入社2年目、邦雄と学ぶ「会社の数字、基礎の基礎」

 “現場”“現物”“現実”の3つの“現”を重視する三現主義の考え方は、机上の空論ではない現実に即した問題解決を図るための戒めとして、JMAが長年にわたって重視してきた考え方です。
 ますます企業経営が複雑化・高度化する中、現実を捉えた問題解決を図るには「会社の数字」に関する知識が必要不可欠な武器となります。
 そこでこのシリーズでは「会社の数字」を利用するに当たり、必要となる知識を分かりやすく解説して参ります。

利益はどこからやってくる?(営業利益)

「伯父さん、この『営業利益』の計算のところで、売上総利益から差し引かれている項目、『販売費および一般管理費』って随分長い名前だね。
「ああ、文字通り大きく二つの費用が含まれていて、それを並列に繋いだ名前だからな。」
「なるほど。販売費および一般管理費というと僕の給料なんかは、ここに入ってくるわけだね。」
「そういうことだ。でもお前が工場で製造に携わっている場合は事情は少し違ってくる。」
「え、どういうこと?」
「売上総利益を計算するとき、売上から仕入や製造原価を差し引くと言っただろ。その製造原価は大きく、『材料費、労務費、経費』の三つに分かれるんだが、その中の労務費として計上されることになるんだ。だから工場を稼働させるための経費などと同じく、製造原価には含まれるが、販売費および一般管理費には含まれないことになるんだ。」
「なるほど、そういうことか。売上総利益から販売費および一般管理費を引いて計算されるということは分ったんだけど、営業利益って要するにどういう利益だと考えれば良いの?」
「うん、そうだな。『企業本来の事業活動から得られた利益』というのがその答になるかな。」
「企業本来の事業活動?」
「ああ、たとえばお前の勤め先のように、ある製品の製造販売をしている会社のような場合は、その製造販売の事業が本来に事業ということになるだろ。その事業活動から生み出された利益ということだ。」
「そういうことか。伯父さんの説明で営業利益がなんなのかは、何となく分かった様な気がするんだけど、なぜそれを他と区分して表示しなければならないのかは、正直まだよく分からないな。」
「それは、損益計算書によって利用者が何を知りたいのかということと関係してくるんだ。もし営業利益が表示されていなければ、結果として決算が黒字になったとしても、その原因が本業で儲かったからなのか、それ以外のたとえば財テク等の結果なのかは分からないだろ。その結果、たとえば最終的に儲かっているからといって本業の競争力が落ちていることが見過ごされるようなことになれば、その回復のための方策が後手に回ってしまい最終的には企業が破綻してしまうといった危険性だって出てくる。例えば邦雄が銀行の行員だったらどうだ?そんな会社に融資なんかできないだろ。それだけ営業利益率というのは、本業でどれだけ儲かっているのか、あるいは儲かっていなければその原因は何なのかといった事を考える上で大事な指標ということになるんだよ。」
(続く)

<豆知識>

損益分岐点
 経営計画を立てる上で、予めどれだけの売上があれば利益が発生するのかを見極めておくことは大変重要です。そのため利益と損失が均衡する売上高を示す『損益分岐点』は経営上、重要な指標のひとつとなります。
 損益分岐点が存在するのは、費用の中に売上高の増減に比例して発生する費用である変動費と、売上高の増減には関係なく固定的に発生する費用である固定費があるためです。
 ちなみに売上高から変動費を差引いた利益を『限界利益』といいますので、損益分岐点とは限界利益がゼロになる売上高と言い換えることも出来ます。

 実務で損益分岐点を使う場合、問題となるのが固定費と変動費の区分です。厳密に行おうとすれば、日常的に固定費と変動費に区別して費用を計算することが必要となりますが、簡便法として売上原価のみを変動費とする方法も取られます。

損益分岐点、および損益分岐点を応用して目標利益を達成するために必要な売上高を計算するための計算式は以下のとおりです。
・損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費率)
 計算例)固定費500、変動比率40%である会社の損益分岐点売上高
 500÷(1-0.4)=500÷0.6≒833

・目標利益達成売上高=(固定費+目標利益)÷(1−変動費率)
 計算例)固定費500、変動比率40%の会社が目標利益500を稼ぐために必要な売上高
 (500+500)÷(1-0.4)=1,000÷0.6≒1667