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「これからの生産技術者の役割」

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2009.3.25

これからの生産技術の役割
1. コア技術の磨き上げ

競争優位の戦略をとるため、自社のコア技術を意識して絶えず経営活動を行うことが必須である。図表1-9にコア技術の区分を示す。

A:製品化技術
 キーデバイス、ユニット、レイアウト構造を作り出す設計構造化技術と定義する。日本は戦後、欧米からまず図面をコピーし構造化の技法を学び、日本流の“改善技術”で独自の構造化を確立した。この構造化と同時にものづくりの生産技術を考えるのが定石である。例としては、造船でいうブロック化工法や自動車のインパネ部分(フロント計器部)のモジュール設計もモジュール構造と同時にユニット化も考慮した構造化設計になっている。
B:キーデバイス・ユニット
 ものづくりの生産技術である。これらは、材料選定の技術、工法技術、工程設計技術、これらを組合わせてアウトプットの品質を評価する評価技術に大別される。技術・工法を革新していくには、同時に評価技術を確立しなければならない。そのための計測・測定技術・定量化技術・測定装置の開発……自体が技術革新につながっていく。
C:市場価格に対する競争力
 生産性・競争力を生み出すための“改善の技術”である。この部分は日本のお家芸で、改善を継続することで、世界で戦える競争力を作ってきた。 企業としては、自社のコア技術を棚卸しし、技術の強みがどこにあるか俯瞰して今後の開発方向と生産技術方向の筋道を明らかにする必要がある。生産技術はブラックボックスになり、企業競争が激しい世界で、差別化、世界一を目指す土台になるといっても過言でない。

図表1-9 コア技術の区分

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これからの生産技術の役割
2. 品質をすばやく作り込む

品質を作り込むプロセスは、お客様の要求事項を開発要件としてまとめ、それを仕様(機能・性能)に落とし、そこから構造化し、具体的な“もの”として作り込むことである。
 品質とは、「もののばらつきを少なくして均質化すること」か「ばらつきの範囲をある水準に保つこと」である。製品のばらつきをなくすためには、プロセスそのもののばらつきを少なくしなければならない。生産技術の役割は、構造化の段階からものづくりのプロセスでばらつきをなくすことにある。
 材料の選定では、材料のばらつき、特に組成の確認から始まる。微細加工の世界では、材料のナノレベルのばらつきや配合組成の違いで品質が大きく変わるケースも少なくない。電子顕微鏡レベルで、素材特性を確認する作業も必要な場合がある。工法の選定と工程設計では、工程能力を十分つかむ必要がある。
 日本の製品は、競争力をあげるために品質精度が1桁、2桁高いといわれているが、工程設計においては特にばらつく工程の対策に留意する必要がある。

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これからの生産技術の役割
3. 開発との連携強化

品質をすばやく作り込むために生産技術の先行度合いが問われる。製品の構造・レイアウトを決める段階から生産技術が加わり、開発側に提案と要求をし、生産技術の課題を検討しながら構造と同時にものづくりの方針を決める過程が大切である。構造検討では、どこまでモジュール化・ユニット化するのか、ハーネスや配線・配管の引回し経路とモジュールの区切り方、そのモジュール・ユニットをどの工程で作るかをおよそ概観し、このときの作業性もおおまかに検討しておく必要がある。
 生産技術部門には、製品開発や技術の方向を検討しながら、中・長期をにらんだ生産技術開発が求められる。設備の世界は5〜10年単位のレンジで、技術の方向を俯瞰しながら設備開発・要素技術開発をする必要がある。設備投資には莫大な費用がかかる場合も多いので、経営側としては、前章で論じた生産戦略との関連でものづくり投資を検討する必要がある。

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これからの生産技術の役割
4. グローバル化への対応

生産技術におけるグローバル化の定義を「日本発の生産技術・ものづくりを世界に普及させること」とする。日本人のものづくりの特色を表すときに“からくり”が例にもちいられる。昔から“精巧・精密”なものをつくり出す民族だったといわれる。こまやかな感性で、精巧なものづくりを得意とする。
 他方、欧米人は、精巧というよりは、“シンプル”な構造、使い方を好む場合が多い。日本から世界をにらんだ生産技術開発をする場合、使い方、標準類、メンテナンスのシンプル化に留意しながら開発を進める必要がある。
 また、日本の現場でのものづくりは、図面のミスや技術開発での問題点などを現場が“以心伝心”の、いわば“暗黙知”で解決してきたケースも多い。海外では、前工程の不備を後工程で修正をするモデルはない。この点に留意しながらグローバル対応をすることが不可欠である。
 初期の段階では、日本発の生産技術開発を世界に展開することになるが、将来は各拠点(例えば北米・欧州・アジア)で、同様の生産技術拠点が必要になる。開発に当たっては、世界の共通項目と、拠点ごとの地域事情や工場レイアウト、ラインの違いによる要素開発のバランスを考えた生産技術開発が求められる。

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これからの生産技術の役割
5. 経営マインドを持った人づくり

図表1-10は生産技術が目指す人材像である。

人の育成の基本は“興味・好き”と“気づき”である。T字型の人材育成論で考えれば、まず個人が興味のある専門分野をみつけて専門家になることが必要と考える。これがフェーズ1で、専門知識・技能・技術の獲得が必要な時期で、コア技術の分野で1つの専門領域をつくることが必要である。生産技術の専門人材を育成するには、設備計画から導入、試運転、立上げ、メンテナンスまで一貫した流れを経験して、どこに課題があり、品質を作り込むポイントはなにかを体得することが求められ、そのためには時間がかかると考えられる。
 フェーズ2は、生産技術を世界の位置づけで考えられるグローバル人材の育成である。このためには、何年か海外の現場に立つ必要がある。欧米の技術者と話していると、まずコンセプトレベルの議論から入ってくる。彼等が出すチャートもシンプルでキーワードが数行の場合も多い。まず目的を話し合い、考え、そこからコンセプトを作り出す習慣をつけることが大切である。
 フェーズ3は、経営マインドを持った人づくりである。生産技術と経営の位置づけがわかり、この全体感をもとに生産技術の長期展開を経営に答申し、具体化を進める人材である。生産技術部門は、技術ロードマップ、製品ロードマップを考え、生産システムのトレンドを見すえながら、生産技術の将来ビジョンを描き、ここから中長期のシナリオを策定する必要がある。
 今後の10年を考えた場合、日本では1つの方向として、高品質&開発期間超短縮システムが考えられ、これをにらんだ先行技術開発、設備投資計画のシナリオ作成が必要だ。また海外では、日本の開発方向を考慮しながら、“標準化・シンプル化”のシステムづくりが課題となろう。

図表1-10 経営マインドを持った人づくり

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