仏教と実業 (第26回一隅会より)

協和醗酵株式会社 会長
社団法人在家仏教協会 会長
加藤弁三郎氏 (当時の役職)

1972年8月19日、第26回一隅会においてご講演いただきました一隅会速記録をもとに、一部編集をしてお伝えいたします。
本講演内容は、ご自身の仏教とのかかわりをはじめ、仏念や在家仏教協会に関わる内容まで、実業と仏教のかかわりについて深い示唆を与えていただく講演内容です。

【第19回】4.縁が熟する - (1)

 ほんとに感銘をした。しかし先生のお話は、なにも非常に突如、珍しいお話が出たわけではないんです。無我のお話ですから。仏教ならば無我を説かない宗派はございません。その日突如、無我とおっしゃったわけではないんでありますけれども、そこがそれ、縁が熟するというものであろうと思うのでありますが、その日、どえらい感服をしてしまいまして、ほんとに足もとがグラグラッと崩れ去った思いでありました。自分自身の行方がわからなくなったと申しあげて過言ではございません。そういうことになったんであります。
 そうして考えてみますと、無我というような言葉は、もう学生時代から知っておったんです。というのは、金子大栄先生の『仏教概論』に、まっさきにこの無我が特筆大書してあるわけなのです。