インタビュー記事

#01

建設現場の労働環境改善に貢献
~快適トイレのパイオニア企業が最新モデルを展示

日野興業株式会社
営業企画部 部長 谷本亘様

トイレの快適性は労働環境の快適性を格段に向上させる。まだ仮設トイレがなかった時代に建設現場で使えるトイレを開発した日野興業は、近年は「快適トイレ」のパイオニアとして労働環境改善に貢献する。イベントや災害時にも活躍する仮設トイレは、用途に応じた開発と、機能性・利便性の追求により大きく進化している。営業企画部の谷本様に、仮設トイレの現在、そして展示会での見どころについて、伺った。

現場の労働環境改善に貢献する快適な仮設トイレを開発

―貴社の沿革について教えてください

設立が昭和27年と比較的歴史の長い会社なのですが、元は金物業からスタートしました。特に建設現場で使う工具や資材が多かったのですが、ある時、現場にトイレを設置したいと建設会社から相談を受けたのです。高度成長期の頃、建設現場で働く人が急増していた時代でした。当時は遠くの常設トイレを使うのが通常でしたが、それでは作業効率も落ちてしまいます。
そこで相談を受け、鋼板などの資材を組み合わせて仮設トイレを考案しました。日本で初めての発売だったと思います。その後仮設トイレというものが広まり、建設現場だけではなくイベントや災害時の避難所等でも使われるようになりました。

―今では多種多様な仮設トイレを発売されていますが、今回の展示会では何を出展されますか?

今回の展示の1つは、WGXというオールインワンのレストルームです。これまでのスタンダードモデルの2倍サイズで、トイレと洗面台を1室に備えました。
今、建設業の担い手不足問題が顕在化してきています。建設現場の労働環境改善をはかって、少しでも環境面で敬遠されないような工夫が進んでいますが、トイレ環境もその1つだと思います。実際、そうしたニーズで今受注が伸びている商品ですので、より広く知って頂けるよう実物を展示する予定です。

―仮設トイレの快適さを高める動きは、随分進んできたのでしょうか?

平成28年10月から国土交通省が、男女ともに快適に使用できる仮設トイレを「快適トイレ」と名付け、直轄現場への導入を原則化しました。そういう背景もあって、仮設トイレは進化しています。
弊社は実は、政府が女性活躍を掲げた4、5年前からトイレの快適性を追求してきました。建設現場の女性技術者・技能者にとってトイレ環境は大切な問題になりますので、女性向けの仮設トイレを開発したのです。もちろん、現場の女性技術者自体がまだ少ないので、このトイレの普及がすぐに進むわけではなかったのですが、発売したことでトイレの快適性についての問題提起になったのではないかと感じています。
実際、このトイレを発売してから、行政、ゼネコン、ハウスメーカー等の方々とお話しする機会はすごく増えました。労働環境に関する意識が全体的にあがってきた中で、弊社としてもさらに開発を重ね、男女兼用型の上位モデルに至ったのがこのWGXです。最近は様々なところで「女性目線でつくる」ものが支持を得てきていると思います。これらのトイレは、現場で働く女性や弊社の女性社員の意見を取り入れる等、まさに女性目線を活用して開発したのが特徴です。日本トイレ研究所の「快適トイレ認定」も取得しました。

レンタル利用にも配慮し、耐久性・利便性と快適性の両立を工夫

―話を聞きたいという方も増えているのでしょうか。

そうですね。建設関連の企業、住宅・土木等、様々な業界団体で労働環境問題を取り上げることが随分増えてきています。その際にお声がけ頂き、セミナー等で話す機会は随分増えました。建設現場で使っているトイレが結局、イベントや災害時で使われるものになりますので、建設業界のトイレから変えようという動きは今随分活性化しています。

―仮設だからこそ問題となる点はあるのでしょうか

工事の発注者様側からすると、仮設トイレは一時的にしか使用しないものなので、そこまでコストをかけられるわけではありません。高機能にするほど値段もあがりますので、その辺りは常に気にされます。WGXシリーズもどうしてもスタンダードモデルよりも値段は上ですが、労働環境改善とのバランスで判断されています。
また、仮設トイレはレンタルで使われるケースが圧倒的に多いのも特徴です。すると、もし快適トイレを使いたくてもレンタル会社が扱っていないと利用できません。レンタル業というのは先行投資して機材を購入しますので、レンタル料で効率的に償却できるもの、稼働率の高いものを保有する傾向にあります。良い商品でも認知度が低いと、そもそもレンタルのラインアップに採用されない可能性もあるのです。しかし弊社は、メーカーでありながらレンタル業も自社でおこなっています。そのため、このWGXシリーズもメーカーの強みを生かして全国の事業所に配備を行い、多くのお客様にいち早くご紹介することができました。

