入社2年目、邦雄と学ぶ「会社の数字、基礎の基礎」

 “現場”“現物”“現実”の3つの“現”を重視する三現主義の考え方は、机上の空論ではない現実に即した問題解決を図るための戒めとして、JMAが長年にわたって重視してきた考え方です。
 ますます企業経営が複雑化・高度化する中、現実を捉えた問題解決を図るには「会社の数字」に関する知識が必要不可欠な武器となります。
 そこでこのシリーズでは「会社の数字」を利用するに当たり、必要となる知識を分かりやすく解説して参ります。

リースとレンタル(1)

「そうそう、この前お客さんのところを訪問したら、商品を購入するよりもリースにしたらどうだろうと相談されたんだ。先輩に教えてもらいながら何とか対応はしたんだけれど、リースとレンタルとの違いとか、本当のこというとよく分からないんだ。良い機会だから、教えてもらえるとありがたいんだけど。」
「そうか。じゃあ、まずは質問だけど、なぜ顧客はリースやレンタルを選ぶんだと思う?」
「そう、そこなんだよ。僕も最初に疑問に思ったことは、確かにレンタルなら自分でも使うことがあるから分かるんだけど、会社でも使う機械や設備をレンタルで済ますことが出来れば、忙しいときだけ使って、いつも使わない設備とかを自前で維持するより購入費も倉庫代なんかの維持費も削減できるし、便利だろうなあと思うんだ。でもリースの場合、トータルで支払う金額を考えたら、かえって増えるんじゃない。だからリースって、どうして利用されるのか、どんなメリットがあるんだろうかって・・・」
「なるほど。レンタルのメリットについては概ね理解出来ているようだし、リースについても利用期間のトータルで、支払額を見て高いか安いかを考えているという点では、良いところを突いていると思うよ。でも誤解している点もあるようだから、この際リースとレンタルのメリット、デメリットを、おさらいをしてみるか。」
「そうしてもらえると、うれしいなあ。」
「お前も聞いたことはある言葉だと思うが、機械や設備の代金など購入のための費用をイニシャルコスト、購入後の利用にかかる費用のことをランニングコストって言うんだ。ある機械や設備について、それが本当に高いか安いかはこのイニシャルコストとランニングコストの両方を考えなければ一概には言えないんだ。」
「携帯電話とかで、どのプランが本当に高いか安いかを考えるのと一緒だね。」
「うん、まあそういう事だ。たとえば工場の全部の機械や設備を自由にレンタルする事が出来れば、必要なときだけ費用が発生することになるから確かにかなりコストが削減できる。でもそう簡単なことではないよ。レンタルならではの限界があるんだ。例えば、レンタルは提供する側からみると、どうしても稼働率が低くなりがちだ。だからそれを補うためにレンタル料は高く設定されがちだということだ。それとは裏表の関係になるけれども、稼働率を上げるために、最初からある程度以上の稼働率が見込める定番のもの以外は用意されていないとうことだ。だからユーザのニーズに合ったものが手に入るとはかぎらないってことだ。」
「なるほど。確かに言われてみれば。トラックとか建設用の重機のように用途がある程度類型化できて、しかも短期的に使われるようなものはレンタルがあるけれど、工場の機械設備のように長期にわたって使い、工場ごとに仕様が違う機械設備のレンタルって、確かに聞かないもんねえ。」
「そういうことだ。だからその短所を補完するためにリースというのがあるわけだ。」
(続く)

<豆知識>

経営分析と財務分析

<経営分析とは> 経営分析とは、企業の財務情報など様々な企業活動に関する数字を、一定の観点から比率化するなどして算出された指標などを活用し、分析対象となる企業の経営状況などを時系列の傾向や競合他社との比較を通じて分析することを指します。
※多くの場合、財務分析を中心に行われます。

<財務分析の概要> 財務分析とは、主に公表財務諸表などの客観的で信頼性の高いデータを基にして、企業の経営状況を分析する方法を指します。
※財務分析は分析対象企業、分析手法、分析の主眼等により、以下の様に分類されます。

1,分析の対象企業  財務分析は分析対象企業が他社か自社かにより、大きく以下の3つに区分されます。
・外部分析:  主に、売掛金の与信管理を行う取引先や企業へ資金を融資する金融機関、社債を購入する投資家などが、対象となる他社の信用分析(債務の支払い能力などを調べるための分析)を目的に行うもの。
・投資分析:  主に企業の株式を購入する投資家などが、対象となる企業の成長性、収益性などの投資価値を分析するために行うもの。
・内部分析:  自社の経営者などが経営管理の目的で行うもの。そのため、管理会計のデータなど、公表財務諸表以外のデータなども活用される所に特徴がある。

2,分析の手法  財務分析は分析対象となる数値によって、以下の2つに大きく分類されます。
・実数分析:  前年数値または他社の数値等、実数を指標として分析する手法
・比率分析:  各種数値の構成比率や相互比率等を指標として分析する手法

3,分析の主眼  財務分析は分析の主眼によって、以下の4つに大きく分類されます。
・収益性分析:  主に損益計算書のデータを用い、企業の収益性を分析するもの
・安全性分析:  主に貸借対照表のデータを用い、企業の経営の安定性を分析するもの
・効率性分析:  損益計算書と貸借対照表データの双方を用い、売上高や利益など企業活動のアウトプットを産出するために、資本(資産)をどれだけ効率的に活用しているかを分析するもの
・成長性分析:  主に複数年度の損益計算書データの比較を通じ、企業の成長性を分析するもの