仏教と実業 (第26回一隅会より)

協和醗酵株式会社 会長
社団法人在家仏教協会 会長
加藤弁三郎氏 (当時の役職)

1972年8月19日、第26回一隅会においてご講演いただきました一隅会速記録をもとに、一部編集をしてお伝えいたします。
本講演内容は、ご自身の仏教とのかかわりをはじめ、仏念や在家仏教協会に関わる内容まで、実業と仏教のかかわりについて深い示唆を与えていただく講演内容です。

【第31回】8."生かされておる"のに"生き甲斐云々"とは何事か - (3)

 このごろ生き甲斐というような言葉がはやりますけれども、いろんな雑誌から本から、生き甲斐を論じ、ついきのうもアンケートを求めるはがきが来ておりましたが、あなたの生き甲斐はなんですかといわれる。実際返事するのもちょっとやっかいなぐらいに私思うんですがね。というのは、そもそも生き甲斐というようなことを言っておるのがもう人ごとなんでありましてね、私どもが生きるといいますけれども、自分の力で生きることなんかできません。絶対にできやしません。生かされておるんです。なにからなにまで。これはもう、こんな明かなことはないんでありまして、生まれるときから生きることからみんな与えられておるのでありまして、生かされておるんです。生かされておるのに、なおそのうえに生きがいとはなんだ、もうまったくそこらに私は、肌離れのようなものを感じるのでございます。しかしそうばかり言っておってもいけませんから、それはそれでいろんなこともせんならんと思いますけれども、ほんとうに信心の世界におる人たちは、生かされておる喜びを満喫しておるわけでございます。したがいまして、いまさらべつになんかほかに生きがいはこれだというようなもの、そういうものは求めよう心もない。全部がありがたく、うれしく楽しいんでありますから、毎日の生活が、与えられるままにうれしくあり、楽しくあり、ありがたくあるんですから、もう言うことはないわけなんですね。