- 「これからの製造現場がもつべきインテリジェンス」
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2009.4.24
データ分類とデータ活用の視点
Aさんは帰り道、入社時の研修を思い出します。「そう言えば、現場実習ってのがあったよな…」 パソコンの組立ラインで実習をしたAさんたち新入社員。一つのラインを任された彼らは、若さとそのパワーに任せて、通常の1.5倍近い数のパソコンを組み立てながら鼻高々にしています。誰もが、さぞかし褒められるだろうと思いきや、休憩時間に交わす現場のおじさんたちとの会話には、どことなく淀んだ空気が感じられます。聞こえるのは「あんたらは2週間だけだからなぁ」という言葉と溜息。「あれ…?」 彼らがその溜息の意味を知るのに、それほど時間はかかりません。
次の日、彼らは班長に声を掛けられます「現場はどうだい?」 彼らは答えます「楽勝っすよ!」 班長は「じゃ、今日からは各人が違うラインのサポートに入って貰うからね」と告げ、彼らを4つのラインに振り分けました。意気揚々と散っていく彼らは「よ~し、今日もたくさん組み立てるぞ~!」と気合十分です。しかしながら、作業開始から間もなく、このハイテンションは瞬く間にトーンダウンしてしまいます。それは、力の有り余った彼らには、ある種のストレスとさえ感じられました。「作業しようにも、前の工程から物が流れてこないんだ」「俺なんか、次工程のおじさんの作業が遅いから、いっぱい溜まっちゃって待ってなきゃいけないんだぜ」 彼らの休憩時間の会話です。笑いながら現場のおじさんたちが言います「これが現場なんだよ」って。Aさんが7大ロスという言葉と出会うのは、それから2週間後の研修ですが、新入社員の誰もが「これって?」とお互いの顔を見て笑ったことを思い出します。あの時「現場は生き物なんだよ」と教えられ、人・モノ・設備が有機的に繋がる世界の難しさを、ほんの少しではあるけれど体感したはずのAさんだったのですが、ひょっとしたら、今のAさんはIT技術という魔物にとりつかれて、現実世界の製造現場が見えなくなっていたのかもしれませんね。Aさんは鞄から、さっきまで、おやじさんたちに説明していた生産管理システムの説明資料を取り出しました。そこには、出来高管理、設備稼動管理、品質管理、物流管理などの箱で埋め尽くされたコンピュータシステムの構成図が描かれています。でも、その先に繋がる製造現場は、ほんの小さな箱で描かれ、たった一本の線で繋がるだけです。「これじゃぁ、親父さんに分かりゃしないよ…って言われても仕方ないな」Aさんはなんだか可笑しくなって大声で笑ってしまいます。「よし、オフィスに戻ってお親父さんに分かって貰える絵を描くか」
親父さんは製造現場が必要とするデータを分類してくれました。Aさんは、これをデータ活用の視点から書き直しています。
図表-2 データ分類とデータ活用の視点

その場で即座に活用したいデータ①は、製造現場の中で閉じた環境で活用されます。設備の状態変化など突発的な異常を捉え、現場レベルの「設備を止めない」「不良を出さない」活動を支援するものです。
また、現場の管理に活用することを目的とするデータ②は、データ蓄積の機能を加えることで、情報システムが持つデータ処理機能との連携を強めることで、長期間に渡る傾向監視やトレーサビリティ機能を実現するとともに、データベースの検索機能により、複合要因により発生する不具合の原因究明を支援します。
さらに、受発注サービスや資産管理サービスなどの基幹系システムとの連携により、生産に関わるムダ削減だけでなく、部門間に跨る業務プロセスに潜在するムダ削減を目指すデータ③は、工場レベルでの管理に活用することが可能です。Aさんは、親父さんがくれたデータ分類というヒントをデータ活用という形で答えたいと思っています。親父さんの現場のことをまだ分かっているわけではありませんから、果たして親父さんが何と言うか不安でもありますが「早く親父さんに会いたいな…」 それがAさんの今の気持ちです。
次回は、ひとまずこれまで4回のお話を整理し、第6回以降のシステム具現化に向けたお話へと進めたいと思います。そして、本来のタイトルである「これからの製造現場が持つべきインテリジェンスとは?」を考えたいですね。











