- 「ものづくり立国日本のための"設計力の改革"」
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2009.8.31
設計検証に有効な機能と活用方法 〜破壊解明や代替品検証を可能にする構造解析〜
構造解析結果から最適設計を洞察する有効な機能のひとつに、“荷重パス”を表示する 「設計インサイト」 機能がある。例えば、図5のような取手形状部品において、取手部位に荷重が負荷され穴部で拘束を受ける場合(①参照)、解析結果に対して“荷重パス”を表示させることで、荷重負荷を効率的に支えている領域を設計者が速やかに理解できる(②参照)。この“荷重パス”を3次元モデル上に表示させながら荷重負荷の低い領域の肉抜を行うことで、より最適化された設計形状を素早く完了させることができる(③参照)。設計者が解析結果を理解するために極めて有効な機能である。このように、SolidWorks CADソフトウェアに統合された設計検証ツールには、設計者が簡便に解析を行えるだけでなく、解析結果の速やかな理解を助ける機能があり、設計者が最適設計を行なうことを支援する強力なツールである。

図5) 荷重パス表示機能(設計インサイト) 設計者が設計検証を行うメリットのひとつに、設計者の創造力を高めることが挙げられる。ひとつの事例として、セラミックスの円柱に金属を焼き嵌めした構造部材での事例を示す。図6に示すように、セラミックス円柱に金属を焼き嵌めした締結部材において、引張り荷重が負荷された際に、セラミック部材が溝の部分から破壊される事象が発生した。

図6) 焼き嵌め構造と破壊部位 このような単純構造の場合、実際の設計現場では、破壊の原因究明そのものより、「破壊する=応力が高い⇒応力を低減させる」との発想が先行し、破壊原因を究明することなく不具合対策がとられる場合が多くある。特に、加熱・冷却の製造プロセスを経ることで、実際の破壊部位の応力実測が困難な場合にはなおさらのことである。この事例では、セラミックス部位の溝部からの破壊であるため、対応策として(A)溝部の応力集中を低減させる方法と、(B)破壊部位の肉厚を増し強度を高める方法、とが容易に考えられる。しかし、試作、実験の結果、(A),(B)の対策案のいずれによっても有効な改善効果を得ることができなかった。破損部位の構造解析を行った結果、図7に示すように、セラミックス端部が焼き嵌め収縮荷重により円周半径方向に収縮変形し、この変形により溝部に応力集中することが判明した。そこで、応力集中を低減させる方策として、セラミックス部材の溝部の内側をえぐり、焼き嵌めの収縮力で溝部表面に圧縮応力が付加されるようにすることで、引張りに対する強度を向上させる対策案が発案された。これは、破損する部位の肉厚を薄くする対策であり、破損の原因究明のために実施した解析結果無しでは得られなかった対応策である。このように、設計者が設計プロセスの中で問題の原因を究明できる設計環境を活用できることが、有効な対応策を創造し、設計品質の向上を可能にすることがわかる。

図7) 応力解析結果と応力低減対策 SolidWorks CADソフトウェアに統合された設計検証ツールを活用して設計品質の向上に取り組まれているお客様から、「設計者全員が、気軽に解析を行い最適設計することで、従来から評価の高かった部品をその特性を生かしたまま、どこまで薄くできるかをシミュレーションしたり、コスト高だが強度の点で優れるパイプ材の代わりに板金を使ったらどうなるか、といったアイディアを試したりしたからこそ、コンパクト設計と高信頼性を両立することができた。」(情報機器事業関連会社様)、「設計を根本から変えるには、SolidWorksで図面を描き、解析し、設計し直すとういう一連の作業を何度も繰り返す環境づくりが必要不可欠であった。」(射出成型機製造会社様)、「いままでわからなかったことがわかる。この感動をバネにして設計者が自発的にモデリング技術に磨きをかけるようになる。」(精密機器製作会社様)、といったお言葉をいただいている。技術の本質を追及する“探究心”を満たし、向上させる設計環境をエンジニアに提供することで、これまで評価不可能であったことを設計プロセスの中で解明できるようになる。エンジニアの育成と高信頼性設計を同時に可能にする、正に一石二鳥の便利な機能である。
3次元CADに含まれる設計検証機能の中で、多くの設計者が使用する構造解析について述べたが、その他の設計検証機能について次号以降で述べさせていただく。
(次回では、「その他の設計検証機能」について連載を展開。 2009年9月25日配信予定)