―お客様の声を直接開発に活かせるのもいいですね

製造・販売・レンタルを一貫して行っているので、お客様の要望をすぐ開発に活かしています。まずプロトタイプをつくって現場に出し、ヒアリングを繰り返してお客様のご意見・ご要望を頂き商品へ反映していきます。仮設は移動して設置するという特徴もあるため、耐久性の高さや衝撃への強さ、輸送性や保管性といった点も工夫を重ねてきました。

―他の展示予定はいかがでしょうか?

最新モデルの多目的トイレMP-1も展示する予定です。イベントなどの際に車イスユーザーでも使えるもので、サイズはトラックへの積載性も考慮しています。
実はイベントは季節によって需要に波があるため、レンタル会社からすると稼働率が悪い商品とみなされます。多目的タイプは通常タイプよりも保管のための専有面積も大きいので、取り扱いも厄介です。しかし社会的には、車イスユーザーでも子連れの方でも安心して外に出かけられる環境整備意識は高く、ニーズは顕在化しています。高機能にするのは簡単なのですが、仮設特有の利便性がないと普及しません。そこで我々は、保管や輸送時に扱いやすいコンパクトさをできるだけ追求し、同時に車イスの方でも使い勝手が良い商品に進化させました。その際には車イスユーザーをはじめ様々な障がいをお持ちの方々からも多くのご意見を頂いています。オプションでベビーチェアや手洗器の追加もできますので、使用目的に合わせたカスタマイズも可能な商品となっています。
また、仮設トイレはどうしても臭いの問題が起こりがちですが、それを抑える薬剤も開発しています。細粒状で扱いやすく、1包ずつ汚物タンクと清水タンクに投入するだけで済む「快適トイレのもと」という防臭防虫剤です。今回の展示会ではハードだけではなく、このような商品も展示予定です。

国や行政、業界ニーズの動向を把握し、必要な情報を発信

―展示会はどのように活用されていますか?

新商品の発信には最適なので、積極的に参加しています。以前はカタログのみで商品を検討されるお客様も多かったのですが、やはり実際に見て触ることで納得して頂けますし、顔と顔をあわせて商談ができると成約率は高まりますね。
先日九州のトイレ産業展にも出展しましたが、お客様からは機能面、価格面だけではなく供給体制や業界全体の動きなど様々な質問を頂きました。弊社は仮設トイレを全国区で展開している会社ですので、その分広範囲の情報が集まってきます。各業界の流れ、行政の動きについて皆様関心が高いので、展示会では積極的に情報をお伝えし、お客様の課題のお役に立ちたいと考えています。

―どのような方に向けて発信したいですか?

国土交通省の「快適トイレ」仕様が始まってから、公共土木現場での仮設トイレの変革は急激に進んできました。ただ民間の建築現場では、まだまだ「快適トイレ」の普及率は低いと感じています。しかし現場の担い手不足、労働環境改善の課題は同じくあると思いますので、そうした関心を持つ方向けに展示でも、セミナー等でも発信していきたいと思っています。今回、22日のセミナーで発表する「全国低層住宅労務安全協議会 快適トイレ推進プロジェクト」には弊社も関わっていますが、快適トイレを広めるべき理由や、低層住宅・戸建て住宅の現場での労働環境改善事例を発表する予定です。住宅のお施主様からハウスメーカー、ビルダーの方にも広く知って頂けたらと考えています。

―災害時にも仮設トイレは必要とされますね

そうですね。弊社製品も、阪神淡路大震災の頃から各地での災害時には国や自治体の支援物資として使われています。全国区で展開している分、使って頂ける機会も多いようです。これまでのノウハウが社内に蓄積されていますので、行政の方から問い合わせを受けることも多くあります。

―来場する方にメッセージをお願いします

労働環境面でも、防災面でも、トイレはなかなか優先されてこなかったかもしれませんが、日常的に必要なものです。建設現場なら、良い建物をつくるためには良い職方が必要で、良い職方が活躍できる環境を整えることはとても大切なことです。今、トイレ環境について課題やニーズをお持ちの方はぜひ、お立ち寄りください。
トイレ環境に注目する人がもっと増え、快適トイレのマーケットが広くなると、価格面でも機能面でも、もっとできることが広がってくると思っています。商品展示だけではなく情報収集、情報交換の場としても弊社ブースを活用して頂けたらうれしいです。

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