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「これからの製造現場がもつべきインテリジェンス」

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2009.5.25

夢と期待が失望に変わらぬように 〜中間まとめ〜

生産管理システム(IT技術)は、これまで人が担ってきた製造現場運営の役割を人に代わって担うものと説明されます。「自動的」という無責任な想いを介して繋がる製造現場と生産管理システム。多くの人々が期待し、そして失望してきました。

Aさんは「夢」を語りました。無邪気に「期待」を膨らませる若者は、大事なことを考えるのを忘れてしまっています。親父さんが二人に問い掛けます「生産管理システムってのは、このノギスと同じだって分かるか?」「製造現場を理解した情報システムってのを作れないものかい?」って。
 親父さんが言いたかったのは、どんな立派な道具でも、それが何のための道具であるかを理解し、ちゃんと自分たちで考えて使わなければ、何の役にも立たないということです。製造現場を取り巻く環境には、複雑に絡み合った無数の業務が存在します。それぞれの道具が、それぞれの目的を持つことを知り、自らが目的意識を持って活用する。決して「万能」を求めてはいけないのです。

まず、きちんとした目的意識を持つことが重要であり、目的を明確化するために必要なのはデータです。製造現場のデータを通して、製造現場で何が起こっているのかを知ることで課題を明確化し、その改善を目的として設定する。
 この当たり前に見えるプロセスが、生産性などの抽象化されたマクロ指標と、何でもできると誤解された不幸なIT技術に阻害され、疎かになっている。それが製造現場のIT化が進まない大きな理由の一つです。

親父さんは、Aさんに製造現場のデータを分類してみせました。それぞれのデータは、何らかの目的のために計測され、そして目的に到達するまで、比較・組合わされ形を変え「進化」していきます。比較・組合せの過程でこの進化が不十分であれば、目的への到達度合いもまた不十分なものとなります。
 これに対して、Aさんが説明した情報システムには、製造現場の中で実行されるデータ進化の要素が考慮されていませんでした。製造現場を上から眺め、データ進化の過程を知らない情報システムでは、データ解析の機能はあっても、結果と原因を結びつけ、製造現場に具体的な改善を促す機能に乏しいのが一般的です。日本の製造現場が行ってきたボトムアップ型の改善活動と、欧米型のシステムを比較されても良いと思います。親父さんは「製造現場を理解したシステム」という言葉でAさんに問い掛けましたが、言い換えれば「製造現場のデータ収集と活用のノウハウを持った情報システム」と表現することができます。
 Aさんは、親父さんの説明してくれた絵をデータ活用の視点から情報システムの機能分類として書き直しています。製造現場から目的ごとに複数の経路でデータを収集し、複数の論理階層でデータを処理するとともに、階層間連携が実現されたシステムは、製造現場のノウハウを組込むためのプラットフォームであると言えます。
今、Aさんは親父さんに会うのを楽しみにしています。親父さんの絵をもとに自分が考えたプラットフォームを披露し、親父さんに「安心してお任せ下さい」と言いたい気分です。これまでAさん自身、考えたこともなかった製造現場向けのシステム提案に「早く親父さんに会いたいな…」と胸躍らせています。

しかしながら、この後Aさんは、コストとシステムの複雑性という壁にぶつかることになります。無数にある製造現場それぞれの中に、データ収集と現場ノウハウに応じたデータ処理機能を埋め込むためには、製造現場ごとの設備、物の流れ、そして物の特性を知る必要があります。そのうえで、いつ起きるか分からない事象を逃さず観測し、関連データを含めて収集するなど「製造現場を知らない俺が、そんなシステム、本当にできる?」とAさんの中に不安が溢れてきます。

ある日、Aさんは「情報システムに、全ての製造現場に対応しろというのは無理なんです」と親父さんに泣きつくことになります。「考えれば考えるほど、ダメなんです」Aさんは泣きじゃくり言葉さえ失います。
 親父さんは笑いながら言います「あはは、誰も情報システムに何もかも押し付けるつもりはないよ」「えっ?」Aさんは思いがけない言葉にキョトンとしてしまいます。

第4回までのお話の整理と後半の予告編はここまでです。次回からは、ようやく気持ちが一つになった親父さんとAさん、そして若者を加えて、親父さんが笑ったわけをお話したいと思います。親父さんにはどんな秘策があり、そして「これからの製造現場が持つべきインテリジェンスとは?」に親父さんはどう応えてくれるのでしょうね。

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