ものづくり応援ニュース一覧

「計画生産、同期生産を強化するグランドデザイン」

目次へ

2009.10.27

第三話:つまりは将来のイベントに同期するということだ!

「同期生産は、平準化生産とペアでなければなりません。一定のタイミングで規則正しく脈をうつ生体のようなものです。同期がとれていないと、流れが乱れます。整流化を常に心がけ、流れを乱す要因をできるだけ排除していくことが重要です。」

二之宮太朗は、うなずいた。そうだ、そのとおりだと思う。しかし、なかなか現実は、そのようにはいかないのだ。乱れる原因は、そう、営業が次から次へと、勝手な要求を現場にぶつけてくるからだ。さらに、最近は、現場まできて生産順序を変えろと言ってくる。こちらの事情などはまったく聞く耳をもたない!

最近は、内示情報もあまりあてにならないので、現場は自分たちの裁量でいろいろやりはじめたようだ。これは、防衛手段なんだ。だから、多少の在庫も目をつぶらざるを得ないだろう。このやり方に文句があるなら、営業にいってもらい。そう、営業の梅田はやはり確信犯だ!

「二之宮さん、“同期生産”って、いったい何に対して、何を同期させるしくみだと思います?」

いきなり質問されて一瞬とまどったが、二之宮にとって同期生産ということばは馴染みが深い。

「多くの場合、同期生産というのは、今、どこかで起こった現実の出来事を合図に、全体が同期します。お客様の個別の要望や納入指示などが、瞬時に組織全体に伝わり、協調のとれたアクションを起こすしくみ・・・ですね。」

そのとおりだ。かんばん方式は、まさにこのためのしくみだ、と納得しながら、二之宮はこの男の話の続きを待った。

「しかし、それは、もはや不可能なのです。これからの新しい時代にあった、次世代の同期生産に、いちはやく切り替えなければなりません。」

・・・・・・・・・

「いいですか、もはや、同期生産は、その出来事が実際に起こるのを待っていては間に合わないのです。次世代の同期生産では、近い将来の出来事に対して、組織全体のアクションが同期していかなければならないのです。」

このわけのわからない宇宙人みたいな男は、なにをいっているのだろう? 結局、よくわからない。将来のイベントって何だ? 将来がわからないからいまこうして苦労しているのだ。俺にいったい何をどうしろと言うのだ! 多少の期待をもって聞いていた二之宮だったが、失望し、自分の仕事にもどることにした。

「将来の出来事あるいはイベントとは、計画のことです。計画は予想や予測とは異なります。計画やスケジュールを確実に実行する習慣さえ身につければ、将来のイベントも現実の一部となるのです。」

もはやこの話は、二之宮の理解できる世界をはるかに超えている。やはり、今のやりかたを続けよう。一生懸命やればきっとなんとかなるはずだ! 男に背を向けた二之宮の頭には、もう明日の受注オーダのやりくりで一杯になっていた。

・・・・・・・・・

男は去り、工場はいつもどおりの喧噪に包まれた。二之宮は、この週末に起こるちょっとした事件によって自分の価値観が180度ひっくり返ることを、この時点ではまだ知らない。(つづく)

目次へ

ページトップへ