ISOマネジメントシステム認証取得・運用事例

ステークホルダーと良い関係を永続的にすることは
企業使命であり、ISOはそのための有効なツール。

石井食品株式会社

ミートボールやハンバーグで知られる石井食品株式会社では、2001年のISO9001認証取得を皮切りに、現在はISO9001、ISO14001、FSSC22000に基づく3つのマネジメントシステムによって全社のPDCAサイクルを回している。
複数のマネジメントシステムを導入するメリットや、形骸化させないための効果的な運用法について、代表取締役社長の長島雅氏と事務局の蒲地敦子氏にうかがった。

  • 代表取締役社長 執行役員 長島 雅氏
  • 事務局 蒲地敦子氏
代表取締役社長 執行役員 長島 雅氏
石井食品株式会社の概要
本社所在地 千葉県船橋市本町2-7-17
設立 1945年
従業員数 319名(臨時、パートを除く)
事業内容 ミートボール、チキンハンバーグなどの食品開発・製造・販売
登録情報
ISO9001      2001年10月19日登録 ISO14001    2004年1月22日登録 ISO22000    2008年5月9日登録 FSSC22000  2013年10月17日登録
ISO認証取得の背景 企業理念を実現するためのツールとしてISOを活用
おべんとうミートボール

おべんとうミートボール

 石井食品では、1997年に「おいしさ」「安全」「ヘルシー」な食の提供を目指して、無添加調理の取り組みを開始した。2000年には、企業理念を、「地球にやさしく、おいしさと安全の一体化を図り、お客様満足に全力を傾ける。」と改定し、翌年の2001年にはISO9001の認証を取得している。当時の認証取得の経緯についてうかがった。

 「企業の使命は、企業理念を実現することです。また、お客様や社会の意識に合わせて、会社が変化していくことも重要です。そこで、ISOという外部の仕組みを活用して、企業理念の実現を図ろうと考えました。当社の企業理念の『地球にやさしく』はISO14001、『おいしさと安全の一体化』はISO22000、『お客様満足に全力を傾ける』はISO9001とつながっています」(長島雅社長)。

 同社では、コンサルタントに依頼することなく、全員参加のもとで現場が使いやすいようにマニュアルを作り上げていった。
「規格の要求事項を読み解き、現場で行っている取り組みと紐付けながら、マニュアルを作り上げていきました。また、基本ルールや手順などを具体的に記述した規定書も作成し、その通りに業務を行うことでマネジメントシステムが機能するような工夫もしました。規定書には、『営業がデモンストレーションを行うときには事前にアレルギーの方の有無について確認すること』といったルールが記載されています」(蒲地敦子氏)。

 同社では、2001年にISO9001、2004年にISO14001、2008年にISO22000の登録審査を受審するとともに、登録範囲も全社へと拡大していった。審査機関に日本能率協会を選定した理由や、審査の効用についてうかがった。
「日本能率協会を審査機関に選んだのは、食品業界に精通していると聞いたためです。当社の業務を理解したうえで、本来の目的である企業理念の実現につながる審査を行ってもらえると判断しました。定期審査を受けるたびに、当社のマネジメントシステムもレベルアップしていきました」(長島雅社長)。
「審査には厳格さも必要だと考えました。日本能率協会の審査は厳格だと聞いたことも選定理由の一つです。一方で、指摘事項に不明点があった場合はわかりやすい説明をいただけたので、適切な改善を行うことができました」(蒲地敦子氏)。

効果的な運用に向けて マネジメントレビューと内部監査によって
全社への浸透を促進

 石井食品では、会長、社長、4工場の工場長、間接部門長、12営業所の所長が出席するマネジメントレビューを、定期的に開催している。マネジメントレビューは全部門を対象とするため2日間にわたって行われ各部門が年初に掲げた環境、品質、食品安全に関する目標に対する進捗状況を報告し、会長、社長が評価を行う。これにより、現場にマネジメントシステムが浸透し、企業理念の実現に向けたPDCAサイクルが回っていく。マネジメントレビューを繰り返すことで、同社のマネジメントシステムは、製造現場にとどまらず、営業や間接部門へ、そしてスーパーマーケットやお客様へと拡大していった。
「一般的にはスーパーなどにお届けするまでの温度管理が食品メーカーの責任ですが、実際にお客様の口に入るのは当社の製品です。ですから、当社の営業はスーパーなどの巡回時に冷蔵庫の温度をチェックしています。
また、冷蔵品が店頭で山積販売されているときには、『温度管理ができないのでやめてください』と、お願いするようにしています。こういった活動は、ISO22000の認証取得をきっかけに、営業として行うべき活動について議論する中から生まれました。規定書には『新規得意先が開拓されたら、先方の温度管理をチェックし、当社の基準をクリアしていたら取引が始まります』といったことが新たに記載されました」(長島雅社長)。

 マネジメントシステムは、サプライチェーンの上流にも拡大している。同社は、2000年の企業理念の改定とともに、「厳選素材」「無添加調理」「品質保証番号」の三大原則を制定した。素材に関しては、同社社員および外部検査機関による検査などを実施。原材料メーカーの工場点検も行っている。さらに商品に記載されている品質保証番号と賞味期限を入力すると、原材料の産地、収穫日、検査方法に関する情報がわかるサイトも構築・運営している。トレーサビリティを保証することで、原材料に関する意識の高いお客様の気持ちに応えられるだけでなく、クレームなどの問題発生時の速やかな対応も可能にしている。

 また、数多くの内部監査員を養成し、頻繁に内部監査を実施していることも同社の特徴である。営業が工場の内部監査を行ったり、工場のスタッフが営業の監査を行ったりするなど、普段は交流のない部門同士が監査を行うことが会社の健全性の向上につながっている。
「たとえば、お客様のクレームに対応した営業が、本当に工場で是正が実行されているのかを監査し、是正されていない場合は経営会議で発表します。また、工場が計画通りに製造しているのに売上が目標に到達しない場合は、その理由を明らかにするために工場のスタッフが営業を監査します。こういった取り組みによって、工場と営業の相互理解も深まります」(長島雅社長)。

新たな取り組みについて 環境、顧客満足、食品安全の視点から地域振興につながる商品が生まれる。
日本の各地域の栗を使った「栗ごはん」

日本の各地域の栗を使った「栗ごはん」

 近年、石井食品では、千葉の白子町の新玉ねぎを使ったハンバーグ、京都の丹波しめじを使ったハンバーグやまぜごはんなど、地元の食材を使った地域振興の取り組みに力を入れている。お客様からは、「地元工場が地元の食材を使ってくれることが本当にうれしい。地域活性化にもつながります」といった声が寄せられている。
「地産地消を進めることで、地域の農家・お店・行政とも良い関係が生まれ、輸送のための環境負荷も少なく、とれたての美味しいものを安全にお届けすることは、お客様満足や食品安全・環境と深い関わりがあります。多品種少量販売なので、原産地表示などの管理も大変ですが、こういったことを
きちんと行うためにもISOに則った仕組みを運用していくこ
とが大事です」(長島雅社長)。

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