仏教と実業 (第26回一隅会より)

協和醗酵株式会社 会長
社団法人在家仏教協会 会長
加藤弁三郎氏 (当時の役職)

1972年8月19日、第26回一隅会においてご講演いただきました一隅会速記録をもとに、一部編集をしてお伝えいたします。
本講演内容は、ご自身の仏教とのかかわりをはじめ、仏念や在家仏教協会に関わる内容まで、実業と仏教のかかわりについて深い示唆を与えていただく講演内容です。

【第33回】9.毎日々々が楽しい - (2)

 たとえば化学の研究をやりましても、正直申しあげまして、仏教を知らんころは、早く学位とりたい、早く学位論文つくりたいとか、あるいは特許のいいやつとって、ひとつひと当て当ててやれというようなことにうき身をやつしておったのであります。しかし宗教に帰依しますと、やはり研究はするんですけれども、こんどはいっそう楽しくなるわけで、べつに学位論文が欲しいわけでもなければ、特許をとってぼろもうけするという野心もございませんから、欲もない、楽しさだけで、試験管をふっておっても実に楽しい。赤い色が出たら赤い色で楽しい、紫の色が出たら紫の色で楽しいと、ほんとにそうなんですよ。これはうそじゃございません。そのくらいに、なすことすることみな楽しい。それならなにも言うことない。ほんとうに言うことないのでございます。なにも言うことないような境地でいっさいのことをやらしていただく。いつでも同じような高さ、同じような重要さで与えられておるのでございますから、やはりありがたくそれは受けて楽しくやらせていただきたいと、こう思うのであります。