8月19日、第26回一隅会においてご講演いただきました一隅会速記録をもとに、一部編集をしてお伝えいたします。
本講演内容は、ご自身の仏教とのかかわりをはじめ、仏念や在家仏教協会に関わる内容まで、実業と仏教のかかわりについて深い示唆を与えていただく講演内容です。

【第44回】10.在家仏教協会について - (9)

 そこで会長をだれにたのむかということになってきた。最初は、宮殿下から大将閣下からいろんな名が出ましたが、どうも私は、それは偉い方もけっこうだけれども、そうでなしに、ほんとうに仏教を聞こうというので、在家仏教だから、ほんとに職業を持っている人、そういう人を、だれでもいいじゃないですかと言ったら、それはいい人がいるかなというので、理研に辻二郎さんという工学博士の方がおられる。仏教に深いし、熱心だし、いまちょうど国家公安委員長だし、ちょうどいいじゃないかという話で、それはけっこうですな。辻さんにぜひお願いしましょうということで、じゃあだれが頼みに行くかというわけで、私と山本洋一氏と、この人も工学博士ですが、三人とも工学博士だものですから、工学仲間でいいじゃないかということで、それで私と山本先生と二人が辻さんのところへくどきに行ったんですよ、ところが私、ちょっとなにかの都合で、ほんの二、三分か五分くらいおくれて行ったんですよ。そうしてドアをあけたら、二人こっちを向いて「ああ会長がきまった、君じゃ」こう言われてしまって「それはとんでもない話だ。あんたに頼みに来たところだ」「それはわかっているんだ。ところがいま二人とも相談して、急遽、君ということになったんだから、これはもう君がやらなくちゃいかん」、こういうようなことですったもんだやりましたが、とうとう責任上、引き受けなければならんということになって、実はこれも困ったことになったと思いますけれども、いまさらどうも、せっかくそこまできたものを、私がなにすると根本から瓦解になりますおそれがありますものですから、じゃあまあ聞く会のことから、私は世話をするだけだから、そうしましょうというので、会長に実は就任したような次第であります。これがちょうど二十年前、昭和二十七年の七月でございます。