入社2年目、邦雄と学ぶ「会社の数字、基礎の基礎」

 “現場”“現物”“現実”の3つの“現”を重視する三現主義の考え方は、机上の空論ではない現実に即した問題解決を図るための戒めとして、JMAが長年にわたって重視してきた考え方です。
 ますます企業経営が複雑化・高度化する中、現実を捉えた問題解決を図るには「会社の数字」に関する知識が必要不可欠な武器となります。
 そこでこのシリーズでは「会社の数字」を利用するに当たり、必要となる知識を分かりやすく解説して参ります。

利益はどこからやってくる?(経常利益)

「伯父さん、営業利益から『営業外収益』と『営業外費用』を足し引きしたあとの利益、これ『けいじょうりえき』って読むのかな?」
「ああそうだ。『けいつね』って言葉、聞いたことがあるだろ?」
「うん。言葉としては聞いたことはあるけど・・・。」
「そうか。さっき、営業利益はその期間に企業の主な事業活動から得られた利益を意味していると言っただろ。営業外収益と営業外費用も、企業の主な事業活動以外から生じた収益や費用ではあるけれど、その期間の事業活動から生じたものであるという点では変わりが無い。だから、両方を合算して表示する経常利益は、その期間の事業活動の成果を示す指標として重視されることになるんだ。」
「そうか、だからニュースに良く出てくるんだね。ところで営業外収益と営業外費用には、どんなものが含まれるの?」
「うん。配当や利息それに手数料、そして事業で利用していない遊休地や投資用不動産などからの賃貸料などが主なものになる。さて、ここで質問。お前の会社のオフィスが仮に賃貸だったとして、そのビルのオーナーが貸しビル業を主な事業として行っている会社だったら、その会社はビルの賃貸収入を損益計算書のどこに載せることになるだろうか?」
「不動産の賃貸収入は営業外収益って言ったよねえ。だったら・・・あれ待てよ、貸しビル業はビルのオーナー会社の主な事業なんだよね。そうすると・・・やっぱり売上になるのかなあ?ウーン、あれどっちだろう?迷っちゃうなあ。」
「あっははは。ちょっと意地悪な質問だったな。もちろん正解は売り上げだ。でもまあ、迷ったということは、それだけ邦雄が伯父さんの話をよく聞いていたって証拠かな。ちなみに銀行が企業や個人に貸し出した資金に対する金利収入も、同じ理由で売上になる。銀行の損益計算書は特別な体裁だから少し分かりにくいかもしれないが、上場している不動産会社ならネットで簡単に閲覧することが出来るから、関心があるならホームページなどで確認してごらん。」
(続く)

<豆知識>

財務会計、管理会計、税務会計
 企業活動に関する会計(企業会計)の中心的な分野としては、財務会計、管理会計そして税務会計の三つが挙げられます。

<財務会計:financial accounting>  財務諸表によって企業の経営成績や財政状態を示すことを通じ、株主、銀行や取引先などの債権者、政府、従業員、さらに投資家や消費者など企業外部の利害関係者(stake holder)に対して報告することを目的とした会計です。そのため『外部報告会計:accounting for external reporting』とも呼ばれます。
 外部の利害関係者の利害は相対立する場合が多く、それらの利害調整を行うため財務会計は会社法や商法、金融商品取引法など法律の規制に則って実施される事が求められる場合が多くなります。そのためこれらの制度に基づいて行われる財務会計のことを特に『制度会計』と呼びます。したがって厳密に言えば財務会計と制度会計とは必ずしも一致するものではありせんが、我々が実際に財務会計という場合の多くは、制度会計を指しています。

<管理会計:management accounting>  経営者や事業責任者あるいは工場長などに向けて、その意思決定や組織内部の業績測定・業績評価など、企業内部のマネジメント活動のための情報を提供することを目的とした会計です。そのため外部報告会計との対比で『内部報告会計:accounting for internal reporting』とも呼ばれます。
 主なテーマとしては、会計システムのデザイン、原価計算、予算、業績評価、内部統制などが挙げられます。
 さらに最近では、組織内部の様々な活動や組織の戦略と関連付けて考えられることが多くなり、そのための方法論として、『バランスト・スコアカード:Balanced Scorecard』、『活動基準原価計算:Activity Based Costing』など新たな手法が開発されています。

<税務会計:tax accounting>  企業の課税所得を計算するための会計です。財務会計との統合が進んでいるので、今やその一部とも考えられますが、元来の目的の違い、誤った処理が発覚すれば多額の追徴が行われたり企業の信頼が損なわれるといった企業(会計)に対する影響の大きさから、独立した分野と認識される場合が多いといえます。
 また企業のグローバル化の進展に伴い、事業の立地や形態等によって課税所得が大きく異なってくる場合があることへの理解が進み、『税務計画:tax planning』の側面からもこれまで以上に関心が高まっています。