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「ものづくり立国日本のための"設計力の改革"」

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2009.6.25

設計検証の重要性 〜製品性能からコスト・環境まで見る設計者の目〜

設計者は設計課題とその要件を満たす検討項目、目標値を整理するとともに、与えられた期間と工数を前提に設計を推進する。さまざまな要求を満足し、目標を達成するための方策を考案し、まとめあげることが設計者の重要な役割である。まさにこれが設計の醍醐味であるといえる。この「醍醐味」を設計者に感じさせるためには、自己が創造した設計案の妥当性検証を繰り返し行い、納得できる設計にまとめあげることのできる環境が必要である。また、この設計プロセスを通して技術の本質を追及する探究心を持つエンジニアを育成することは同時に、設計技術の蓄積・向上を意味するものである。

近年、設計期間・工数を大幅に短縮することが強く求められており、多くの企業で、「設計試作⇒実験・検証」のプロセスに十分な時間と工数を割くことを許されないのが実情であろう。このため、過去に生産実績のある設計を参照する、いわゆる手堅い設計(=流用設計)で対応することが多くなっており、設計技術の低下を招く恐れがあることは前回述べたとおりである。設計期間の短縮に対応しながら設計技術の向上を図るためには、製品性能/製造/組立/環境負荷など、製品開発に関わるすべてを認識し考慮した設計案を、設計の任意の段階で、タイムリーかつ迅速に検証する必要がある。これを可能にする設計環境として、3次元CADを中核とした設計検証ツールの活用に、その効果が期待されている。

電子機器を搭載するラックの設計事例を用いて設計検証ツールの活用を考える。設計者は、ラックの設計要件として、図3に示すように、ラック全体の大きさ、搭載される電子機器、ラックが使用される環境、必要となる電子機器の冷却方法、要求されるコスト等、情報を整理し、要件ごとに検討すべき項目を洗い出し、具体的な構造・構成を検討していく。

図3) 設計課題に対する要件,検討項目の整理

例えば、棚板の強度を向上させる場合、(1)単純に板厚を増す方法と、(2)棚板にリブを追加して断面形状を変更する方法を容易に思いつくが、(1)の場合、質量が増加し、固有振動数が低下する。使用される環境によっては、固有振動数の低下により共振が問題になることが考えられる。また、(2)の場合、他部品との干渉を招いたり、電子機器冷却のための空気の流れを阻害したりする可能性が考えられ、強度向上にのみ着目した変更を安易に行うことはできない。すなわち、各種の要件を把握した設計者が、設計要件のバランスを取りながら設計仕様をまとめることが肝要である。これらの検討・検証を迅速に行うために、一部の企業では、3次元CADデータを利用したシミュレーションソフトウェアを用いての構造解析/固有値解析/熱流体解析等が活用され、従来の開発プロセスである「試作⇒実験・検証」の回数を削減し、設計期間を短縮することに成功している。

上記性能要件に加えて、「コスト」も重要な検討項目である。製品の全ライフサイクルコストの80%が設計段階で決定すると言われる中で、設計段階でのコスト検討は必須である。一口にコストといっても、さまざまなコスト要因を検討する必要がある。中でも、設計ミスを減らすことは、コスト削減の重要な項目である。単純な部品同士の干渉防止、組立性の確認、部品の加工性検討等、3次元CADを駆使することで様々な検証が可能となる。さらに、部品コストに影響する材料と加工方法の選定、部品公差の最適化も同様に3次元CADデータを用いて検証することができる。近年注目されている環境問題、特にCO2排出量も設計段階で検証することを求められはじめており、上記同様に、3次元CADデータを活用することを期待されている。

一部の企業では、これらの3次元CADデータを用いた設計検証ツールを駆使することで、これまで評価できなかった設計の妥当性や、予測不能であった課題等を設計プロセスの中で容易に解明することができるようになり、エンジニアの探求心を満足させると同時に開発期間を短縮するという一挙両得の成果を得ている。更に中長期的には、組織全体の設計力の底上げと設計品質の向上が期待されている。

このように、企業が競争力を維持・向上して行くために、設計検証はもはや避けて通れないプロセスとなっていることがわかる。この設計力と設計品質の向上に必須のプロセスである設計検証のソリッドワークスの取り組みについて連載を進めていく。

(次回では、「設計検証におけるソリッドワークスの取り組み」について連載を展開。 2009年7月27日配信予定)

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