ものづくり応援ニュース一覧

「計画生産、同期生産を強化するグランドデザイン」

目次へ

2009.9.28

第二話:“かんばん”方式は、見込み生産なのである!

「“かんばん”は、ある意味では見込み生産なのですよ。在庫をなくすには、“かんばん”だけに頼っていてはだめです。」

昨年秋に定年退職した師匠の米田とはまったく逆のことを聞かされ、二之宮は混乱した。“かんばん”は、確定受注生産のしくみなのではなかったのか。お客様の受注があるものだけを作る、必要のないものは一切つくらない・・・。二之宮は、米田からこう教わった。この男はいったい何を言っているのだ!?

「いいですか、“かんばん”方式は、“平準化された継続的な需要量”という見込みに基づく生産方式なのです。御社が現在受けている確定注文が、月単位、あるいは月内で、どれくらい平準化されているか見てみましょう!」

確かに、ここ2,3年で、注文数が月内で大きく変動する品目が多い。取引先も多くなり、個々の品目の注文数は相対的に少なくなり、その分、品種数が格段に増えた。おのずと、一品目あたりの数量のばらつきは大きくなった。二之宮がデータを調べてみると、最近新たに取引を開始した得意先ほど、数量は一定でない。いや、数量は、めちゃくちゃだ。この品種BHK-97G-87275などは、5か月前に2000個注文があったが、それ以来ゼロだぞ。そもそも、この取引先の林工業は、内示など出さないので、もしかしたら、こいつに対応した“かんばん”が、この工場のどこかに眠っているかもしれない。

二之宮の予想は的中する。工場の片隅に、収容数50の“かんばん”が4枚、仕掛在庫とともに、申し訳なさそうに積まれてあった。

「同期生産のために、“かんばん”は非常に有効なツールです。したがって、このような現場のしくみを大きく変える必要はありません。重要なのは、その上位に、計画生産のしくみをのっけることなのです。取引先のすべてに対して平準化された注文を期待してはいけません。短納期で多種多様な注文を受けながら、工場に対しては平準化された生産オーダを提供するしくみを、御社の内部に持たなければならないのです。」

計画生産というと、二之宮はMRP(資材所要量計画)を連想する。MRPは、まとめてつくることで生産性の向上を図るしくみだ。大ロットで生産し、段取り替えコストや調達コストを削減する。これは、二之宮の基本的なポリシーに反するものだ。現に、多くの同業者でMRPを導入して、かえって在庫が増えたと嘆いている話を多く聞いている。また、一部の企業では、納期管理ができずに、納期遅れが頻発し、あわてて元のしくみに戻したという話もある。

「それだけMRPのマイナスの部分をご存知なら、だいじょうぶですね。多くの場合は、MRPシステムというパッケージソフトウェアの未熟さに起因しています。ただ、MRPの考え方は、“かんばん”枚数の計算にも使われているのですよ。最初に申し上げたとおり、重要なのは“生産戦略”、あるいは“計画生産と同期生産をつなぐグランドデザイン”なんです。」

二之宮は、実は悩んでいたのだった。40年続いている港町工場の歴史、10年におよぶ上司の米田との日々、しかし何かが違うのではないかと感じでいたのだ。藁をもつかむ思いで、この男の話を真剣に聞くことにした。(つづく)

目次へ

ページトップへ