仏教と実業 (第26回一隅会より)

協和醗酵株式会社 会長
社団法人在家仏教協会 会長
加藤弁三郎氏 (当時の役職)

1972年8月19日、第26回一隅会においてご講演いただきました一隅会速記録をもとに、一部編集をしてお伝えいたします。
本講演内容は、ご自身の仏教とのかかわりをはじめ、仏念や在家仏教協会に関わる内容まで、実業と仏教のかかわりについて深い示唆を与えていただく講演内容です。

【第2回】1.伝教大師と山家学生式 - (2)

 伝教大師は、ご承知のとおり、日本の天台宗のもちろん草分けでございますが、天台宗の草分けというよりも、大乗仏教を日本に導入なさった方でありまして、大乗仏教の草分けと申しあげても、すこしもさしつかえないと思うのであります。それまでの仏教は、いうまでもございませんが、奈良が中心でございまして、学問仏教と言っていいかと思うのでございます。たくさん学者が出ていらっしゃいますし、高僧、名僧も出ていらっしゃいますけれども、どちらかといえば学者肌の方が多い。ですから、そういう点で仏教大師は、それもいいけれども、いつまでもそればかりではいかぬ。やはりこれは伝教を大衆のものとして、大衆とともに生き、大衆とともに救われなければならない。こういうお考えで、あえて奈良に背かれたわけじゃございませんけれども、奈良という仏教の都があるにかかわらず、たまたま桓武天皇が京都に都をお遷しになりました機会に、ここぞとばかり比叡山にのぼられまして新しい道を開かれたわけでございます。