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「計画生産、同期生産を強化するグランドデザイン」

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2009.12.25

第五話:たかが50円を甘く見ると50万円の大損害!

二之宮の全身から、血の気が見るみるうちに引いて行く。“欠品”という2文字が頭をよぎり、そしてそれが現実のものとなって彼を押しつぶそうとしている。これは非常事態だ!まずは冷静にならなければ! 月曜の朝、いつもどおり出社した二之宮にとって、信じられない状況が待ち受けていた。

二之宮は、すぐさま現場に直行し、そこらじゅうの担当者に向かって怒鳴り散らした。冷静になれない。納入先は館山製作所である。館山製作所は、創業者である先代の社長の時代からの最大の得意先であり、常に一体となってものづくりを行ってきた。先輩の米田も、あそこの工場に対して納入を切らしたことはこの40年間一度もない、と自慢げに語っていた。

「不可能です。構成部品のN300-ZZの在庫の残りが300しかありません。これはタイの工場で作っていますので、次の入荷予定は3週間後です。」

冗談じゃない!! そんかことは認められない。館山製作所への納入は今週の木曜17:00だ。3週間待てだと、ふざけるのもいい加減にしてほしい。だいたい、なぜこのようなことになったんだ? 前回の資材の発注は誰がやったのか問い正さねば!

「いえ、発注は内示にあわせていつもどおりに行っていました。原因は、先週末に林工業向けに出荷したP202-7823です。あの出荷のせいで、すべてが狂ってしまったようです。」

二之宮は、できるかぎり冷静になろうとした。まず、状況を把握しなければならない。まず現状を正しくしく認識し、原因を明らかにすることからはじめなければならない。数字にめっぽう強い南竹子を呼んだ。

「二之宮さん、わかりました。先週末に、林工業向けP202-7823を2000出荷したときに、NK-087-7823の完成品から1000を手直しして対応しましたよね。その際に、N300-ZZの組付け部分を外して廃棄処分にしたのが原因です。そもそもN300-ZZは樹脂製ですので、いったん組付けたものを取り外した場合に、再利用は品質上の問題がありNGであるための対応とのことでした。」

N300-ZZは、仕入原価50円の部品である。1000個廃棄にしたとしても、現場では特に気に掛けなかったのだろう。しかし、これは館山製作所からの支給品でタイにある関連会社で作っているのだ。50円だろうが5円だろうが、これがないとNK-022-5550が出荷できない。

出荷は木曜の夕方だ。まだ時間はある。エアーを使おう。航空便ならコスト高だが、間に合うかもしれない。あと、得意先の館山製作所には、今回の納入数1000を分納で対応できるか確認する必要がある。タイにある仕入先の工場に在庫があれば、とりあえず直送してもらおう。

「二之宮さん、エアーを使っても最早で4日かかるそうです。いま手配しても金曜になってしまいます。」

南竹子が困惑した顔で再度報告に来た。もう昼になろうとしている。時間がどんどん過ぎていく。得意先は分納に応じてくれた。しかし、500を木曜17:00にはどうしても出荷しなければならない。N300-ZZ が200足りない!! やはり創業以来初の“欠品”となってしまうのか??!

南竹子は、意を決して二之宮に言った。

「私、パスポートもありますので、明日の午前中の便でタイに飛びます。水曜の夕方には戻れるはずですので、ラインを空けて待機していてください。」(つづく)

※出荷した製品の品番とその構成品の関係図

<ここまでの登場人物>
二之宮太郎(主人公)・・・港町工場の生産管理担当主任。
                 入社10年目、現場の生産進捗管理をすべて仕切る。
米田賢治・・・昨年定年退職した二之宮の元上司。かんばんを利用した現場管理を徹底させた。
梅田大作・・・営業一課課長。多くの新規顧客を獲得して社内で高い評価。二之宮と同期入社。
南 竹子・・・工務課で主に資材調達を担当。入社5年目。数字に強く、いろいろと機転がきく。

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