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「計画生産、同期生産を強化するグランドデザイン」

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2010.1.27

第六話:工務課の仕事は会社の利益とつながっているか?

その週の金曜、二之宮は社長に呼ばれ、社長室のドアをノックした。今回とった対応について、すでに自分なりの整理はついていた。社長からの信頼は、これでまた落ちるだろう。工務課というのは、なんて損な役回りだろうとつくづく思う。

部屋に入ると、社長の横には、営業課長の梅田がいた。すべてこいつのせいなのだ! 梅田はこちらを見ながら、なんとも不敵な笑みを浮かべている。すでに、社長には梅田のほうから、いろいろ情報がいっているようだ。

「君は、今週、50円の部品を調達するために、50万円もの経費を使ったそうだね。」

予想通り、社長はおおよその事情は知っているようだ。ここは、あまり言いわけがましいことは言わずに、今後に対する取り組みなど、前向きな話にもっていったほうがよさそうだ。原因のなすりあいになると、理論的な梅田にはかなわない。社長の前で、口論になるのもみっともない。

「二之宮君、今回納入したNK-022-5550の原価と販売価格を知っていますか?」

二之宮がその数字をなんとか思い出そうとしていると、横から梅田が割って入ってきた。ついでに、余計な計算まだしやがった。

「NK-022-5550を1個納入すると、当社の利益は25円です。今回の経費50万円に相当する利益を出すには、20,000個販売する必要があります。この製品は月産平均500個ですので、40か月分、つまり3年以上かかります。」

まさか、3年間給料を減らすということなのか? さすがにそんなことはしないだろう。しかし、やはり、今回のことは会社の経営にとっては重要なことだったのだ。欠品させないために、最悪の事態は回避したつもりであったのだが。二之宮は、さらに恐縮し、社長の前で押し黙ってしまった。

起こってしまったことは仕方がない。そう、PDCA(ピー・ディー・シー・エー)だ。チェック(問題発見)とアクション(問題解決)が重要なんだ。前向きにやろう。さて、どうしたものか。これから、何をどうすればいい?? このような事態にならないためにはどうすればよいのか?

実は二之宮にはアイデアはなかったのだ。今週は、目の前の問題を片づけるだけで精いっぱいで、全体を見渡す余裕も、今後の対応を考える余裕もなかった。その場、その場で精いっぱいやってきた自分に対して、何の恥ずかしいところはない。しかし、こういう場面で、なにか気のきいたアイデアが出てこない自分に対して、腹が立った。

「二之宮君、当社の生産戦略を全社的な視点から再構築してください。これまでのものづくりのやりかたを根本的なところから見直すように。」

二之宮は、あっけにとられて返す言葉がなかった。自分にそんな大それたことができるだろうか。社長は、自分のことをどれくらい理解し、どれくらい期待をかけてくれているのだろうか?

「この梅田君に、いろいろ相談するといい。彼がサポートしてくれるはずだ。ただし、本件に関して、追加の予算はありません。新たな出費は一切せずに、君たち知恵と労力だけでやるように。他の社員には全面的に協力するように言っておきます。」

二之宮は途方にくれて、社長室を後にする。帰り際にふと振り返ったとき、こちらを見つめた梅田の目がキラリと光っていたような気がした。(つづく)

<ここまでの登場人物>
二之宮太郎(主人公)・・・港町工場の生産管理担当主任。
                 入社10年目、現場の生産進捗管理をすべて仕切る。
米田賢治・・・昨年定年退職した二之宮の元上司。かんばんを利用した現場管理を徹底させた。
梅田大作・・・営業一課課長。多くの新規顧客を獲得して社内で高い評価。二之宮と同期入社。
南 竹子・・・工務課で主に資材調達を担当。入社5年目。数字に強く、いろいろと機転がきく。

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